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自転車ごと川を下る!?ミニベロ×パックラフト「バイクラフティング」がおもしろい!
2026.09.11
自転車で川沿いを上流へ走る。
適当なところで自転車を降り、持ってきた小さな船を膨らませる。
で、その船に自転車を積んで、今度は川を下って帰ってくる。
なんですか、その遊びは。
と思ったら、ちゃんと名前があった。「バイクラフティング」というらしい。
自転車と、軽量なパックラフトを組み合わせた遊びだ。陸上では自転車がパックラフトを運び、水上ではパックラフトが自転車を運ぶ。
ほう。
今回登場する鈴木建一さんは、そこにさらにミニベロと鉄道輪行を組み合わせる。
使っているパックラフトはKOKOPELLI(ココペリ)のTwain-Lite(トウェインライト)。船体重量はわずか3.9kg。空気を抜けば41×20cmほどに収まる。これを小径車と一緒に鉄道で運び、駅から自転車で川の上流へ。そこで船を膨らませ、今度は自転車ごと川を下る。
キャンプ道具まで持っていけば、さらに遠くまで行けるという。
自転車から川を見るのではない。
自転車ごと川へ入ってしまうのだ。
小学生のころから60年近く自転車に乗ってきた鈴木さんが、ここへきて見つけてしまった新しい遊び。
ちょっとおもしろそうじゃないですか。

目次
小学生で自転車にハマり、大学ではサイクリング部まで作った
まずは鈴木さんの自転車歴から。
これが、かなり長い。
──自転車に乗り始めたのは?
「小学1年生のときに姉ちゃんの自転車を借りて乗れるようになって、小学5年生くらいでサイクリング車が欲しくなったんです。当時はフラッシャーがピカピカ光る自転車が流行っていたけど、僕はもっと本格的なサイクリング車のほうがいいなと思って。親に頼み込んでブリヂストンのサイクリング車を買ってもらいました」
ところが、その大事な自転車がわずか3カ月ほどで盗まれてしまう。
──相当ショックだったでしょう。
「もう夜中まで探し回りましたよ。僕が帰ってこないから、親が捜索願を出したくらい(笑)。それで小学6年生のときに、お年玉で貯めたお金も出して、親にも足してもらってブリヂストン・ダイヤモンドを買ったんです。そこから完全にサイクリングにハマりました」
中学生になると友達と遠くまで走り、高校ではテントを積んでキャンプツーリング。大学受験のときには、愛媛大学を受験するために自転車で自宅のある愛知県刈谷市から四国まで行ってしまった。
それは受験ではなくサイクリングでは……?
──大学に入ってからも自転車漬け?
「愛知県にある日本福祉大学に入ったんですけど、サイクリング部がなかったので1年生のときに作っちゃったんです。最初は5人。翌年の春休みには九州一周。北海道なら利尻、礼文、知床、南は屋久島、種子島まで行きました。大学4年間はバイトするか自転車に乗るかで、ほとんど勉強してない(笑)」
していない。っていうかできないでしょ、それじゃ。
そして卒業後に就職したのが、自転車パーツメーカーのスギノだった。
──自転車好きとしては、かなり理想的な就職先ですよね。
「シマノと吉貝とスギノを受けて、スギノに拾ってもらいました。最初は試作の工場に入って、そのあと鋳造、鍛造、切削なんかの現場も経験させてもらって。自転車が好きで入った会社だから、すごく楽しかったですよ」
その後転職し、仕事が忙しくなるにつれて自転車からは遠ざかった。25歳ごろから40代前半まで、長いブランクがある。
ところが40代で腰を痛めたことをきっかけに、自転車を再開。ショップの走行会に参加するようになり、ロードレースにも出場。山も走った。
一度離れたのに、戻ってきたらまたどっぷり。
そして60代になって、さらに新しいものに手を出した。
それがパックラフトだった。

40kgだったカヌーが、4kg以下になっていた
──パックラフトをちゃんと始めたのは最近なんですよね。
「最近です。昔からゴムボートみたいなものやカヌーに乗ったことはあって、子どもと遊んだりもしていたんですけど、自転車とはまったく別の遊びでした」
──それが、なぜ自転車と結びついたんですか?
「仕事のつながりでカヌーをやっている人と出会ったのがきっかけです。その人が今の空気で膨らませるタイプに乗っていて」
鈴木さんには、それ以前から「持ち運べるカヌー」の知識はあった。
ただし、昔のそれは今とはだいぶ事情が違った。
──昔の折りたたみ式カヌーって、どんなものだったんですか?
「木のがっちりしたフレームが入っていて、40kgくらいあったんですよ。担げないことはないけど、40kgなんて担いだら後ろにひっくり返りそうになる(笑)。そんなものを自転車と一緒に持っていこうなんて、考えたこともなかった」
そりゃそうだ。
自転車と船を組み合わせる以前に、40kgの船をどうするんだという話だ。
ところが、久しぶりに出会った「空気で膨らませる船」は、とんでもなく進化していた。
──重さを聞いて驚いた?
「『これ何kgあるの?』って聞いたら、4kgもないっていうんです。『えっ?』って(笑)。空気を入れればすぐ船になるし、抜けば小さくなる。それで調べてみたら、自転車と組み合わせて遊んでいる人もいる。これ、おもしれえなと」
40kgが4kg以下。
10分の1だ。
そりゃ、話が変わる。
鈴木さんが手に入れたKOKOPELLI Twain-Liteは、船体重量3.9kgのパックラフトだ。
──そこで「自転車でも運べる」と。
「そう。それだけじゃなくて、自転車ごと船に載せられるんじゃないかと思ったんです。それができたら、自転車で川を遡って、そこから自転車を載せて川を下ってこられる。『これ、いけるんじゃない?』って」

それが「バイクラフティング」だった
調べてみると、こうした遊びにはちゃんと名前がある。
「Bikerafting(バイクラフティング)」。
一般には、自転車でパックラフトを運び、水上ではパックラフトに自転車を積んで移動する遊びを指す。
なんだ、鈴木さんだけが変なことを考えていたわけではなかった。
ただ、鈴木さんのスタイルがおもしろいのは、ここに「ミニベロ」と「鉄道輪行」が加わることだ。
──実際には、どういう手順で遊ぶんですか?
「まず自転車とパックラフトを持って鉄道で行きます。駅に着いたら自転車を組み立てて、川沿いを上流へ走る。下り始める場所まで行ったら、今度は船を膨らませて、自転車を載せて川を下ってくる。そういう感じですね」
──つまりクルマがいらない。
「そうそう。一人でできるんですよ」
ここ、かなり重要だと思う。
川下りという遊びは、スタート地点とゴール地点が違う。クルマで上流へ行って川を下れば、上流に置いてきたクルマをどうやって回収するの? という問題が発生する。
ところが、自転車そのものを船に積んでしまえば話は簡単だ。
鉄道で行く。自転車で上流へ行く。川を下る。また自転車で帰る。
自分一人で全部つながってしまう。
バイクラフティングという遊び、なかなか理にかなっているのだ。


川を遡る自転車が「偵察車」になる
もうひとつ、「なるほど」と思ったことがある。
──上流へ向かうということは、自転車ではずっと上りですよね?
「それが、川沿いって意外と勾配は緩いんですよ。ゆるゆると上っていける。逆に立ち漕ぎしなきゃ上れないようなところだったら、川のほうもかなり急流になっている可能性がある。そういう川は僕が遊ぶところじゃない(笑)」
確かに。
自転車でヒイヒイ言うような勾配なら、その横を流れる川だってそれなりに急なわけで。
俺だったら自転車で上るのもイヤだが、そんな川を船で下るのはもっとイヤだ。
──これから下る川を、先に自転車から見られますね。
「そうなんです。川を見ながら走れるから、『あそこはちょっとやばそうだな』とか、『倒木があるな』とか、『ここからなら入れそうだな』とか、見ながら上がっていける」
つまり自転車は、単なる移動手段じゃない。これから自分が下る川の偵察車にもなる。
倒木はないか。流れの速いところはないか。どこから入れるか。どこなら上がれそうか。
そんなことをチェックしながら上流へ走る。
そして目的地に着いたら、さっきまで船を運んでいた自転車を、今度は船に積む。
この主従逆転、なんかおもしろい。


スクールへ行ってなかったらマジで危なかった
ここまで読むと、「パックラフトって4kgしかないの? じゃあ俺も自転車に積んでやってみようかな」と思う人がいるかもしれない。
ちょっと待った。
川はそんなに甘くない。
鈴木さんも、いきなり一人で川へ出たわけではない。まずモンベルのスクールで基本を学んだ。
──スクールへ行ってどうでした?
「大正解。これは本当に行っておいてよかったと思いました。基本の『き』の字も知らずに川へ出たら、マジで危ない」
──自転車とは、危険の種類も違いますよね。
「違いますね。自転車なら転倒とかクルマとの接触とかだけど、川は転覆したあとが怖いんです。流れの中に倒木があったりすると、そこへ押しつけられることがある。木の隙間に入ったら、水の力がかかって出られなくなることもある」
──見た目には穏やかそうな川でも?
「そう。ゆったりしているように見えて、そうじゃないところがある。川の流れとか危険な場所を知らないと、本当にやばいと思います」
船が軽くなって、自転車で持っていけるようになった。
でも、川まで簡単になったわけではない。
ここは間違えちゃいけないところだ。

初めて一人で下った阿多古川で、いきなりヒヤリ
スクールで基本を習い、自分のパックラフトを手に入れた鈴木さん。
一人で向かったのが、浜松の北側を流れる天竜川水系の阿多古川だった。
──そこへも鉄道+自転車?
「そう。JRで行って、浜松から遠州鉄道に乗り換えて、そこから自転車で10kmくらいだったかな。初心者でも下れそうだという情報があったので、一人で行ってみました」
鉄道→自転車→パックラフト。
頭の中で考えていた遊びが、これで本当につながった。
ところが、いきなりヒヤッとする場面にも遭遇する。
──危ない目にも遭ったんですよね。
「倒木が流れに対して嫌な向きになっていて、そこに引っかかりそうになったんです」
──引っかかると、そんなに危ない?
「狭いところに船が入ってしまうと、水の力で押しつけられて出られなくなることがあるんです。そうなったら、最悪は船の空気を抜いてでも這い上がって脱出しなきゃいけない」
──しかも一人。
「そう。命がどうこうというところまではいかなかったけど、下手をすると自転車を捨てるか、船を捨てるか、みたいなことにはなりますね」
──それはイヤだなあ。
「命は捨てられんけど、船は捨てないかん(笑)」
いや、自転車も捨てたくない。
でも、もちろん命より大切な自転車なんてない。
──やっぱり川を甘く見ちゃいけない。
「川はなめたらいかんと思います。ライフジャケットを着ていれば全部大丈夫ということじゃない。川の流れや障害物について知らないと危ない。だから僕は最初にスクールへ行って本当によかったと思っています」
バイクラフティング、楽しそうだ。
でもその前に、まず川を知る。
この順番は絶対に逆にしないほうがいい。

船に積んだ瞬間、「いい自転車」の条件が変わる
さて、ここからが自転車メディアとしては非常におもしろいところ。
バイクラフティングでは、どんな自転車がいいのか?
──これまで実際に使ってきたのは?
「ブリヂストン・トランジットスーパーライトと、16インチのプジョーですね」
──違いはあります?
「ありますね。特に船に積んだときの大きさ。プジョーは折りたたみじゃないので、前後輪を外して載せたりもしてみたんだけど、それでもどうしても船からはみ出すんです」
──たった数インチでも違う?
「大きいですよ。はみ出した部分が木とか岩とかに引っかかったら危ない。川だから、ただ荷物が落ちるという話じゃないんです。引っかかった瞬間に船の向きが変わったり、ひっくり返ったりする可能性がある」
ロードバイクなら「ホイールが小さい=走行性能で不利」なんて話になりがちだが、船に載せた途端に評価基準がひっくり返る。
小さいことが性能になるのだ。
だったら、できるだけ小さい自転車が一番いい?
と思ったら、そう簡単でもない。
──小さければ小さいほどいいわけではない?
「そこなんですよ。駅から川まで走らないといけないし、そこから川沿いを上流へ行くわけだから。20km、30kmくらい走ることもある。軽くてコンパクトなのが一番なんだけど、それで走れなかったら困る」
船に載せるなら、小さくて軽いほうがいい。
でも陸に上がれば、ちゃんと走ってほしい。
なかなか注文が多い。
バイクラフティングでは、自転車は「乗り物」であると同時に「荷物」でもある。
こんな条件で自転車を選ぶことなんて、普通はまずない。

そこで14インチのDAHON K3ですよ
そこで登場するのがDAHON K3。
14インチだ。
ふだん20インチや700Cに乗っている人からすれば、「ちっちゃ!」と思うサイズだ。
でもバイクラフティングという目で見ると、この小ささが俄然魅力的に見えてくる。
──K3には実際に乗ってみたんですよね。どうでした?
「よかったですよ。僕のブリヂストン・トランジットスーパーライトよりガッチリ感があって、よく進みます。K3のよさがよくわかりました」
──14インチというサイズも、この遊びにはよさそう?
「そうですね。16インチとか20インチだと、どうしても船からはみ出す部分が大きくなる。これくらいの大きさなら、かなり内側に収められる。安全性を考えたら、大きくはみ出さないほうがいいですから」
──でも小さいだけじゃダメ。
「そうなんですよ。駅から川まで走って、川沿いを上がっていく。だから小さくなるだけじゃなくて、自転車としてちゃんと走ってくれないと困る。その点でもK3はいいですね」
──となると、かなり気に入った?
「全国カヤック輪行旅行の相棒にしたいですね」
──おお。じゃあ注文を付けるなら?
「あと1kg軽くできれば最高(笑)」
出ました。あと1kg。
十分軽い自転車に乗って「あと1kg軽ければ」と言うあたりは、さすが長年の自転車乗りだ。
でも、バイクラフティングではその1kgを駅の階段で担ぎ、鉄道に載せ、パックラフトと一緒に運び、最後は船にも載せる。
普通のサイクリングとは、1kgの重みが違う。
14インチの小ささに、鈴木さんが実際に走って感じた「ガッチリ感」と「よく進む」が加わる。
なるほど。
「全国カヤック輪行旅行の相棒にしたい」というのも、うなずける。


自転車を載せたら、船がひっくり返らない?
俺が写真を見て最初に気になったのがこれだった。
小さなパックラフトの前に、自転車がドンと載っている。
これ、バランス悪くないの?
──自転車を積んでも、平気なんですか?
「意外と大丈夫なんですよ。考えてみれば、自分の体重のほうがずっと重いですからね。自転車は前に載せるので、重量そのものより、ちゃんと固定できるかとか、大きくはみ出さないことのほうが気になります」
言われてみればそのとおりだ。
鈴木さん本人より、自転車のほうがずっと軽い。
問題は重量よりも、その「形」らしい。
──縦に積む方法は?
「それも考えたんですけど、縦だと足元が狭すぎるんですよ」
──パドルを漕ぐスペースも必要ですもんね。
「そう。ペダルなんかが引っかからないようにしないといけないし、足元も空けておきたい。かかとが引っかかったら漕げないですから。いろいろ考えて今の載せ方になりました」
重さだけではない。
幅、ペダル、ハンドル、ホイール、足元、パドル。
自転車を船に載せようとすると、普段は気にもしていなかった寸法や出っ張りが気になってくる。
バイクラフティング目線で自転車を見ると、なかなか新鮮だ。

パックラフト一式約7kg。さらに自転車、キャンプ道具……
では、実際どれくらいの荷物を運んでいるのか。
──Twain-Liteって、船だけなら4kg弱ですよね。
「そう。船だけなら4kgもないくらいで、パドルとかライフジャケットとかを全部入れて6kgくらい。収納袋まで入れて7kgくらいかな」
──それなら自転車でも運べそうですね。
「軽いですよ。だから自転車と組み合わせられるんです」
ただし、キャンプまでやるとなれば話は変わる。
──キャンプ道具は?
「バックパックには寝袋、ガスコンロ、マット、テント。全部軽量のものにしています。それでも5~6kgくらいあります」
パックラフト一式が約7kg。キャンプ道具が5~6kg。
そこに自転車。
なるほど。だんだん話が重くなってきた。
──走っているときより、輪行が大変そう。
「駅の階段がね(笑)。背中にも荷物があって、パックラフトも持って、自転車も持つ。軽くないと無理だろうね」
「あと1kg軽ければ」の意味が、ここでよくわかる。
軽量化沼というより、かなり切実な話なのだ。



川から町を見ると、全然景色が違う
ところで、ここまでしてなぜ川を下るのか。
自転車だけじゃダメなの?
──バイクラフティングの一番の魅力って何ですか?
「川から見る景色がおもしろいんですよ。昔は川って、もっと人や物の移動に使われていたじゃないですか。山から木を流したり、船で物を運んだり。でも今の僕らって、道路から川を見ることはあっても、川から町を見ることってほとんどないでしょう」
ああ、それはわかる。
サイクリングをしていると、川沿いの道を走ることは多い。
「いい川だなあ」なんて思いながら走る。
でも、その川の中から自分が走ってきた道を見ることはない。
──実際に川へ入ると違います?
「全然違うんですよ。『ここって、こうなっていたんだ』っていう発見がいっぱいある」
──自転車とパックラフトなら、その両方を見られる。
「そう。自転車なら川に沿って走れる。カヤックなら川そのものを下れる。自転車とカヤックで、それが両方できる」
なるほど。
同じ川を、行きは道路から見る。
帰りは水面から見る。
さっき自分が走っていた道を、今度は川の中から眺める。
これは確かに、自転車だけではできない。
鈴木さんがわざわざ船まで持っていく理由が、ようやくわかった気がした。


鉄道、道路、川。3本の線をつないで遊ぶ
ただし、どの川でもできるわけではない。
──川選びも重要ですよね。
「それが難しいんですよ。日本の川はダムや堰が多いから。だから事前の情報収集がかなり大事です」
──自転車なら道がつながっていれば走れるけど、川はそうはいかない。
「そう。ダムがあったらそこで上がらなきゃいけないし、危険なところがあれば避けなきゃいけない。どこから入って、どこで上がるかも考えないといけない。ダムのない区間がどれだけ続いているかというのは、川を選ぶときの大きなポイントですね」
普通の自転車ツーリングなら、地図を見て道路をつなぐ。
鈴木さんの場合は、そこに川が加わる。
さらに鉄道輪行だから、鉄道も加わる。
どの駅で降りる? どの道で上流へ行く? どこから川へ入る? どこで上がる? そこから駅へどう戻る?
鉄道、道路、川。
3本の線を一本の旅につなげる。
これ、ルートを考えているだけでも結構楽しそうだ。
──長良川でもやってみたい?
「長良川鉄道と組み合わせるのもおもしろいと思うんですよ。川沿いに鉄道があるから、自転車、カヤック、鉄道で行ったり来たりできる」
──もう何が主役なのかわからないですね(笑)。
「そうそう(笑)。自転車で上がってカヤックで下ってもいいし、鉄道を使って移動してもいい。区間を変えながら遊べる。あそこはおもしろいと思いますね」
何が主役でもいい。
自転車に乗りたいところは自転車。
川を下りたいところは船。
遠ければ鉄道。
全部使えばいい。
どうやら、この自由さも鈴木さんの遊び方には合っているようだ。

次は北海道。キャンプしながら川を旅したい
──次に行ってみたいところは?
「北海道へ行きたいですね。釧路川なんか最高だろうね」
──自転車とパックラフトとキャンプ道具、全部持って?
「そういうのをやってみたい。テントも寝袋も持っていけるようにはしてあるので」
──何日かかけて川を旅する。
「やってみたいですね」
鉄道で北海道へ行く。
自転車で川へ向かう。
川沿いを走り、パックラフトを膨らませ、自転車ごと下る。気に入ったところでキャンプする。
翌朝、また自転車に乗るかもしれないし、また川へ入るかもしれない。
うん。これは楽しそうだ。
ただ、問題もある。
──これだけの荷物を持って旅をするのって、結構大変ですよね。
「できるうちにやらないとね(笑)。全部背負って、自転車持って、駅の階段を上がって、川へ行って。これができるのもあと何年かなとは思いますよ」
──そう言いながら、行きたいところはまだいっぱいあるでしょう。
「ありますね。自転車だけでも行きたいところはいっぱいあるし、川もいっぱいある。やることが増えちゃった(笑)」
困ったもんだ。
60年近くも自転車に乗ってきたのだから、そろそろ遊び尽くしてもよさそうなものだ。
なのに、パックラフトなんてものを見つけてしまった。
これでまた、やりたいこと、行きたいところが増えた。
自転車って、なかなか遊び尽くせない。

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