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Challenge シクロクロスタイヤ ユーザーマニュアル -ワイマンメソッド “A CLASSIC”

過去に10回の英国チャンピオンと2度のヨーロッパチャンピオンの実績を持ち、今も現役で走りながら女子シクロクロッサーの育成プログラム「HELEN 100」を運営する、ヘレン・ワイマンによるコンディション別おすすめタイヤチョイスをご紹介します。ヘレンは選手生活のほとんどをチャレンジのタイヤと共に歩んできた、違いのわかるライダーの一人です。

様々な路面コンディションに対してどのタイヤが最適なのか、主にレース経験のある熟練者に向けた内容となっています。コースコンディションに柔軟に対応するには複数のバイクやホイールセットを持つことも求められますので、あらゆる地形に1セットで対応させたい場合はGRIFO(グリフォ)をチョイスすることをオススメします。

また、ヘレンのタイヤセレクションは全てチームエディションソフト(チューブラー)を基準にしています。チューブレスレディの場合は下げられる空気圧の限界やコシの強さがチューブラーと異なることから、これから紹介するタイヤよりも1段階上のグリップタイヤを選択する場面が出てくることも考慮しておくとイメージしやすいと思います。

・路面コンディション:ハードパック(固い地面)

表面が砂っぽく乾燥している場合:まずはDUNE(デューン)から試走を始めたいですね。DUNEは高速走行を得意とし、控えめなサイドノブは見た目以上にコーナーでグリップを稼いでくれます。それには細かな空気圧のセッティングが重要になることを覚えておきましょう。

雨で濡れている場合:ドライよりもコーナーとトランジションエリアが難しくなってきますが、CHICANE(シケイン)から試走を始めましょう。DUNEよりもしっかりとしたサイドノブを備えているので、少々高めの空気圧でもコーナーをこなせる可能性が高くなり、固い路面でのスピードを稼ぐことができます。

雨による水たまりでコースに泥セクションがある場合:GRIFO(グリフォ)で試走を開始しましょう。 GRIFOは空気圧の設定次第で走行性能にかなりの幅を持たせることができるので、コンディションに応じた微調整が早く走るコツと言えます。

勝つためのヒント:同じ種類のタイヤを必ずしも前後で揃える必要はありません。また、前後とも同じ空気圧にしないといけないと思い込まないでください。実際に試走して得た感覚を頼りに、常に自分がベストと思うセッティングに自信を持ち、周りの人の影響を受けないようにしましょう。攻めたタイヤチョイスはコーナーの侵入が慎重になり、コーナリングスピードが落ちてラップタイムが遅くなりがちです。

・路面コンディション:ハードパック(固い地面)の表層が緩い

表面が濡れて少し緩んでいる場合:ライダーと自転車の一体感を高める必要があります。GRIFO(グリフォ)はグリップ力とスピードのバランス調整がしやすく、適切な空気圧を見つけることがバランスを向上させるポイントとなります。

「FOOT OUT FLAT OUT」を多用する人の場合:CHICANE(シケイン)を試してみてください。バイクはコーナーでややスライドしやすくなりますが、サイドノブのグリップが効き始める出口付近からの立ち上がりの加速で優位に立つことができます。

FOOT OUT FLAT OUT(フットアウトフラットアウト):コーナリング時にコーナーの内側の足をペダルから外してバランスを崩した時に備える走法

緩いセクションが丘の上など斜面ある場合:登坂でのトラクションを保つために、BABY LIMUS(ベイビーライムス)をリアにセットすることも選択肢に入れましょう。登坂時のペダリングパワーの加減も重要になることも付け加えておきます。

勝つためのヒント:コースに大きな石などがある場合は、パンクを避けるために多少高い空気圧で走らせたいと思うかもしれません。しかし、抜重などのバイクコントロールを駆使して回避することを心がけましょう。路面の観察と自らの技術を信じることも速く走るために重要です (そのための日々の鍛錬ももちろん大事です!)

・路面コンディション::短いサンドセクションを持つドライコース

基本的に、短いサンドセクションのためにタイヤチョイスをおこなうことは控えましょう。最初にサンドセクション以外のコンディションに合ったタイヤをチョイスし、どれだけ上手くサンドセクションをこなせるかに集中することが結果的にラップタイムを稼ぐ近道になります。

複数のサンドセクションがある場合:砂の攻略が決め手になるようなコースでは空気圧を下げたDUNE(デューン)を試しましょう。ただ、他のセクションでタイムをロスするようなら基本に忠実に、他のセクションに適したタイヤをチョイスすることが望ましいです。

勝つためのヒント:どのタイヤでもサンドセクションをこなすことができますが、砂が深く乾いているコンディションであれば、GRIFOやDUNEのような砂を掴みにくい低くて丸いサイドノブを持つタイヤが望ましいです。上手くわだちをトレースしてサンドピットを脱出することをイメージしましょう。

・路面コンディション:乾いた草

最初のオプション=GRIFO(グリフォ):試走時にどのような感触か確認する際に、フロントの空気圧を低めに設定して走ってみましょう。このようなコースコンディションではレース展開が速くなる傾向にあります。

2番目のオプション=CHICANE(シケイン):こういうコースでは多くのエリートライダーが選ぶタイヤだと思います。直線で速く、キャンバーでのグリップも優れており、やや高めの空気圧でも試してみたいタイヤです。

その他のオプション:草が少し長いコンディションの場合、BABY LIMUS(ベイビーライムス)は大きなサイドノブがグリップ力だけでなく安心感も高めてくれます。DUNE(デューン)は、このようなコースを得意とするライダーにとって理想的であり、レースが進むにつれてラインを変えながらスピードを維持したいところです。

勝つためのヒント:セカンドバイクもしくはホイールセットを準備できる場合、よりグリップ性能が高いタイヤをセッティングしておきましょう。通常、このようなドライコンディションはレース終盤まで変化しませんが、急な天候の変化や試走からレースなどに事前に備えておけば安心です。

・路面コンディション:濡れた草 

最初のオプション:濡れた草のコースはレース中に状態が変化する可能性が高く、事前に必要なものを予測する必要があります。草の水気が地面に移って滑りやすくなるなど、試走から本番までの間にコンディションが大きく変わることも多いです。エリートライダーはCHICANE(シケイン)から試すことが多いですが、よりグリップ力の高いタイヤの準備はしておくに越したことないです。

2番目のオプション:最初のオプションに関連して、よりグリップ力の高いGRIFO(グリフォ)を選択します。路面状況の変化やレース展開にも柔軟に対応できる心強いタイヤです。

その他のオプション:路面コンディションが相当荒れる見込みであればBABY LIMUS(ベイビーライムス)を検討してください。たとえ舗装路セクションが多くても、トータルでラップタイムを稼ぐことができます。

勝つためのヒント:タイヤチョイスを変える前に空気圧のセッティングを煮詰めることを心がけましょう。空気圧だけで対応できない場合に、ようやく高グリップタイヤの出番です。

・路面コンディション:ウェットダート(浅めの泥)

最初のオプション= LIMUS(ライムス):水分を含んだ土で一貫してグリップ性能を発揮する、安心感の高いタイヤ。ややオーバースペックかなという路面状況でも、それほどスピードをロスすることなくラップを可能にします。

2番目のオプション=BABY LIMUS(ベイビーライムス):グリップ面ではLIMUSに劣りますが、路面の湿り気具合では積極的に使用したいタイヤ。グリップが足りないと感じた時は、まず空気圧を下げて調整しましょう。

その他のオプション:GRIFO(グリフォ)は、路面が濡れても乾いても、空気圧の設定次第で多くのコンディションに対応させることができる、ライダーをハッピーにする万能タイヤです。

・路面コンディション:粘着性のある深めの泥 

最初のオプション:LIMUS(ライムス)一択と言って良いでしょう。大事なポイントがあるとしたら、ベストの空気圧を見つけ出して他の人が降車するところで乗り続けてクリアすることです。

2番目のオプション:手持ちにLIMUSがない場合は、BABY LIMUS(ベイビーライムス)の空気圧をできるだけ下げて使用しましょう。思いっきりタイヤを潰してトレッドを平らにすると、驚くほどのグリップを見せますが、他のセクションのバイクコントロールに注意しましょう。

その他のオプション:コースに複数の長いストレートがある場合、フロントにGRIFO、リアにLIMUSで逃げることができるかもしれません。パワーを下げてアスファルトで速度を維持できるので、結果的に早くラップできるかもしれません。

勝つためのヒント:わだちに乗る、つまり前のライダーのラインに乗ること。より速く走れるだけでなく、泥に隠れた石などの障害物に前もって気づくこともできます。

写真は溝と言っても良いぐらい深めの”わだち”ですが、後続ライダーは多くの情報を得ることができる

以上、7つの路面コンディションに分けてワイマンによるおすすめタイヤチョイスをご紹介しました。
タイヤセッティングに向けて注意すべき点は、大抵のコースでは単一の路面ではなく様々な路面で構成されているということです。トータルでラップを稼ごうとした時に、どのセッティングが低リスクかつ速く走れるのか、それにはタイヤチョイスだけでなく空気圧のセッティングが重要となります。
タイヤの性能を極限まで引き出す低圧セッティングを実現するためにも、試走時の入念なコースチェックはもちろんのこと、バイクコントロールに磨きをかけてポディウムを目指しましょう!

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