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0.3からはじめるウルトラライト輪行ソロキャンプ Vol.09 熊リスクゼロのキャンプ場で焚き火に包まれる

短い秋が終わり、気付けばすっかり冬。毎年、春と秋は仕事が特に忙しく、気持ちよくキャンプができる10〜11月を今年も逃してしまった。今回は暖をとるため、焚き火をしてみようと思う。アニメでよくある「焚き火のそばで寝る」シーンに憧れていたものの、現実的には難しい。とはいえ、シュラフに入る直前まで火があれば、かなり快適に過ごせるだろう。

ただ、今年はクマによる人身被害が過去最悪レベルに達し、テレビでも連日のように報道されている。雄大な景色を見ながらのキャンプが好きな自分にとって、自然豊かな場所に気軽に入りにくくなったのは大きな問題だ。さまざまな対策が語られているが、ビギナーでも心から安心してキャンプを楽しむには、そもそもクマが生息していない地域でキャンプをするのが最も確実ではないだろうか。

というわけで、今回のテーマは 「安心できるキャンプ場で焚き火をして暖まる!」 に決定した。

クマ出没の心配のないキャンプ場はここだ

大自然の中でキャンプしたいという人は多いが、登山のテント泊のような高標高地や、電気柵や金網で守られたキャンプ場でもない限り、ビギナーにはハードルが上がってしまった。

関東では千葉県が、本州で唯一クマの生息が確認されていない「熊なし県」として注目されている。関西から近い場所だと瀬戸内海の島々だろうか?などと考えていたのだが……

くまもりマップ(熊出没危険度マップ)

そこで思い出したのが、以前にも利用したことがある淀川キャンプフィールド」

大阪市内、梅田からすぐという好立地にありながら、広々とした河川敷で焚き火もキャンプも楽しめる希少なスポットだ。アクセスが良く、クマの心配も一切ない “究極の街なかキャンプ場” として、都会とアウトドアのいいとこ取りができるフィールドである。

冬でもポンチョタープスタイルで寝る!

梅田から淀川キャンプフィールドまでのアクセスの良さはVol.06を見ていただくとして、今回は到着シーンから。今回は自走なので、折りたたみではないDAHONの Mako でやってきた。Makoは世界最大の折りたたみ自転車ブランド DAHONのラインナップの中では希少なノンフォールディングモデルで、見た目の可愛さに反して乗ると機動性の高さに驚かされる、正統派のハイグレードミニベロロードだ。

空には冬特有の重い雲が広がり、寒波の影響で急な冷え込みに。焚き火がどれほど暖かいか、試すのが楽しみだ。

オーダーして作ってもらったフレームバッグに重い荷物を詰め込めるので、バックパックの負担が少し軽くなる。とはいえ冬はどうしても防寒具がかさばる。(実はこのほかに、途中のコンビニで買った水や飲み物の袋も追加で持っている)

 
風が強く、空模様が一瞬で変わる。雲の隙間から差す光に、少しだけ気持ちが軽くなった。さて、設営に取りかかるとしよう。

寝床は今回もポンチョを片屋根タープ状に張るスタイルだ。UL(ウルトラライト)仕様としてこの連載で採用している方法だが、特殊すぎると家族からも指摘され、そろそろ軽量のソロ用テントを導入しようかと考えている。しかしこの手軽さ、自然との一体感は本当に素晴らしい。

寝るための装備はこれだけだ。左からシュラフ(寝袋)、防寒・防水のためのシュラフカバー、タープ代わりに張るポンチョ、ポンチョを張るためのガイロープ、ペグ、ペグハンマー、上の長いのはポンチョの支柱(テントポーツ)として使うトレッキングポール、下に広げているのが寝る際に敷くマット。全部で約1.9kg(カタログ値)。これだけあれば、冬でも問題なく寝られる。

設営完了。自立式ではないので最初の位置決めが重要となるが、作業はシンプルなので所要時間は短い。依然として風が強いので、風向きは考慮した。この見た目がかなり好きだ。冬は虫の心配もないので、かなり快適に寝られるだろう。

今夜は焚き火でぬくぬくキャンプ(※予定)

太陽が雲に隠れると、寒々しい景色になる。早々に焚き火の準備に取り掛かろう。

管理事務所で薪を購入してきた。一緒に水と、芝生を保護する板も貸し出される(その他、ゴミ袋も配布される)。

使うものはこちら。左上、オレンジはダイソーで購入した防火手袋。あると無いとでは大違い。その右はTokyoCampの「HAKOSUKA」という組み立て式の焚き火台で、実売5千円弱。ステンレス製、985gと軽量でかなり重宝している。あとは薪を細く割るバトニングナイフ、軍手、焚き火シート、新聞紙、火ばさみ(トング)。このほかに風防(ウインドスクリーン)があれば、風除けになるばかりかリフレクターとして機能してさらに暖かさが期待できるそうだ。

焚き火台の組み立てはいたって簡単。支柱の上下を繋いで天板をはめるシンプル構造なので、動画を1回見れば1分もかからず組み立てられる。

華奢に見えて結構丈夫で、耐荷重は20kgを謳っている。

焚き火の唯一大変な作業は、自分的には薪割りだ。難しくは無いが、地味に時間がかかる。だいぶ暗くなってきて、ようやく準備完了。

火おこしを失敗すると薪を無駄に消費するので、細い薪を必要以上に用意してしまう。フェザースティックは雰囲気重視。新聞紙があれば必須ではない。

販売されている薪は針葉樹で、広葉樹ほど長持ちはしないものの、火付きは良い。あとは新聞紙にライターで着火するだけだ。

新聞紙から細い薪に火が移ったところを撮影したかったが、風が強くて一気に火が大きくなり、薪を追加するのに忙しくて撮れなかった。気付くとすっかり暗くなっている。梅田の夜景が綺麗だ。

なんともいい雰囲気。少々風が強いことを除けば、今日も気持ちの良いキャンプだ。

太い薪をくべて、ひと段落。落ち着いたので、ご飯の時間にしよう。

スパイスカレーでも暖まる(※計画)

夕食はカレー。数年前からハマって時々作っているカルディの「スパイスからつくるインド式カレー 20g」を事前に自宅で作り、現地では温めるだけで済むようにした。暖かいカレーで冬のキャンプを乗り切る計画だ。

一応、スパイスカレーの作り方もご紹介。

材料は、にんにく、しょうが、玉ねぎ、ホールトマト缶、鶏もも肉、プレーンヨーグルトなど。

鍋にサラダ油を入れて中火で熱し、粗みじん切りした玉ねぎを入れ、褐色になるまで炒める。そのあと、すりおろしたにんにく、しょうがを入れて炒める。

ホールトマト缶を加えてヘラで崩しながら炒め、スパイスミックスを投入。

ひとくち大に切った鶏もも肉、塩を加えて、鶏肉の色が変わるまで炒める。

よく混ぜたプレーンヨーグルトを、水、ローリエと共に加える。

煮込んで完成。自分のような料理初心者でも失敗なく作れる。

 
焚き火がすっかりいい感じになっている。

せっかくの焚き火なので、食パンを串に刺して炙って食べる。カレーに付けるパターンも試すが、こちらは普通、地味だった。

カレーで暖まれるか……の結果だが、正直にいうと、スパイスの辛さばかりが際立ってしまい、実際に “食べて暖まったか” はよく分からなかった。スパイスカレー自体は日本の一般的なルーのカレーよりも断然好きなのだが、辛いものは辛いし、食べる前から焚き火で十分暖かかったのだ。

食後に辺りを散歩する。時々電車の音が遠くに聞こえる以外は、静まり返っている。堤防の上から梅田を眺める。手前に細く横一直線に光っているのは淀川だ。冬の平日、キャンプ場は貸切状態だ。気軽に来れる場所なのにこの満足感。個人的には貸切状態の方が落ち着くので好きだが、もっと多くの人に知られるべきキャンプ場だと思う。

焚き火はほとんど熾火(おきび)の状態になったので、間も無く終了だ。設営して、火おこしをして、食事して、終わり。

インスタ映えするようなことはしていないが、自分はこれで十分だ。ソロキャンプを時々することでリフレッシュするいい機会になっている。

快適な日常生活とのギャップがソロキャンの面白さ

枕が無かったせいで、完全に眠りに落ちるまでに時間がかかった。シュラフの中から上に手を出して何かないか手探りで探し、ゴミ袋を枕代わりにした。薪が入っていた段ボール箱を折りたたんで入れていたので、それでようやく眠ることができた。キャンプ用の枕は複数のアウトドアメーカーから出ているが、空気で膨らませる軽量なタイプのものだとしても、そういった便利グッズが徐々に増えることで荷物全体の重さに響いてくるので、ずっと躊躇している。着ていない衣類やタオルを枕代わりにと考えたこともあるが、今回使えそうなものは見当たらなかった。

朝方は案外、ゆっくり眠れた。目が覚めたのは6時ごろ。夜明け前で空が綺麗だ。いつものことだが、目が覚めて最初に見る景色が、一夜を超えた安堵感もあり思い出に残る。

とりあえず湯を沸かす。チャイを淹れる材料も持ってきているが、熱いコーヒーが飲みたい。

近くに可愛らしい鳥がやってきた。画像検索するとハクセキレイというそうで、芝生にいる小さな虫を探しているようだ。都市部でも普通に見られるとあるが、ほとんど見た記憶がない。スマホばかり見て、自分の周りを観察する習慣がなくなっているのだろうか。

朝食はインスタントのコーンスープとパンとコーヒー。ゆっくり眠れたとは言ったものの、自宅の暖かいベッドに潜り込むのが今から楽しみだということは隠せない。キャンプは好きなのだが、日常生活とのギャップが良いのであって、快適であるということではない。逆に、キャンプが快適になってしまうと、自分の場合は面白く無くなるのかもしれない。

ポンチョは珍しく濡れていなかった。風が強かったからだろうか。撤収を終えたので、川向こうの日常へ帰るとしよう。通勤ラッシュを横目にゆっくりサイクリングを楽しもう♪(※昼から出社します)

最近、ソロ用テントの購入を考えているので、ポンチョタープでのキャンプは今回が最後になるかもしれない。不定期更新の連載コラム、また次回も身の丈に合った内容でお送りするので、ぜひお楽しみに。少し早いですが、皆さんよいお年を。

 
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この記事を書いた人

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