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Sight from the Saddle 今日は自転車でどこ行く? -大阪市-
2022.03.31

平年より気温が低く寒い冬を経て、最近はやっと暖かくなってきた。
寒いとどうしても暖かい部屋でずーっと過ごしてしまいがちだが、気温が上がれば、外で過ごす事のできる時間がシンプルに増える。出かける先が「屋内」であることにはまだいくらかの抵抗を覚えてしまう最近の自分の生活も考えると、それだけでこんなにありがたいことはない。
さて、しかしそうなると忘れかけていた「知らない景色に出会いたい欲」が、久々に顔を覗かせて来るのは必至。→前回はこちら
今回連絡したのは、大阪市のパワースポット四天王寺のほど近くにあるグッドショップ、MOVEMENT。自転車だけでなく、ちょっぴりカルチャー色の強いギアやアパレルなども豊富にラインナップされているのが特徴で、昨年にはオープンから10周年という新たな節目を迎え、ますます磨きがかかる関西の人気ショップだ。
店に立つのは、第一次MTBブームに少年期を過ごし、周りの仲間たちとの生活の中に自然に自転車があったという、いつも笑顔が素敵な堀さんと、
高校生の頃にロードバイクに興味を持ち始めては、インターネット掲示板などで一緒に走る人を探していたと言う、まっすぐで行動力のある高橋さん。
互いに自転車という共通項はありながらも、年齢や影響を受けたもの、過ごしてきた環境も対極的で、話してみてもやっぱり違った感性を持っていることが感じられる。そんな二人で切り盛りする店だからこその視野の広さで、「日常の足として楽しむ自転車」と「スポーツとして楽しむ自転車」をボーダレスに提案している。

彼らにひとこと「自転車でどっか連れてってください」と相談しようものなら、異なる方向性の様々なライドコースの提案をもらったが、何気なく話している中で実は自分を含めた3人ともが「お互いが自転車で10分程度の生活圏」という共通点も見つかったこともあって、あえて「背伸びをせず、日常の生活圏を外しすぎず、そんな中でいかにフレッシュな自転車の楽しみ方をできるか」をテーマに、ライドコースを組んでもらうことにした。
当日を迎えるにあたって与えられた条件は「自転車はいつも通り街乗り用で」ということと「ランニングもできるぐらいのシューズを履いて(持って)くること」というドレスコードのみ。さて、どんなライドになることやら…。


前述の通り、全員の生活圏が近いことも分かったので、ライド当日はMOVEMENTでの集合ではなく、各自直接、現地へ集合。今回のように、複数人で集合する場合であってもフレキシブルな集合場所設定ができるのも、やはり自転車ならではというのは言わずもがな。

SPOT 01 大阪城公園
大阪城天守閣を中心に広がる大阪城公園は、JR大阪環状線や大阪メトロの駅のどちらからも直結という好立地に加え、大阪城ホールや野外音楽堂などの様々なタイプのイベントホールもあり、休日は市民のみならず市外からも人が集まり賑わう憩いの場の一つだが、意外と知られていないのがこちらの無料駐輪場。広大な公園敷地の北と南にそれぞれ同様の駐輪場を備えており、いずれもピット式でない平場に停め置くスタイルではあるものの、公園が空いている間は気兼ねなく停めて置けるのは非常にありがたい。今回は大阪城公園駅から近い北側の駐輪場にて集合。



SPOT 02 RUNNING BASE 大阪城
さて、彼らはこの「無料駐輪場」の素晴らしさをプレゼンテーションしたかったわけではなく…駐輪場で自転車をロックするなり、なんの躊躇もなくこちらのランステーションへ。そう、今回の「背伸びなしライド」は、どちらかというと「ライド」ではなく「ラン」から始まった 笑。
実は大阪市内で有数のランスポットでもある大阪城周辺。特に早朝、もしくは夕方から夜にかけては、平日休日関わらず多くのランナーに出会うことができるが、日々正午以降に店をオープンするMOVEMENTの二人にとって、「朝活」は日常の暮らしをより豊かにする重要な要素。こちらのランステーションは、そんな彼らにも優しい、気合いの 7:00 to 22:30 営業だ(土日祝は20:00閉店。ただし定休日の月曜日を除く)。
「ロッカー&シャワー」という全”朝活”人にとっての重大要素2つをカバーする施設は、当然ながらサイクリストにとってもその使い勝手は約束されている。故に、この手の施設は頭の片隅に入れておくと便利である。もちろん、表向きはランを主体にした施設ではあるため、クリートのついたシューズの場合は履き替えるなどマナーには気を付けよう。
出勤前にこちらに荷物を預けてひとっ走り、シャワーを浴びて…。
毎日とは言わずとも、一時間早く起きて生活に組み込むだけで、今よりはるかに「ていねいな暮らし」を実践できそうだ。徒歩圏内にコンビニもあるので、そういった点でも文句なしの便利さはお墨付き。
ということで、荷物を預けたら早速ランニングへ…。







今回はスルーしたが、敷地の中心にはもちろん、かの大阪城の天守閣がそびえる。観光がてらこちらに向けてランするのもありだろう。

SPOT 03 R baker
ちなみに、大阪城公園敷地内の南側にあるこちらは、彼らにとっての定番の休憩場所。全国におよそ30店舗を展開する有名ベーカリーで、実は先ほど駐輪した無料駐輪場と同様のものがこちらのテラス席からすぐ近くにもあり、愛車の気配を感じながら気兼ねなくゆっくりできるという点でもサイクリストにとってはありがたい。トースト2枚にゆでたまご、サラダ、ドリンクがセットになったこちらのモーニングはコスパもバッチリとのことで、MOVEMENTの二人もお墨付き。

ランを終えたら着替えて自転車をピックし、次の目的地へ。
「散策」を楽しむ場合はランがちょうど良いが、広大な敷地内での「移動」を重視するとやはり自転車が便利。ただし、園内は老若男女関わらず歩行者、ランナーも多いのでくれぐれもよそ見やスピードを出しすぎないように気をつけよう。


SPOT 04 Moulins et Cafe gout(ムーランエカフェグゥ)
今日はせっかくなので、外でゆっくりシートを広げられる別の公園に行こうということで、南側の出口から公園を出て、奇しくも今ライド参加者全員のお気に入りでもあるこちらのベーカリーを経由。系列店を合わせて、大阪市内に4店舗を展開する人気店で、ハード系からソフト系、屋外でつまむのに便利な食事系のサンドや小腹を満たす甘い系、と幅広いラインナップに合わせてそのクオリティの高さに定評アリ。独断でのおすすめはアンチョビオリーブや焼きカレー、レモンライムデニッシュ(最近は出会えていない…)。





SPOT 05 難波宮跡公園
互いのお気に入りパンをゲットしたら、今度は西の方に自転車を3分ほど走らせれば、難波宮跡公園へ。
こちらは、飛鳥〜奈良時代の古代宮殿跡地として、現在はその敷地の広さから市民の憩いの広場として愛されている公園。
大阪城と同様、大阪の歴史上の繁栄を思わせながら、時を経て形を変えても市民に愛され続けている史跡であるが、先に比べてアクセス手段がやや限定的なこともあって、より地元民に愛されている印象を受ける。
故に、言い方を変えると「自転車でだからこそアクセスしやすい場所」とも。ご近所であろう子連れ家族もたくさん訪れる心地の良いローカルな雰囲気も相まって、自転車を近くに置いて気軽にシートを広げて…なんていう風な肩肘張らない楽しみ方ができるのが嬉しい。敷地内はお互いに距離感をゆうに保てるぐらいの広さがあるので、どうやら最近ではインスタグラマーたちの朝活スポットとしても人気のようだ。

今回はMOVEMENTの二人による事前の声かけで、ご近所の自転車ラヴァーたちと一緒に、みんなでピクニックブランチ。
ドリンクや食料を自宅から持ってくるのもよし、面倒だ〜!な方は今回の我々のようにお気に入りをテイクアウトして楽しむもよし、気分に合わせてガッツリコーヒーアウトサイドを楽しむもよし。






世の中がまだまだこんな状況なので、友人を誘って、店に入っての外食は気を使う…という人も、こうやって互いに自分で持ち寄ったものを外で楽しむスタイルだと、気持ち的にもいくらか楽だし負担も少ない。お気に入りの食べ物はみんなで食べると倍美味しいのは鉄則なのだ。MOVEMENTの常連でもある本田さんが作ってくれた、バター&あんペーストのホットサンドは破壊力抜群な美味さだった 笑。
初対面でもこうやって外で開放的に過ごしていると、共通の趣味に話が盛り上がるのは必至。つい時間を忘れてしまう…。







今回は、集まった方達のほとんどが、ラックやバイクパックなどのカスタムを施していた。いわゆるスポーツバイクも、ちょっとしたカスタムで、今回のように食糧調達や各種ギアの持参など、何の問題もなくこういったアレンジライドを可能にする「頼れる相棒」に早変わり。

ピクニックブランチを楽しんだ後は、解散して上町台地をまっすぐ南下。
上町筋をはじめ、今では大阪市の主要な通りの多くに自転車分離レーンが整備されており、都会とは言え思いのほか快適に走ることができる。距離にして4km弱、ものの10-15分ぐらい走らせればあっという間に、MOVEMENT店舗がある天王寺エリアだ。
MOVEMENTは12時から営業のため、そのまま開店準備へ。








今回の総工程は6km弱ほどという超ライトなコース。故に、朝8時に集合してランとピクニックを楽しんでも、昼前には終えることができ、午後からは家族サービスへと切り替えることも可能。
実は、紹介してもらった各スポットは大阪エリアに暮らす人々にとっては決して特別感がある場所ではない。
ただ、そんな「いつもの」場所へのアプローチでも、自転車、ラン、あるいはピクニック、コーヒーなど自分の好きな要素を組み合わせるだけで、少し贅沢に、そして新鮮に映るということを当たり前ながら改めて実感。基本は自転車屋でありながらも、決まったかたちに囚われず、自分たちが好きな要素をボーダレスに詰め込んで提案している彼らならでは。
たしかに自転車なら、気ままに現地集合、その日の気分によっていく場所を柔軟に変化できるし、公共交通のアクセスはもはや関係ない。特に近年の大阪市内は自転車レーンが整備された通りも少なくないし、都会とは言え自転車で走るのも意外と快適だ。やりたいこと、行きたい場所をとても自然に、かつシームレスに繋ぐことができるのも、やはり自転車ならでは、なのかもしれない。
フレッシュなライド、ごちそうさまでした!




-今日のライドでも感じましたが、MOVEMENTの周りにはボーダレスに人が繋がっている印象があります。ともすれば個人趣味となりがちなスポーツバイクにおいて、一緒に乗る友達って大事ですよね?お2人はどう言う感じ自転車に入り込んで、どういうふうに輪を広げていきましたか?
髙橋:僕は高校の時にシャカリキ!っていう漫画を読んでから、ロードバイクに興味を持ちました。最初はオークションで1万円ぐらいの中古を買って、廃車寸前の当然そのまま乗れる状態ではないので、近所の店に持ち込んでいろいろ教えてもらいながら乗れるようにしたりとか。
今ほどロードの人口も多くないし、ましてや同じ年齢だと同じように興味を持つ友達もいなかったので、それこそ当時はインターネット掲示板とかで一緒に走る人を探したりしてましたよ。結果、見知らぬおじさんと一緒に走ったり 笑。でもやっぱり自分が出入りしていた自転車屋さんにはお世話になりましたね。練習会とか、ライドとかお店の人が企画したものに参加させてもらったりとか。きっかけとしてそう言うところで知り合いが増えたって言うのは間違いなくあります。
-なるほど。
堀:僕はそもそも周りの友達と趣味が似てて、いわゆるMTBブームにリアルタイムで影響受けているのもあって、子供の頃から割と自然な感じで仲間と一緒に自転車乗ってたんですよね。と言っても、その当時は、競技としてというよりはサイクリングの延長のような感じでMTBがあった感じですが。なので、どちらかと言うと自ら知らないコミュニティにグイグイ行く必要はなかったのかなって思います。

-羨ましい!それはなかなか恵まれていますね。
堀:確かに、そういう運の良さはあるかも。例えば、昔ちょくちょく仲間と行ってたラーメン屋があって、いつも自転車で店に行ってると「自分らそう言うの好きなんか」って店のおっちゃんが話しかけてきてくれた。実はたまたま自転車好きだったんですよ。気がつけば「明日朝6時集合や」みたいな感じで、それで連れていってもらったのが西宮の662トレイル※。
しっかり地域に根付いたコミュニティがあって、そこからも広がっていって…みたいなこともあります。でももしそう言う「たまたま」がなかったら、やっぱり僕もショップにお世話にはなってたかも…。
※ダートジャンプカルチャーに明るいローカルライダーのDIYによって掘り起こされた、界隈では有名なトレイル。当時は仲間たちで草の根的に無許可で運営されていたものの、規模が大きくなるに連れて「この場所を残したい」という気持ちがやがて行動に変わり、しかるべき手続きを経て今では正式な市の総合公園の一部として認められ運営されることになった。
-そうなんですね。一方で、そういったショップのコミュニティに踏み込んでいくことにどこかしら引け目を感じる人もいると思うんですが、いかがでしょう。実際にショップを運営されているお2人に聞くのも恐縮ですが 笑。
堀:むしろそういう感じ、すごくわかりますよ。自分も客の立場だった時には当然、ショップから誘ってもらうこともありましたけど、当時自分たちはそこまで競技としての自転車をやっているつもりもなかったので、そうするとなんとなく恐れ多い部分もあるのかな、とか。
-みんな経験ありますよね。わかります。
堀:でも実は、自分で店を持ってみてわかったこともあって。というのも、今は立場が変わって、お客さんに自転車を楽しんでもらうためにいろんな企画をしたり、時にはアレンジだったりアテンドしたりするじゃないですか?最初はいろいろ必死に考えていましたし、もちろん今でもやるならやるで、一生懸命考えるんですけど、やっぱりいろいろ気遣いもあるし大変な部分もあって。
でも特に最近なんかは、自分たちがわざわざアレンジしなくてもお客さん同士だけで一緒にサイクリング行ったり、キャンプ行ったり、ていうのももっと普通にあるんですよ。
「この間、xxさんとキャンプ行ってきたんですよ」とか。僕はシンプルに、そういうのを聞くと嬉しくて、すごくいいなって思うんですよね。
なので、あくまで店はハブとして利用してもらう、で全然いいのかなって。決して自分たちがラクしたいとかじゃないんですけど 笑。
-確かにそういうことが自然に発生している感じは素敵ですね。
髙橋:僕も、ショップに行って広がるコミュニティはやっぱりゼロではないと思うんです。なので、もし一緒に走る人を探すなら、まずは自分の雰囲気に合うショップを探してそこにお世話になるのも一つなのかなと。
一方で、やっぱりお客さんの立場でいう「引け目」みたいな心理もわかる。でも堀さんが言ってたような、ショップ側に立ってみるとお客さんを誘うのも意外と気を使うっていうのもある 笑。
例えば店に来てくれたお客さんに、声かけするのもいいか悪いかを考えるときもあります。「一人でゆっくり見たい人かな?それともなんか探している人かな?どっちだ?」みたいな。
実際、僕自身がお店に行ったりする時って、どちらかというとゆっくりと店の隅に置いてあるパーツを眺めたりしたいタイプなんですよ。
堀:せっかく来てもらっているお客さんには、もう少し積極的に声かけしなきゃなとは思っているんですけどね。自分もやっぱり作業をしながらでつい声かけが後回しになってしまうこともある。…ダメなんですけど。
髙橋:なので、例えばもしうちのお店に来ていただいて、探しているものが店に並んでいなかった時でも、言ってみれば何かしら僕たちの引き出しがあるかもしれないし、それこそ店に並んでいるものが全てじゃなくて、自転車は手に入れたけど一緒に乗りたい人が見つからない、とかがあっても、遠慮なく気軽に相談してもらえたら嬉しいです!

-ちなみに、高橋さんは関東にいた時はとある自転車メディアに在職されていたとか。個人的に感じる地域性というか、関東と関西での違いみたいなものってありますか?
髙橋:僕が個人的に感じたことでの比較になっちゃいますけど、例えばチーム練習ひとつとっても、東京は「チーム単位」で練習するという傾向が強いのに対して、大阪は「場所単位」で繋がっているって言う雰囲気を感じますね。同じ場所に来た複数のチームが、それこそライバルチーム同士で練習したりもしてる。なので、さっきの話じゃないですけど、一口に「ショップ主催の練習会」と言っても、中にはあまり堅苦しくない感じもあったりするのかなっていうのはその時に思いました。その上で、やっぱり自分が身を置くならやっぱりそういう柔軟なコミュニティの方が心地いいし、自分が思う大阪のいいところもそういう雰囲気なのかな、と思います。
堀:僕はずっと大阪なので、あんまり確証はないんですけど、関西は関西シクロとか、関西はグラベルのシーンがしっかり定着しているイメージ。実際大阪だと、市内から一時間ちょっと走らせれば、フィールドがありますしね。
-確かに関東、というか特に都内だとそうはいきませんよね。
髙橋:あとは、道路を走ってるときに、東京より大阪は大袈裟に車が道を避けてくれる印象があります。もちろん単純に道路の幅や交通量の影響もあるんでしょうけど…。
なのでそう考えると、大阪は自転車で走る分にも快適な街なのかな、とかも思いますよ。
-意外ですね。よく言われるのは、大阪=車の運転が荒いみたいなイメージありますよね。ちなみに二人の出会いはどんな感じですか?初対面はこの店ですよね?
堀:そうですね。店にはちょっとだけ僕が後に入ってるんです。前オーナーからは「レースやってる青年」と一緒に店をやってるっていう情報だけ聞いていたから、なんとなく日に焼けたガタイのいい男を想像してたんですけど、いざ来てみると痩せ形で肌ツヤも良かったし、僕とは歳が結構離れているのもあって、初見で「子供やん」ってなりましたね 笑。
-なるほど笑。髙橋さんは堀さんを見て?
髙橋:僕は…とりあえず「穏やかな人」が来たなと。
-笑。
髙橋:一緒にやってるうちに、自転車への内なる情熱を感じことになるんですけど、第一印象ではそれほどパッションを持っている人には見えなかった 笑。
-お二人は、ひとくちに自転車といってもそれぞれ通ってきた得意分野も違うと思いますが、店をやっている時は、お互い干渉しすぎない良い距離感を意識してとっている感じですか?
堀:まあでもやっぱり10年一緒にやってると、感性の部分でも交わってくるところもありますよ。相談し合いながら決めることも多いですし。
感覚的に互いに苦手なところを吸収しあいながら、っていうのができている感じはします。相方が接客している姿を見て勉強したりとか普通にある 笑。
例えばレースや競技系の分野だと、僕よりは髙橋さんのほうががっつり自身の経験で通ってきているところなので、キッパリと任せますね。
髙橋:僕は用途や目標がはっきり決まっていることはある程度説明できるんですけど、逆にコミューター系のジャンルとか、最終的に「カッコいいか、カッコ悪いか」みたいな感覚の部分が大きいことだと、うまく説明するのが苦手で。その辺は堀さんが丁寧にうまく説明されてるなって感じたりします。自分がモニョモニョしている時はスッと割り込んできてくれたりとか。
-優しさですね。
堀:もちろん、逆もありますし。自分は、少し苦手なジャンルの話になると、遠慮なく彼に話を振って巻き込みます。「…ですよね、髙橋さん?」みたいな感じで。
髙橋:結局10年やってて、近づいているところもあるけど、やっぱり違うところは違う。お客さんにAとBどっちがいいかを聞かれて、僕たち二人が別々のことを言ってお客さんを困惑させちゃうことも結構あります 笑。
なので、うまく言えないですけど、1つの店なんだけど2つの店みたいな不思議さはあるかもしれません。










-でも意外と1つのお店で、そういう風に多角的な意見がもらえるところは少ないかもしれませんね。
堀:言われてみればそうかもしれませんね。もちろん全てのお客さんにとって必ずしもいいことではないとは思うんですけどね 笑。
-今後の展望はありますか?
髙橋:オープンした10年前よりは、世間的にもスポーツバイクの認知が広がっていて、身近なものになっているのも感じます。ただ、例えばスピードや長距離走行に秀でている分、定期的なメンテナンスはいわゆるママチャリ以上に必要になってきますし、イニシャルだけでなく維持にもそれなりのコストがかかる。そう言う面でのリテラシーみたいなものも含めて文化が広がっているかと言うと、まだまだかなと感じる部分もあるので、その辺も含めて、自転車の楽しさを伝えていければと思います。僕たちは日常で使う自転車も、スポーツとしての自転車も、どっちの自転車も好きですし。
堀:あとは、ELUSIVEっていうデザインスタジオと共同で「SAUCE」というオリジナルブランドを展開しています。ブランド名には「自転車に自分たちなりの味付けをする」という想いを込めつつ、基本的には自分たちが欲しいものを形にしてます。最近はSNSでの反応もあったりとかで、今後も少しづつ商品を増やして行けたらなと。パートナー自身もサイクリストで、もちろん自転車関係のアパレルやショップのビジュアルデザイン周りでの実績もありますし、僕らからはやりたいイメージをオーダーしつつ、細部まで拘った作りを心がけています。
髙橋:この間作ったこれ(ハンドルバーバッグ)なんかはなかなか評判よかったかも。


-あとは、YOUTUBEとかですかね?
堀:そうそう、YOUTUBEですね!地道に頑張ってますので、ぜひチェックしてください。

*車体
FUJI / FEATHER
BREEZER / DOPPLER CAFE
*この記事で紹介している情報は、2022年3月時点の取材に基づいています。
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