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青切符時代の自転車ルール。知らないとマズい「5つの疑問」

2026年4月に導入された自転車利用者に対する「交通反則通告制度」、いわゆる「青切符」。当初懸念されていた交通の混乱も、俺の周囲では、まあそれほどでもないかな、という感じ。少なくとも制度の導入により自転車の交通ルールに関心が集まったのはよかったよね、と思っている俺です。

ところがそれとは関係なく、以前からちょっと疑問に思っていたというか、わかりにくいというか、フツー知らないかもね、という自転車の交通ルールがいくつかありまして。それを解消してスッキリしましょう!というのが本日のテーマです。

クイズ形式で進めていきますので、みなさんも答えを考えながら読んでいただけるとうれしいです。ではいってみよう!

1 赤信号を待っている自動車の横をすり抜けてもいい?

赤信号を待つ自動車が数台いて、そこに自転車で追いついた場合、その横をすり抜けて車列の先頭に出てもいいかどうか。

これ、やってる人多いと思うんだけど、道交法的にはどうなんだろう? ダメだっていうなら最後尾の自動車の後ろで止まって、でも道路の左側端を通行しなくちゃなので最後尾の自動車の左後ろ側に着ける。でも右側には後続の自動車が詰めてきて、その自動車といっしょにしずしず前進していく、みたいなことになるんでしょうか? 前方に並ぶ自動車との間にはスペースが空いているのに?

自転車のすり抜けイメージ
信号で停止している自動車の横をすり抜けてもいいのか?

結論:基本、すり抜けできます。

赤信号で停止している自動車の左側を、自転車が前方へ進むこと自体を直接禁止する条文は見当たらない。

ただしこれは、「どんな状況でも自由にすり抜けてよい」という意味じゃあない。

道路交通法にはこうある。

道路交通法第七十条 

「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」

これに反すると「安全運転義務違反」になるってわけだ。そのため、停止中の自動車列の左側を進むとしても、狭い隙間を無理に進んで危険を生じさせるような通行は認められない、ということ。自動車との間に十分な余裕がある場合のみ、注意しながらすり抜けしましょう、ってことなのだ。

自転車すり抜けイメージ
安全にすり抜けられないようなら、停止して待つべき

ちなみに。

この「すり抜け」をしたあと、自動車の車列の先頭に出て、どこで信号待ちの待機をしますか? 横断歩道がある場合はその手前、ない場合も自動車の少し前に出て停止するって人は多いんじゃないか。俺もじつはそうしていた。

ずっと以前にどこかで「自転車やオートバイは自動車から見えにくいから、少し前に出て存在をアピールしましょう」みたいなことを言われて、なるほどと思ってさ。それからはずっと「俺はここにいる」アピールを続けてきたわけだ。

でもそれはダメなんですって!

理由は内閣が定めた道路交通法施行令にあった。道路交通法が国が定める法律であるのに対し、その下位法である道路交通法施行令ってのは内閣がさらに具体的な基準や数値を定めたもの。そこにはこうある。

道路交通法施行令第2条第1項の表内
「二 車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと」

これは信号が赤の場合の表示の意味を説明したもの。

つまり赤信号のとき、停止線の前に出ちゃダメってことです。

というわけで、すり抜けして車列の先頭に並んだとしても、停止線を越えて前に出るのはダメ。大型車の死角にも注意しつつ、「俺はここにいる」アピールは停止線の手前でやりましょう、ということなのだ。

自転車の停止位置イメージ
自転車の停止位置も停止線の手前です

2 信号のあるT字路では2段階右折が必要?

信号のあるT字路の交差点で、突き当たりに向かって進んできた場合、青信号で右折するのに2段階右折が必要かどうか、ってことです。

交差点では2段階右折が必要なのは知っております、はい。でも突き当たりに向かって進んで右折する場合、対向車もないし左から来る自動車も赤信号で止まってるわけで、つまり右方向の直角コーナーを曲がるのと状況は同じわけで、自動車は何事もないように右折していくわけで。この場合は2段階右折は不要なんでは?というのが疑問でした。

結論:2段階右折が必要です。

道路交通法第34条第3項
「特定小型原動機付自転車等は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。」

わかりにくいけど、これは2段階右折の方法を示した条文となっている。ここでいう「特定小型原動機付自転車等」とは、特定小型原動機付自転車と軽車両のこと。自転車は軽車両に含まれるので、この規定の対象になる。

そして道路交通法第2条第1項第5号は、交差点を「十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路の交わる部分」と定義している。だから十字路だろうがT字路(丁字路)だろうが交差点は交差点。ここを「道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて」通行するというのが2段階右折を指す。

ここ、ちょっとわかりにくいから調べてみた。

34条3項には「2段階右折」とは書いてない。しかし左側端から交差点の外周に沿って進む結果、右折後に進む方向の信号に従うことになり、通行方法はいわゆる2段階右折になる、ということらしい。

ちなみにですよ。

この2段階右折の1段階目が終わった時点、つまり右折後に進む信号を待つ場所はどこなんだろうか、というのも疑問。信号があり、横断歩道がある場合、停止線は横断歩道の手前にある。ここまで行くにはハンドルを左に切って横断者のいる横断歩道を横切り、なんと車道を逆走しているように見える形で停止車両の脇で停止して、歩道と自動車の間の狭い空間で、よいしょよいしょと自転車の向きを変えなければならない。

これ、やんなきゃいけないの?
さらにそこに、すでに自転車がいたらどうすんの?

自転車の二段階右折イメージ
こんな形で進行しなければならないってこと?
自転車の二段階右折イメージ
停止線の手前でこんなふうに向きを変える?(画像はAI合成です)

ここは警察庁に質問だ。

俺「2段階右折の際の、正しい待機場所はどこでしょうか?」

すると返ってきた答えはこちら。

警察庁「自転車ルールブック43ページの図を御参照ください。」

はい。

で、その図がこちら。

ここに描かれている自転車のイラストを見ると、待機場所は交差点の向こう側まで直進した場所。見えますか? でもあれ、これって停止線を越えて停止していることになるんでは?

あくまで交差する道路の停止線であって、進行中の道路の停止線ではないからいいのかな?

なんかいろんな法規と矛盾している気がするが、ここはまた機会があれば深掘りしてみたい。とりあえずはこの図の位置で待つ、ということでよさそうだ。

自転車の二段階右折イメージ
警察庁交通局「自転車を安全・安心に利用するために ー自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入ー 【自転車ルールブック】」より転載

3 歩道を通行する場合は歩道のどこを通る?

自転車は車両だから歩道ではなく車道を走る。もう耳にタコができるくらい聞いてきたわけだが、例外的に自転車も歩道を通行していい場合がある。

「普通自転車歩道通行可」の道路標識等があるときや、13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者である場合、そのほか車道通行が危険でやむを得ない場合、などだ。

とくに普通自転車歩道通行可の道路標識は多く見かけるため、意外に自転車が歩道を通れるケースは多いのだ。

ではこの歩道を通る場合に、自転車は歩道のどこを通行すればいいのか。現実的にやってるのは、歩行者のいない場所を選んで通る、ってことだよね。歩行者の通行をじゃましてはいけないから、なるべく歩行者を避けながら通ることが多いと思う。

それはそれで正しいと思う。でも「歩道のどこを通行するか」ということでいうと、道交法的にはちょっと違うんです。

結論:歩道の車道側半分を通る。

道路交通法にはこうある。

道路交通法63条の4第2項
「(略)普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(略)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。」

ちなみに歩行者が歩道のどこを歩けばいいか、という条文はない。歩道の王様は歩行者なのだ。

自転車歩道走行イメージ
歩道の中央から車道寄りの部分を走るのが正解

でね。

さらにギモンなのは、これ。

基本的に歩道の上は自転車も双方向通行ができる。つまり、歩道の上をどちらに向かって通行してもいいわけです、歩道の車道側半分であれば。じゃあ、歩道上で対向の自転車が来た場合は、どっち側に避ければいいのか? なんとなく車道での感覚から、対向車の左側を通りたくなってしまうわけですが……。

これに関しても、道交法などに規定はなし。ここってかなり曖昧なんです。

警察庁に聞いてみたら、こういう答えでした。

警察庁「歩道上で普通自転車同士ですれ違う際には、交通事故の防止のため、対向する普通自転車を右に見ながらよけるなどして、双方が譲り合って通行するよう心がけることが大切です。」

「対向自転車を右に見ながらよけるなどして譲り合う」というのが基本です。

自転車歩道走行イメージ
みんななんとなく「左側通行」ですれ違っているように感じる

4 自転車専用通行帯がある場合、隣の車道を通行していい?

「普通自転車歩道通行可」の標識がある歩道を通行していると、歩道上で対向の自転車とお見合い状態になってしまう可能性があることは前項で説明しました。

だったら車道を通ったほうがラクでいいや、歩道は歩行者優先で何かと面倒だから、というのもうなずける。だってあくまで「普通自転車歩道通行可」は「通行可」であって、車道を通ってもいいんですから。

普通自転車歩道通行可の標識イメージ
普通自転車歩道通行可の標識。これがある歩道では、自転車も歩道を通行できることになっている

だが。

これがもし「自転車レーン」がある場合はどうなんだろ?

自転車は必ずその自転車レーンを通らなければならないのか、それとも車道も通行していいのか?

自転車レーンに駐車車両が多かったり、幅が狭くて走りづらい場合などなど、車道を通りたくなる場面はサイクリストならあるはずだ。

「自転車レーン」という言葉は一般的によく使われるが、法令上の用語じゃない。この記事では便宜上、自転車の通行空間を示すものとして、普通自転車専用通行帯、自転車道、矢羽根型路面表示などをまとめて「自転車レーン」と呼ぶことにする。

で、ここで問題にしたいのは普通自転車専用通行帯と自転車道。

普通自転車専用通行帯は車道に設けられており、道路標識などで表示されているもの。普通自転車が通行すべき車両通行帯として指定されている。車道に設けられている、ってのがポイントだ。

普通自転車専用通行帯イメージ
普通自転車専用通行帯

一方で自転車道とは、道路構造令第2条第1項第2号により「専ら自転車の通行の用に供するために、縁石線又は柵その他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分」と定義されているもの。縁石などで車道や歩道としっかり区別されているのが特徴。

自転車道イメージ
自転車道は歩道や車道と明確に分けて設けられている

ここで警察庁に確認だ。

俺「車道に沿って「普通自転車専用通行帯」や「自転車道」がある場合、普通自転車はそこを通行しなければならないのでしょうか。」

警察庁「普通自転車で歩道が設けられている道路の車道を通行する場合で、当該車道に法第20条第2項に規定する普通自転車専用通行帯が設けられているときは、その普通自転車専用通行帯を通行しなければなりません。」

結論:普通自転車専用通行帯がある場合は、原則としてそこを通行しなければならない。

ただしこれは「車道を通行する場合」の話。警察庁によれば道路交通法第63条の4第1項各号の要件を満たす場合、つまり普通自転車歩道通行可の標識がある場合や、年齢・道路状況などにより歩道通行が認められる場合には、歩道を通行することも可能とされている。

じゃあ自転車道の場合はどうなの?

警察庁「(略)自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならないと規定されており、歩道及び自転車道が設けられている道路においては、自転車は原則として当該自転車道を走行する必要があります。」

自転車道も、基本は同じく「そこを通る」。ただし、道路交通法上は「自転車道以外の車道を横断する場合」や「道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合」は例外とされている。

というわけで、自転車のための専用通行帯や専用道がある場合は、基本的にそこを通りましょう。

ちなみにですね。

普通自転車専用通行帯かどうかは、青い舗装の有無だけでは判断できない。確認すべきポイントは道路脇や上方にある「普通自転車専用通行帯」の道路標識、または路面に設けられた「専用通行帯」の道路標示。矢羽根型路面表示やただの青い帯は、通行位置の目安として使われている場合もあり、それだけで普通自転車専用通行帯とはいえないのです。

普通自転車専用通行帯の標識イメージ
普通自転車専用通行帯の標識
普通自転車専用通行帯イメージ
普通自転車専用通行帯
矢羽根型路面表示イメージ
矢羽根型路面表示が車道外側線の外側にある。紛らわしいがこれは普通自転車専用通行帯ではない

5 手信号を出すのは安全運転義務違反にならない?

手信号。サイクリスト的にはハンドサイン。

走行中に、いっしょに走っているサイクリストや近接する自動車、あるいは近くにいる歩行者に、右左折や徐行、停止など、自分の次の動きを知らせるためによく使われる。

じつは交差点での右左折や停止など、自転車には決められたハンドサインを行うことが道路交通法で義務付けられている。

道路交通法第五十三条 
「車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。」

そしてその方法は道路交通法施行令で決められている。

道路交通法施行令第二十一条 
「法第五十三条第一項に規定する合図を行う時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。」

ハンドサイン詳細
表は一部抜粋

すごいですよ、これ。

たとえば左折しようとする場合。自転車は交差点の手前30mから左腕を水平に伸ばし、かつ行為(左折)が終わるまでその姿勢を維持しなければならない。

「行為が終わるまで」というのがどの程度の距離や時間なのか、はたまたどの位置なのか、という点に関しては道交法には明記されていない。だけどサイクリスト的には交差点を曲がり終えて身体と自転車が垂直に戻ったあたり、って感じだろうか。

ハンドサインイメージ
右折するときの手信号。YouTuberのけんたさんも交通ルール遵守を啓蒙しています

これかなりキツくないすか?

片手でブレーキ操作しながら減速し、同時にハンドルを操作し体重移動させてコーナリング。そこに横断歩道があって歩行者が横断していようものなら、左腕を水平に伸ばしたまま停止しなければならない。横断歩道手前で停止したときにはすでに左折が終わっている、という解釈をするならその時点で腕を下ろしてもいいんだろうが、自動車はウインカーを出したままで歩行者待ちしている。だからその先まで「行為」が終わっていないとするなら、その左腕を水平に上げた状態で歩行者待ちをしなければならないって間抜けな姿に。

さらにさらに。左折しようとする交差点に信号があって、それが赤だったら?

赤信号待ちのあいだ、ずっと左腕を上げてなきゃいけないの?

ハンドサインイメージ
左折で信号待ちのあいだ、ずっと手信号を出し続けるの図

まあ、間抜けな姿だというのはおいといても、片手運転でのブレーキングや停止を強いるってのは、安全運転の観点から考えてもどうなんでしょう? 安全運転義務違反ってやつになりませんかね?

繰り返しになるが先にも出てきた道交法の安全運転義務はこういう条文だ。

道路交通法第七十条 
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」

いやいや、この状況でハンドルやブレーキを確実に操作しろって、できますか実際?

そこでまたしても警察庁に聞いてみた。
これって無理がないスかね?

警察庁「法の規定に従って手信号を出している場合は、基本的に安全運転義務違反が問擬されることはありません。」

結論:基本的に安全運転義務違反にはなりません。

法令に従って手信号を出している場合、そのこと自体をもって安全運転義務違反が問われることは基本的にない、ということです。

もちろん、手信号を出していればどんな運転でもOKという意味じゃない。危ないと思ったら、まずは安全に減速・停止できる状態を確保することが大前提だ。

でもなんか釈然としない。こんな合図の方法が定められていること自体が問題なのかもしれない。そもそもこれ、「車両の運転者は」ってことで、自動車も自転車も同じルールなのがギモン。しっかり法規を守って、かつ安全に走行するためには、自転車も方向指示器を付けるしかないのかもねー。

スムーズな通行には譲り合いの心が大事だ

というわけで今回の道路交通法のお話はここまで。

いろいろ疑問符のつく法令もあったりするわけだけど、基本的にはみんなが譲り合って、スムーズで安全な通行方法をとることが重要。あと大事なのは、自分の命は自分で守りましょう、ってことです。

それではみなさん、ご安全にー!

この記事を書いた人

岩田 淳雄(ペダルプッシャー)

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