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意外とすごいぞ!折りたたみ自転車の走行性能!

皆さんは、折りたたみ自転車と聞くとどんな印象をお持ちでしょうか。
小さくて便利という印象とは裏腹に、走行性能がイマイチという印象もあるのではないでしょうか。
しかし、折りたたみ自転車といっても様々。ゆったりと走る目的のモデルもあれば、とても走行性能が高いスポーツタイプのものも。SHIFTAで取り扱っているモデルを例に折りたたみ自転車の走行性能に迫ります。

走行性能とは何か?

自転車の走行性能とは一体なんなのか。定義されているものでもないので、色々な意見があると思いますが、ここでは『どれだけ早く走れるのか、走り続けられるのか』ということに焦点を当てていきたいと思います。
まず、自転車のスピードはどうやって決まるのかですが、以下の3つの要素で決まります。

・ギア比=フロントギアの歯数÷リアギアの歯数
・タイヤ周長=タイヤの外周の長さ=1回転でどれだけ進むのか
・ケイデンス=1分間にペダルを回す回数

ギア比とは?

ギア比とは前述のようにフロントギアの歯数÷リアギアの歯数で決まります。歯数とは何個ギザギザがあるのかということです。スポーツバイクならどんなブランドでも商品ページのスペック欄に記載されていると思います。SHIFTAでも全モデルで記載しています。
フロントギアは『Crankset』、リアギアは『Cassette』や『Freewheel』といった項目です。
それぞれ◯◯Tと書いているのですが、フロントの場合『52/36T』、リアの場合『11-25T』のように複数書いている場合は多段変速ということです。この場合は、フロントは52Tと36Tの2つのギアがあり、リアは最小が11T、最大が25Tとなります。リアは2段変速ということではなく、あくまでも最小と最大で、8速だったり、10速だったり、モデルによって違います。どこにギアを合わせるかでギア比が決まります。
この数値が大きくなれば『重い』、小さくなれば『軽い』と表現します。
重いギアはスピードが出やすい一方で、脚力が必要で長時間維持は難しく、軽いギアは上り坂や走り出しに強いですが、トップスピードは下がります。



VERGE N8を例にすると、フロントは52Tのシングルです。リアは11-32Tの8速です。
一番重いギアは52÷11=4.72、一番軽いギアは52÷32=1.62となります。
ちなみにギア比というのは、ペダルが1回転した時に、後輪が何回転するかを表す数値なので、この場合は最大で4.72回転、最小で1.62回転します。約3倍の違いがあるんですね。

変速段数が多ければいいというものではありませんが、多いと状況に応じて最適なギア比で走りやすいというメリットがあることは確かです。

タイヤ周長について

タイヤ周長というと少し専門的に聞こえてしまうかもしれませんが、ざっくりいうと円周です。タイヤ周長はホイールの大きさだけでなく、タイヤの太さで決まります。
単純に太いタイヤの方がエアボリュームが大きくなり、円が大きくなるので、円周も大きくなるということです。ただし、太いタイヤ=スピードが出るというわけではありません。速度への影響は小さく、むしろ空気圧や転がり抵抗の方が走りやすさに影響します。
では、ternのVERGE N8、DAHONのK9X / K3 / K1で周長を比べてみましょう。

ホイール
×タイヤ幅
タイヤ外径タイヤ周長
VERGE N820×1.35476 mm1494.6 mm
K9X16×1.5385 mm1208.9 mm
K314×1.35328 mm1029.92 mm
K114×1.5334 mm1048.76 mm

K3とK1は同じ14インチのホイールですが、タイヤ外径が違うのがわかると思います。タイヤ幅がK1の方が太いので、それに比例して外径も大きくなります。
このタイヤ外径・タイヤ周長はあくまでも単純計算で、空気圧や乗る人の体重などによって変動します。

先ほど、『ギア比というのはペダル1回転でホイールが何回転するのか』と説明しました。
なので、『ギア比×タイヤ周長』で『ペダル1回転で何m進むのか』ということがわかります。
VERGE N8、K9X、K3を最大ギア比の場合どれくらい進むのか比較すると、以下のようになります。

フロント/リアペダル1回転で進む距離
VERGE N852/117065 mm
K9X55/116044 mm
K353/96065 mm

やはりホイールサイズが大きいVERGE N8がペダル1回転で進む距離が長くなります。しかし、K9XとK3は16インチと14インチでK9Xに分があると思いきや、K3は最大ギア比が大きい分、わずかですがK3の方が進むという結果になりました。

タイヤ(ホイール)径について

先ほど、タイヤ周長の話をしましたが、少しだけタイヤサイズのお話を。
折りたたみ自転車はタイヤ(ホイール)サイズが20インチのものが多いです。
一言に20インチといっても実はETRTO451とETRTO406の2種類があり、サイズが違います。
なぜ同じ呼び方なのにサイズが違うのかは、歴史的背景が関係しており、元々は目安としてインチ表記が使われていたのですが、当時はタイヤの太さや構造がバラバラであったため、同じ20インチでも外径が異なることがあったようです。その結果、インチ表記は残りつつも、European Tyre and Rim Technical Organisation(ヨーロッパタイヤ・リム技術機構)が正確なリム径を定義しました。
同じように16インチもETRTO305とETRTO349の2種類が存在します。
20インチの場合はETRTO451、16インチの場合はETRTO349の方が外径が大きい分、走行性能が高く、よりスポーティな走りが期待できます。
また、同じ呼び方でもサイズが違うので、互換性はなく、タイヤ交換などの際は注意が必要です。

特徴
20インチETRTO406一般的な折りたたみ自転車や小径車で使われるサイズ
20インチETRTO451スポーツ寄りのミニベロやレーサータイプで使われるサイズ。外径が大きくなる分、走行性能が良くなる。
16インチETRTO305子供用自転車や一部の折りたたみ自転車で採用されているサイズ
16インチETRTO34920インチと同様、外径が大きくなるので、走行性能が良くなる。

ケイデンスについて

これはホイールサイズやギア比、そして個々の脚力によって差があります。
路面状況やライドの目的などによっても最適なケイデンスは変わってきますので、どれぐらいがベストとも言えません。ケイデンスの目安は、ざっくりと以下のようなイメージです。

50~60 rpmのんびり街乗り
70~80 rpm快適な巡航。
90 rpm〜スポーティな走り


街中を快適に走るのであれば70~80回転ぐらいがベストかなと思います。といっても、街乗りやポタリングであればケイデンスはあまり気にせず、その時の気分で一番気持ちいい具合でペダルを回しておけばいいです。

スピードはどれくらい出るのか?

自転車のスピードはギア比、タイヤ周長、ケイデンスで決まるというのは前述の通りですが、実際にどれくらい出るのか計算してみましょう。

tern/VERGE N8の理論値

こちらではternの折りたたみ自転車の代表的シリーズVERGEのエントリーモデルVERGE N8で計算してみます。ケイデンスは75rpmにしています。

11T13T15T18T21T24T28T32T
52T31.8 km/h26.9 km/h23.3 km/h19.4 km/h16.7 km/h14.6 km/h12.5 km/h10.9 km/h

どうでしょう?結構でるな〜という印象じゃないでしょうか。
ただし、ギア比が上がればケイデンスのキープも難しくなる上に、理論上の数値です。
実際は空気抵抗や路面状況など様々な要因で速度は変化しますので、あくまでも目安として考えてください。
例えば、フロントが52T、リアが15Tの場合、ギア比が3.46ぐらいなので、決して重すぎるということはありません。そこそこのスピード感で快適に巡航できる方が多いと思います。

実際の生活でのイメージ

数字だけではピンとこないと思うので、速度別に移動時間の目安を見てみましょう。通勤・通学でよくある5kmを例にしています。

時速5km移動の目安
15km/h約20分
20km/h約15分
30km/h約10分

もちろんその時の状況によって変わりますが、5km程度の移動であれば、信号待ちを含めても20分程で到着します。ちなみに筆者も通勤の際、電車を降りてから5km程の距離を自転車で移動していますが、それぐらいのイメージです。
電車通勤の場合は、乗り換えがあって、結果的に自転車よりだいぶ遅く会社に到着します。これぐらいの距離なら自転車の方が速くて、健康的でいいことづくめです。

シティサイクルと比較してみよう。

DAHON/K3 vs シティサイクル

では実際どれくらいの走行性能があるのか。
DAHONの代表モデルK3と一般的なシティサイクル(26型/タイヤ幅 1-3/8)を同じ3段変速同士で比較してみましょう。

ギア比/タイヤ周長比較

まず、ギア比とタイヤ周長を見てみましょう。
シティサイクルはもちろんモデルによって違いますが、平均的な数値を用いています。

ちなみに、シティサイクルの3段変速はK3のような外装式ではなく、内装式です。ギアはフロントとリア共に1つずつなんですが、リアハブの中に変速システムが組み込まれています。リアハブの中にもギアがあり、フロントとリア、そしてリアハブの中のギアの組み合わせで実際のギア比が決まるというようなイメージです。

3速2速1速タイヤ周長
K35.884.073.111029.92 mm
シティサイクル3.212.351.722034.72 mm

シティサイクルはやはり軽めに設定されているように見えますね。しかし、これには少しカラクリがあります。ホイール径が大きいと同じギア比でも進む距離が長くなるため、実質的な『重さ』は増します。
なので、26インチと14インチを比較すると約1.85倍の違いがあり、このシティサイクルのギア比を14インチ換算すると、実はK3より少し重いということになります。そして、当たり前ですが、タイヤ周長は26インチの方が圧倒的に大きいですね。ペダル1回転で進む距離もシティサイクルの方がどのギア比でも大きくなっています。

理論上の速度比較

続いて、先ほどのVERGE N8の時と同じ、75rpmで漕いだときの理論上の速度を計算してみましょう。

3速2速1速
K327.3 km/h18.9 km/h14.4 km/h
シティサイクル29.4 km/h21.5 km/h15.7 km/h

「あれ?」と感じる方もいるでしょう。そうなんです。タイヤ周長とギア比から計算する単純な理論上ではシティサイクルの方がスピードが出るんです。

では折りたたみ小径車の走行性能はシティサイクルよりも低いということでしょうか?
そうではありません。先ほども少し述べたように、これはあくまでも理論上の数値であって、実際は自転車の重さや乗る人の体重を合わせた重量、他にも空気抵抗、転がり抵抗など様々な要因でスピードが決まります。
そして、自転車は人力で進むものなので、漕ぐ力にも限界があります。

速度とパワーの関係

上記の要因を考慮し、乗る人の体重を65kgと仮定し、計算してみました。
計算に用いたのはこの4モデル。

K3K9XSpeed Falcoシティサイクル(内装3段)

計算方法はかなり複雑になるので割愛しますが、グラフを見ると、シティサイクルの曲線が一番急角度になっています。
これは、速度が上がるにつれて走行に必要なパワーが増えることを意味しています。
その他の3モデルの方が曲線は緩やかですね。
ものすごく簡単にいうと、『シティサイクルの方がスピードを出す、維持するのがしんどい』ということになります。

走行に必要なパワーって?

この『走行に必要なパワー』という項目についてですが、FTP(Functional Threshold Power)という数値があります。これは『1時間維持できる平均パワーの限界値』です。目安として、運動習慣がほとんどない方の場合や少し自転車に乗る程度の男性が出せるFTPが80W~120Wぐらい。一般的な男性が出せるのが120W~160Wぐらいと言われています。ちなみにこのFTPという数値、競技者レベルになると280W以上、ツールドフランスなどの国際レースに出場している選手の場合、400Wもの力を継続して出せるそうです。すごい。。。


以下に同じ3段変速同士のK3とシティサイクルを例に、20km/hで走る際のギア比ごとのケイデンスと必要なパワーをまとめました。

ケイデンス必要なパワー
K3 53/969 rpm120.9 W
K3 53/1399 rpm
K3 53/17130 rpm
シティサイクル(トップ)62 rpm155.74 W
シティサイクル(ミドル)85 rpm
シティサイクル(ロー)116 rpm

ケイデンスはタイヤ径が大きいこともあり、シティサイクルの方が少ないですが、必要なパワーの違いは一目瞭然ですね。
K3は一般男性でも20km/hでの巡航は十分可能そうですが、シティサイクルは少し厳しい数値になってきています。
速度が上がれば必要なパワーも増えるので、その差は歴然。
巡航速度だけでなく、必要なパワーが大きいということは短時間で出せるトップスピードもシティサイクルは限界が早くくるということですね。

走行に必要なパワー=脚力ではない

ギア比が変わっても必要なパワーが変化しないことに疑問を感じる方もいるかもしれません。
ここでいうパワーというのは速度で決まります。ギア比が重いとペダルを回すために大きなトルク(回転力)が必要ですが、これは脚力を使って生み出すものです。
パワーは『トルク×ケイデンス』で算出するので、速度が同じならギア比を変えてもパワーは変わりません。ただし、ギア比を変えるとトルクとケイデンスのバランスが変わります。そのため、同じ速度なら必要なパワーは変わりませんが、体感は大きく異なります。

折りたたみ自転車は理論以上の走りの良さを体感できる

実際走る時は、他にも風の影響や路面状況など他にもたくさんの要因があるので、どの数値も理論上のもので、あくまでも目安として捉えてください。
しかし、シティサイクルは平均して18kg~20kgの重量があり、さらにはいわゆる『よく走る』設計ではありません。より『走ること』を意識した設計・パーツ構成になっている折りたたみ自転車は、体感では理論以上の差を感じるでしょう。

DAHON/ternの折りたたみ自転車をタイプ別にご紹介。

一言で折りたたみ自転車といっても、様々なタイプがあります。
走行性能に特化した、スポーティな走りが楽しめるタイプもあれば、街乗りに適したスペック&高コスパタイプも。
ここではSHIFTAで取り扱っているDAHON/ternの折りたたみ自転車をタイプ別にご紹介します。(2025年11月現在)
商品名から製品ページに移動できるので、気になるモデルは是非詳細を確認してくださいね。

スポーティモデル

tern/Verge X11
圧倒的な利便性と洗練された乗り心地のVergeシリーズの最高峰。
高品質パーツを惜しみなく搭載し、折りたたみ自転車の概念を変えるほどの走行性能を誇る。

tern/Verge N8
圧倒的な利便性と洗練された乗り心地のVergeシリーズのエントリーモデル。
エントリーモデルとはいえ、納得のスペックを実現。日常使いからサイクリング、フィットネスまで幅広く活躍する優れもの。

DAHON/Deftar TX

10kgを切る軽量さはそのままに、前作Deftarから劇的な進化を遂げ生まれ変わったDeftar TX。 あらゆるユーザーのニーズに応えるポテンシャルを兼ね備えた、オールラウンドなベースモデル。

DAHON/Speed Falco
2000年以前からラインナップされているSpeedシリーズの最終進化形として精悍なルックスとスポーティーな走りを両立。ETRTO451のホイールがよりスポーティな走りを提供しつつ、クロモリフレームのしなやかさも感じられる。


コンパクト&軽量モデル

DAHON/K3
14インチコンパクトフォールディングバイクの理想形。
3段変速を装備しながらも本体重量8.2kgの軽量さを実現。登場以降、常に話題となり、フォールディングバイク界のゲームチェンジャー的存在となった。

DAHON/K1
大人気モデル『K3』の兄弟的存在。あえてシングルスピードにすることで更なる軽量化を果たした。それでいて、走行性は妥協することなく、普段使いに十分なスペックを備えている。

DAHON/K9X
話題を掻っ攫ったKシリーズから、満を持して登場した16インチモデル。9速化を果たし、走行性能の大幅な向上を果たしつつも、10kg以下の軽さを実現。発表直後から話題となり、人気を博している。


街乗りメイン。普段使いに十分な性能の高コスパモデル。

Boardwalk D7
クロモリフレームとシルバーパーツを組み合わせたヨーロピアンスタイル。洗練されたデザインだけでなく、街乗りに適した使用感から、エントリーグレードを超えた喜びが得られる。

Hit
エントリーモデルながらも街乗りに十分な6段変速に加え、前後フルフェンダーやスタンドも標準装備で日常使いにベストな1台。ハンドルの高さも調整でき、家族間の共有も容易に。必要十分なスペックが備わったハイコストパフォーマンスモデル。

Link A7
スポーティな走りのVergeに対し、街乗りを重視して設計されたモデル。走行性能も普段使いには十分で、バランスのいい1台。

DAHON/tern 折りたたみ自転車比較表

モデル名ホイールサイズ変速数フロントリア重量折りたたみサイズ
Verge X1120インチ(ETRTO451)11速52T10-42T10.2 kgW80×H74×D38
Verge N820インチ(ETRTO451)8速52T11-32T11 kgW79×H72×D38
Deftar TX20インチ(ETRTO451)8速53T11-30T9.9 kgW82×H65×D42
Speed Falco20インチ(ETRTO451)8速53T11-32T12 kgW82×H66×D36
K314インチ3速53T9-13-17T8.2 kgW65×H59×D28
K114インチ1速42T9T7.8 kgW65×H59×D27
K9X16インチ9速55T11-28T9.5 kgW72×H62×D39
Boardwalk D720インチ(ETRTO406)7速52T12-28T12.5 kgW78 × H65×D34
Hit20インチ(ETRTO406)6速52T14-28T12.2 kgW82×H66×D35
Link A720インチ(ETRTO406)7速52T14-28T12.1 kgW80×H73×D39

結論:どれを選べばいいの?

この記事では『走行性能』について、理論上の数値で説明してきました。
では自分にはどんな折りたたみ自転車が最適なのでしょう。
これに関しては明確な答えはなく、最終的には『好み』となってしまうでしょう。
しかし、どういう風に折りたたみ自転車を使いたいか、自分のライフスタイルと照らし合わせると、選択肢を絞ることができると思います。

ちなみにつらつらと理論を語りましたが、

『かっこいいから乗りたい!』『おしゃれ!』『色が好き!』

そんな、理論ではない直感での選び方も大正解だと思いますよ。

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