STORY
Timeless Ride ― 時を超える走り。vol.1
2025.07.04
イタリアの伝統と革新が融合したロードバイクブランド、コルナゴ。そのフレームにまたがった瞬間、ただの移動手段ではない何かが身体に流れ込む。軽さでも、速さでも語りきれない、深く心に響く乗り味──それは“時間”を忘れさせる体験だ。歴史ある名門の技術と美学が、現代のライダーの感性にどう届くのか。今回はコルナゴの最新技術を搭載したピュアレーシングロードバイク「V4」を複数のライダーに試乗してもらい、それぞれが感じた「コルナゴの真価」に迫る。
目次
鈴木来人選手

長野県中川村出身のU23シクロクロス全日本王者で、世界選手権日本代表(2019/20/24)。MTBやロードもこなすマルチライダーで、フランスの国際チームへ挑戦した経歴を持ちます。オフロード2種目で国内トップレベルで戦う数少ない選手です。
A.レース / 高速域でのスピード持続性 5点/5点満点
実戦投入後3〜4レースほど使用、安定感が強くバイクに助けられた部分も多くあった。特にダウンヒルセクションの高速コーナーにおいて剛性感もよく、狙ったところに頭が入っていってくれる感覚があることも好印象である。
B.コンフォート / 路面からの振動吸収性・快適性 3点/5点満点
基本レースメインでの使用、かつ高剛性のホイールを使用しているためそこまで重要視をしていないが、レース中に腰痛を抱えることも少ないため比較的コンフォートなのではないかと考えている。
C.ヒルクライム / 登坂時における軽快感 4点/5点満点
程よい反発があるためしっかりとパワーをかけた登坂でにも対応してくれる。ただどちらかというと比較的軽いギアでケイデンスを上げつつ走らせることで、よりレースでは足を温存しつつ展開を進められるような感覚がある。
D.レスポンス / ハンドリングのキレ、容易な加速 4点/5点満点
跳ね返るようなかかり方はしないものの、もったりとしているわけではなく確実にしっかりと加速をしてくれる印象がある。同時に出力をしっかりと路面に伝達をしてくれているような感覚を持っている。前述のように下りのコーナーでも安定しているため、安心して攻めることができる点はアドバンテージだと考えている。
総評
RSグレードとの比較を行っていないため正確なことは言えないが、重量としては少し重くなるものの販売状態からホイールを変更するだけで問題なくレース使用できるものだと感じる。コンフォート性も考えるとRSグレードはより硬く体への負担も大きくなるであろうことから、トッププロ選手を除き世の中の多くのライダーへフィットするものなのではないかと感じている。
変更したパーツ構成については以下の通り。
・コクピット(400→380)OnebyESU マホラ/カーボンスージーステム110mm
・ホイール DoCorsaNove
・クランク(170→165/PM装着/長さ変更のため)OnebyESU Jclank165mm
身長と自分の走り方の癖に合わせてコクピット周り、クランク長を変更。ハンドルはCXと同形状幅違いのもので若干衝撃吸収性に優れるものを採用した。クランク長に関してはPMの使用とペダリング効率の増加を狙って、完成車スペックより5mm短く変更。この二つは完全に自分の好みを反映したところで、手っ取り早くレースユースにということであればホイールを変更するのみで十分対応ができるはず。現状ホイールは上りが多いレース用に33mm、その他用に45mmをそれぞれ使い分けて使用している。
EURO-WORKS 森店長

奈良・法隆寺近くにあるロードバイク専門店「EURO‑WORKS(ユーロワークス)」。COLNAGOをはじめとしたヨーロッパブランドを豊富に取り扱い、初心者からレーサーまで丁寧にアドバイス。納車後のメンテナンスやフィッティング、週末の朝トレまで、愛車とライダーの成長を一貫してサポートします。
A.レース / 高速域でのスピード持続性 4点/5点満点
V3やV3-RSに比べ軽快なフィーリングを獲得したV4Rsの印象そのままのV4、レースでの性能比はV4Rsを5点とするなら4点。JBCFなど頻繁に50km/hを越える加速が求められるハイスピードレースでは性能に少し不満もあるが、ホビーレースの速度域でのスピード持続性に不満はほぼ無い。
B.コンフォート / 路面からの振動吸収性・快適性 5点/5点満点
V3やV3-RSと比べると路面からの振動はかなり和らげられていると感じる。これはV4Rsも同じで他社のハイエンドと比べても乗り味は優しい。ただ28cを使う事を前提としているので、25cで尚且つ硬い乗り味のホイールを使用した場合は少し突き上げを感じる。それでもフォークの剛性は低くないのでDiscローターがシャンシャン当たることも少ない。ロングライドや軽いサイクリングにはV4の優しい乗り味はオススメ。
C.ヒルクライム / 登坂時における軽快感 4点/5点満点
登坂力はV3に比べかなり性能アップを果たしていると感じる。10分程度の短い時間の登坂はV4Rsと大差はないレベル。2~3分までの登坂はV4Rsに軍配、よってV4Rsを5点とするなら4点。
D.レスポンス / ハンドリングのキレ、容易な加速 4点/5点満点
低速時のレスポンスは良い。信号ストップからの加速もミドルグレードとしては十分合格点。時速30km/h以上の高速域での加速はV4Rsに劣るのでV4Rsが5点なら4点。ハンドリングはV3系から格段に良くなった。元々安定志向のCOLNAGOがV4やV4Rsで軽く感じるのはハンドリングが良くなった効果だと思う。
総評
コーナリングの安定感は相変わらず良い。ハンドリングとコーナリングの安定感のバランス感がすごく良くなったV4シリーズ。シンプルなカラーリングと艶のあるペイントが魅力。ミドルグレードとは思えない質感が所有欲を満たしてくれると思います。V4は昨年末からマイバイクとしてレースとトレーニングに使用しています、アルテグラDi2をDURA-ACEに交換、ホイールはONE AER DX5 50mmに交換。コンチネンタル GP5000 TT TR28cと25cがレース用、Panaracer AGILIST DURO 28cがトレーニング用として使い分けています。クランク長は170mm54/40T、スプロケットは11/30T。ハンドル回りはポジションを下げたいので、特殊な取り回しで70度ステムとDEDA SUPERZERO Carbonに交換。サドルは現在合う物が無くSelleITALIA SLRとPlorogo スクラッチM5を使用していますがまだ模索中です。
サイクルショップカンザキ吹田店 ヒルド店長

サイクルショップカンザキ吹田店は豊富なスポーツバイク(ロード・グラベル・MTB)やパーツ・ウェアを豊富に揃え、丁寧なフィッティング&組立が自慢です。試乗やグラベルライド会も定期開催しています。
A.レース / 高速域でのスピード持続性 3点/5点満点
平地での速度維持はそこそこだと思います。エアロロードバイクほどのスピード持続性は無いように思えます。
ある程度スピードが出た所からモガくような踏み方をした時にバイクが暴れないのは魅力です。下り坂での安定感は秀逸だと感じました。安心して下れます。
B.コンフォート / 路面からの振動吸収性・快適性 5点/5点満点
乗り心地はとても良いです。細かな振動は拾わないですし、路面からの突き上げ等もダイレクトに体に伝わらないです。ミドルグレードのレースバイクですが、ロングライドが好きな人にもおススメできます。
C.ヒルクライム / 登坂時における軽快感 4点/5点満点
登坂性能が軽快かと聞かれると、もう少し軽快なバイクは有ると思います。キビキビ、ヒラヒラとは走ってくれません。しかし、このバイクは脚を使うけども速いバイクです。BB付近が撓りながら力を受け止めて推進力に変えてくれるので、ガシガシ踏む人にお勧めです。
D.レスポンス / ハンドリングのキレ、容易な加速 4点/5点満点
フォークからヘッドにかけての剛性が高いので、下り坂のコーナーで狙った所に切り込んでいく時にヨレないです。
先に書いた下り坂での安定感と相まって、下り坂でスピードを出す時の性能は、ミドルグレードのバイクの中ではかなり高いと思います。バイクを振りながらのスプリントでの伸びも、ミドルグレードのバイクとしては、かなり高いレベルだと思います。
総評
ミドルグレードながら、コルナゴらしさが詰まったバイクだと感じました。特に下っている時の安心感がとても印象的だったので、レースで下りを攻める走りをするような人にも、下り坂が苦手だという人にも、おススメしたいバイクだと思います。
完成車の仕様でも悪くはないのですが、今回は普段私物で使っているホイールとタイヤを付けて試乗しました。ホイールがFULCRUM AIRBEAT400DB、タイヤがPanaracer GRAVELKING R TLR 30mmをチューブレス仕様で付けました。
タイヤの外周が軽くなった事により、漕ぎだしや登りの軽快さがアップしたように感じます。ちなみに実測重量(485sサイズ)はペダル無しで8.81kg→8.29kgに軽量化されました。ホイール・タイヤは純正から変更する方が、V4のフレームの持つ本来の性能を引き出せると思います。
あと、外見で印象に残った所が、ケーブルルーティングです。ステム下からケーブルを通す組み方のバイクなのですが、後ろから見た時に完全フル内装のような見た目になり、ケーブルの露出が目立ちません。
バルバワークスハクサンストア 井上店長

バルバワークス ハクサンストア(石川県白山市新成)は、コルナゴなどのヨーロッパブランドをはじめ、さまざまなロードバイクを豊富に取り揃え、元プロレーサー夫婦による丁寧な接客と組立・メンテナンスが魅力のショップです。初心者から上級者まで安心の技術支援や講習・試乗会も定期開催しています。
A.レース / 高速域でのスピード持続性 3.5点/5点満点
変に硬くないので無理して回さずゆったり踏んであげるとしっかりスピードに乗ってくれます。硬くないけど、ちょうどイイ反発があり力のロス感は少ないです。エアロ性能がもうちょい欲しくなりますが、ホイールをアップグレードしてあげるとカバーできると思います。
B.コンフォート / 路面からの振動吸収性・快適性 4.5点/5点満点
振動吸収性は高めで不快感は少ないです。ハンドルやサドルが硬めなので振動吸収性の高いカーボンハンドル、3Dプリンター成型のクッション性も兼ね備えたサドルに替えられるとなお良いと思います。
C.ヒルクライム / 登坂時における軽快感 3点/5点満点
マイペースで登る分にはフレームの適度なしなりも相まって気持ちよく登ります。ホイールやパーツで軽量化を図れれば、レースでも充分すぎるぐらいのヒルクライム性能になると思います。
D.レスポンス / ハンドリングのキレ、容易な加速 3.5点/5点満点
変にクイックすぎない、ニュートラルで素直な反応をするバイクだと思います。
ロードバイクに慣れてない方が乗っても怖い思いはしないと思います。
総評
RSグレードでもありますけど、V4はバランスの良いハイレベルなバイクだと感じました。レースガンガン、ていう硬さがない分、幅広い方におすすめできる良いモデルです。パーツチョイスによってはレース向きにも、ロングライド向きにも、ヒルクライム向きにもできるので、ハンドル、サドル、ホイールなどのパーツ類をアップグレードしていくのも楽しくなると思います。
ワイズロード 横浜ワールドポーターズ店 宮崎様
ワイズロード横浜ワールドポーターズ店は、ロードバイクやクロスバイク、eバイクなどを神奈川県内最大級ワンフロア200坪の売場面積に展示する大型専門店。豊富なパーツ・ウェアに加え、フィッティングやメンテナンスも充実。初心者から上級者まで安心して相談できます。
A.レース / 高速域でのスピード持続性 4点/5点満点
試乗した車体は完成車付属のホイールでしたが、V3と比較し35km以上でのスピード維持が簡単で、高速域でも車体はしっかりと安定しており、普段エアロロードに乗っていますがセカンドグレードかつオールラウンドなモデルとしては十分な性能。一般サイクリストがレースに使うのに丁度良い車体と言える。
B.コンフォート / 路面からの振動吸収性・快適性 3.5点/5点満点
振動吸収性や快適性は良いが決して高いとは言えない。タイヤクリアランスも30mmとV3より広く、最近ではスタンダードといっても過言ではないチューブレスタイヤを使用することで改善出来る範囲なので、ホイールさえアップグレードしてしまえば本当の意味でオールランドに使えるバイクとなりそう。とは言え短距離での試乗だったため不快感は全くない。
C.ヒルクライム / 登坂時における軽快感 4点/5点満点
峠等長い登りではなく短い登りのみですが、ある程度体重がある筆者がダンシングしてもよれずグイグイ進んでいく感じはとても気持ちよく、ホイールの重さを感じさせない反応の良さは癖になる。
D.レスポンス / ハンドリングのキレ、容易な加速 4点/5点満点
ハンドリングは重要な高速域で素直と文句なし。加速感に関してはフレームの剛性が高いおかげか完成車付属の重めなホイールでももっさり感はそこまでなく、ホイールさえアップグレードしてしまえばかなり良くなりそう。
ワイズロード 船橋店 下山田様

ワイズロード船橋店は、ららぽーとTOKYO-BAY内にある大型スポーツバイク専門店。ロードバイクからクロスバイク、キッズバイクまで幅広く取り扱い、パーツやアパレルも充実。初心者から上級者まで、専門知識を持つスタッフが丁寧にサポートします。ショッピングの合間に気軽に立ち寄れる好立地も魅力です。
A.レース / 高速域でのスピード持続性 3点/5点満点
スピードに乗ってからの維持は良好。エアロフレームほどではないが、フレーム形状に適度な空力意識があり失速感は少ない。
B.コンフォート / 路面からの振動吸収性・快適性 4点/5点満点
シートステーが細めで振動吸収性に貢献。ロングライドでも疲れにくく、レーシングバイクの中では乗り心地がいい部類。路面の細かいざらつきもマイルドに伝えてくれる。V4Rsのようなピーキーさはなく、レースとコンフォートの中間点的な特性を感じます。
C.ヒルクライム / 登坂時における軽快感 3点/5点満点
踏んだ力を逃さず、しっかり推進力に変えてくれる。フレーム剛性が過剰ではないので、長い登坂でも脚にくる重さがない。短い登りのアタックにも対応できる軽快さがある。完成車パッケージではホイールが重いのでホイール交換をしたら化ける印象あり。
D.レスポンス / ハンドリングのキレ、容易な加速 4点/5点満点
過敏すぎず安定感のあるコーナリング性能をもつ。踏み込んだ時の加速感も自然で扱いやすい。初めての方や、始めて間もないライダーでも不安感なく乗れるレスポンスを持っています。V4Rsのような「キレ」は抑えられているものの、サイクリングやロングライドで扱いやすいバランス型の反応性を持っています。
総評
見た目の美しさとブランド力:クラシカルなイタリアンスタイルを残しつつ、現代的なアップデートをされた外観が魅力。バイクの性格が「乗り手に寄り添う」扱いやすさと性能のバランスが取れており、「走って楽しい」そんなフレームです。性能面では特に下りの安定感に良い印象を持ちました。レースからロングライドまで幅広く使え、必要であればホイールのアップグレードなどをすることで更なる高みへとライダーを導いてくれる「ガチ過ぎないけど高性能」なバイクだと思います。
■関連リンク
V4 プロダクトページ
V4が試乗可能な店舗はこちら!