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優勝したらやりたい意外なこと。プロゴルフ選手 杉原彩花さん
2024.02.07
ゴルフのプロツアー選手としてオーストラリアを拠点に各国で活躍する杉原彩花選手に特別インタビューを実施しました。ツアーで優勝するための秘訣から、優勝よりも達成したい目標まで、にこやかな笑顔の奥に潜めた情熱をお話しいただきましたので、ぜひご覧ください。
テニスを始めたつもりが、心を奪われてゴルフの世界に
――ゴルフを始めたのは7歳ごろと拝見しました。ずいぶん幼い頃からゴルフをされているのに驚いたのですが、きっかけはどういったことでしたか?
プロで活躍している選手は、歩き出したくらいからゴルフのおもちゃを触っていたりするので、私は遅い方でした。家族の影響ではじめる方も多いみたいですが、私は習っていたテニスの隣がたまたまゴルフの練習場で、テニスの練習の合間にゴルフをした時にすごく楽しくてハマってしまいました。親に相談して「テニスかゴルフかどちらかなら習い事として続けていいよ」と言われて、迷わずゴルフを選んだのがきっかけです。
――ご経歴で珍しいなと思ったのが、プロ活動と並行して大阪府立高校の非常勤講師もされていますよね?どういった経緯があったんですか?
いつか室内で大人でも子どもでも遊べるようなゴルフのアミューズメント施設のようなものを作りたいと思っていたんです。それをコーチに話したら、「今からやったらいいやん」と言われてコーチが非常勤講師をされていた高校を紹介してくれたんです。
久保コーチ
ゴルフの調子が悪い時があって気分転換のためにも何か面白いことをやろう、やってみたいことないの?っていう話から発展していったんです。
その中でゴルフのアミューズメントの話が出たんですが、僕が非常勤講師をしていた学校が自由な発想で授業を作っていたので、体の動かし方を学ぶレクリエーションとしても、ちょうどいいなと思って学校に相談しました。そこで機会をいただいて最初は1回限りのイベントとしてスタートしました。そのイベントが生徒たちだけでなく先生にも好評で、今は授業を持たせてもらえることになりました。
――授業内容はどういったものですか?
授業内容は、もともとやりたかったことのイメージから広げていきました。クラブはゴルフ用のものですが、ボールは練習用のスポンジボールを使います。スポンジボールはプロが真剣に打っても30ヤードくらいしか飛ばないものです。当たっても痛くないし、そこまで広いスペースも必要ないので校庭に人工芝を引いて、穴を掘って全長100mくらいのコースを作って競います。
――本物のクラブを触ること自体が珍しいと思うのですが、学生の反応はどうですか?
ゴルフってやったことない子がほとんどなので、いいリアクションをしてくれます。2時間通しての授業なんですが、休み時間にも自主的に練習していたりと、みんな真面目に積極的に取り組んでくれています。
――杉原選手にとってもなにか影響はありましたか?
ゲームを通して、私が一番体験して欲しいことは何かを考える上で、私がゴルフに対して何を一番に楽しいと思っているかを見つめ直すことができました。あとは楽しそうにプレイしてくれているのを見て、改めて自分も頑張ろうという気持ちにもなります。他の選手がやっていないことをさせてもらう機会なので、ゴルファーとしてもすごくいい経験ができたなと思います。
勝つための秘訣とは?
――プロとしての道具へのこだわりを教えてください
クラブセッティングにはこだわっていて、他の人とは違うセッティングになっています。私はウッドよりもアイアンがすごく得意なので、アイアン多めの自分の得意で固めたセッティングにしています。ウッドはドライバー1本だけを入れて、それ以外は3番アイアン以下全てをアイアンで固めたり、100ヤード以内の短い距離の打ち分けがしやすいように60度のウェッジを加えてウェッジを4本体制にするなど、結構ほかのプロ選手とは違うクラブセッティングかなと思います。
――練習でも得意に絞ったメニューにするんですか?
得意に絞っていますね。クラブを入れていないので、得意なものばかり練習して、どんどん精度がいいもにのなっています。
――練習で最近新しく取り入れたメニューはありますか?
今はRapsodoの弾道測定器 MLM2PROを使って練習しています。1ショットごとにヘッドスピードや距離、打ち出し角度や高さ、落ちる時の角度や方向まで、あらゆるデータを出してくれるんです。その数字にこだわって練習していて、今は特に打ち出し方向にすごくこだわって、左右のズレをゼロにする練習をしています。
始めた時は3度くらい右に打っていたのですが、今では0.5度以下を目標にしています。
――練習のコツはありますか?
久保コーチ
トレーニングでは出来るものは全て数値化しています。数値が出るものをメインにトレーニングを組んで、プラスアルファで数値が出ないものもやるイメージです。基本的には数値で見せることで何ができて何ができないっていうのが把握できるので成長しやすいです。
あとはオーバートレーニングにならないようにもできますしね。選手は調子が悪い時でも頑張っちゃうじゃないですか。それが数値で見られると怪我もしにくいですし、信頼感があります。
プロにとってのホールインワンとは
――2023年末のオーストラリアオープン初日ではホールインワンをされていて、とても驚きました。ホールインワンはプロ選手ならよくあることですか?
さすがによくあることではないですね(笑)今まで私がゴルフをやってきて5回目くらいですけど、試合では初めてでした。特に今回は打った後に狙った方向に飛んだので、見ていなかったんですよ。いいところには行くなと思ったんですけど、周りがザワザワし出して…。グリーンオンしてから、入るまでに少し時間があったんです。
――カップインの時は盛り上がったんじゃないですか?
盛り上がりましたね!海外の試合でみんながハイタッチするところを映像では見ていたんですが、本当にやるんだと思いました。その後も、その場にいなかった方からも声をかけられたり。しかも英語だったので新鮮な気持ちでした。
――最近では、TOP CONNECTレディースで優勝されました。帰国後すぐの試合だったと思いますが、体調面などでは難しさはありましたか?
オーストラリアとは時差が2時間しかないので、時差ぼけはほとんどなかったです。ただ寒暖差が大きいのが心配だったんですが、その日が暖かかったので助かりました。その時に良かったのは、直近の試合で悔しい思いをした決勝ラウンドの話を、コーチとずっとしていたことですね。試合運びの方向性だったり、技術面の話をしている流れで試合に臨めたことが良かったです。
――早い段階で優勝のイメージができていましたか?
それは全然です。ショットの精度で言ったら調子は全然良くなくて。ただ試合感が残っているからどう攻めるかみたいな戦略が普段より立てやすかったです。優勝も最後の最後まで分からなくて、ただ15番ホールの時点であと1個バーディーが取れたら可能性があるなという状態でした。そこで難しいラインのパターを入れられたので、優勝するかもと思えました。
――結果は見事に優勝でしたね。
それもスコアは同じで、カウントバックというルールで順位が決まりました。最後まで本当にどちらが上かわからなくて、ずっとドキドキしていました。優勝が決まった時はめちゃくちゃ嬉しかったです。
――JLPGAのプロテスト合格は一つの目標であると思いますが、今年(2023年)のプロテストを振り返ってみて気づきや感想を教えてください。
今年のテストは、今までで一番うまくいきませんでした。テストの結果だけ見るとそうなんですけど…。
久保コーチ
一般的な日本人選手は、まず日本のプロテスト合格を目指してプロになるのが目標になるんですが、杉原選手の場合はそれを超えて海外ツアーに行きたいというのが最大の目標としてあります。
それなので、今年は今までに行ったことがないようなヨーロピアンツアーだったり、北アイルランドの試合にも参加して、自分よりずっと上手い人とゴルフをする機会が多くありました。そこで課題や、その舞台で勝つために必要なことが体感ですごくわかりました。それで自分に足りていない部分にこだわって練習できるようになりました。全豪オープンでちょっと手応えも感じ取れたので、すごく成長できた1年間だったなと思います。
これ以外は考えられないほどの運命の出会い
――EKOIのサングラスに出会ったきっかけを教えてください。
ゴルフにはサングラスが必須なのですが、こめかみの部分が痛くなったり、頭がちょっと動くだけでズレて目の端の色が変わったりと、悩みが多かったんです。それでいろいろなサングラスを見て周っていた時にEKOIのサングラスに出会いました。サングラスの性能を紹介してもらって、これはいいなと感じました。
――決め手はなんでしたか?
テンプルやノーズパットが調整できるのでフィット感が全然違いましたし、驚くほど軽くて。あとはレンズも大きいのでちょっと頭が動いても視界の端の色が変わらないじゃないですか。衝撃的でした。
――ゴルフ用ではそういったサングラスはなかったんですか?
ゴルフ用では、なかったですね。珍しいです。特にテンプルが曲がるのでしっかりと頭に合わせて締め付けができるんです。長時間着けないといけないので、どうしてもストレスになるんですが、それが全然ありません。
――ゴルフをするのに合っているなと思うポイントはありますか?
サングラスの暗さがちょうどいいところです。ゴルフは日向と日陰を行ったり来たりするのですが、レンズが暗すぎないので日陰の見え方がとてもクリアですね。他のサングラスだと暗い時に外すのですが、トンネルでもずっとつけっぱなしで大丈夫なのがすごいです。
着けたり外したりすると感覚が微妙に狂ったりしてストレスにもなるので。
――1年間使っていただいて、思った通りのパフォーマンスになっていますか?
そうですね。本当に出会えて良かったです。
デザイン性もめっちゃ可愛いですもんね。最初に見た時からピンク色を気に入って使わせてもらっています。
――サングラスでは、新モデル「OTTIMO」も発売されました。
これもめちゃくちゃいいですね。フレームにラメが入っているのがすごいです。ぜひ使ってみたいです。
優勝よりも大事な目標
――今年の試合への意気込みを教えてください。
3月の試合はヨーロピアンツアーとオーストラリアツアーの共催なので、いい成績を残せたらヨーロピアンツアーへの出場権も獲得できます。優勝が必要ですが、勝機はあるなと思っています。手応えも感じていて調子も上がっているので優勝を目指します。
――では最後に、今後一番大きな目標にしていることを教えてください。
アメリカのメジャー大会での優勝です。アメリカのANAインスピレーションという試合があって、そこで優勝した選手がキャディーさんと一緒に池に飛び込むのが伝統なのですが、それをしてみたいです(笑)
――池に飛び込みたいんですか?
はい、飛び込みたいです。初めて知った時に、そんなことがあるのか、すごいなと思って憧れてからずっとやりたいと思っています。無くなるかもしれないっていう噂もあるんですが、ずっと続いている伝統なので無くならないで欲しいです。
――杉原選手の素敵な笑顔が印象的なインタビューでした。今年も大きな試合を控えている杉原選手をEKOIサングラスはサポートしていきます。ぜひ杉原選手の応援をよろしくお願いいたします。
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