DAHONのバイク選びで最も話題にのぼることの多いのが、「K3にすべきか、K9Xにすべきか」問題。
「コンパクトフォールディングバイクの理想形」と言われるKシリーズですが、2018年のK3のリリースを皮切りにシリーズ化され、どれを選ぶべきか悩まれる方をよく見聞きします。その中でも多いのが冒頭の、「14インチで軽くてスポーティーな3段変速のK3か、16インチ化され更に走行性能、安定性を高めたK9Xか」という悩ましい(楽しい⁉︎)二択。
簡単に言うと、極限まで軽さを優先するか、走行性能も意識するかの違いですが、実は他にも検討すべきポイントが。自分の使い方に合っているのはどちらなのかを、今回は様々な切り口で考えてみます。
#1 「軽さ」vs「走り」のトレードオフ
Kシリーズの購入を検討されている時点で、あなたは軽量&コンパクトなバイクを求めているはずですよね。であればK3!と言いたいところですが、スポーツバイクのDAHONを選んでいると言うことは多少なりとも走りも意識しているかも。つまりトレードオフの関係にある軽さと走りのバランスを、あなたの選択基準でどこに結論づけるかと言うことに。
重量差(約1.3kg)をどう捉えるか
K3の車体重量は8.2kg、K9X は9.5kgで、差は1.3kg。9.5kgでもフォールディングバイクとしては十分に軽い部類ですが、K3と持ち比べてしまうとK3が欲しくなってしまいます。車に載せたり家に持ち込んだりするには全く問題ありませんが、輪行(公共交通機関への持ち込み)時の乗り換えで人の多いターミナル駅の長い通路を歩いたり、階段を上り下りする際に「心理的ハードル」が上がるのは事実。それでも「走りを重視するんだ!」という方はK9Xを、「とにかく軽さを!」という方はK3がオススメです。
14インチ vs 16インチの直進安定性
軽さを最優先させたK3は清く割り切ったスペック構成。例えば14インチサイズのホイールの走りは、小径車に不慣れな方は(最初だけですが)クイックな操作感に戸惑うかもしれません。慣れれば超軽量バイクの快適さに病みつきになりますが、一応チェックポイントとなります。対してホイールベースの延長と16インチへの大径化で「フラつかない走り」を手に入れたK9Xは、K3と乗り比べると感動するかもしれません。その時に、1.3kgの重量差を受け入れられるかがバイク選定のポイントになります。
タイヤの違いによる乗り心地
14インチサイズのホイールに1.35インチ幅のタイヤを装着したK3と、16インチ、1.5インチ幅のK9X。違いは僅かにみえますが、試乗してみるとエアボリュームのあるK9Xのマイルドな乗り心地に気づくはず。また都心の舗装路でも案外凹凸のある道はあり、より小径なK3の方がダイレクトに手に伝わるので(極論すればですが)ロングライドでは疲れやすい傾向があると言えます。もちろんK3は超軽量な走りがウリでもあるので、ここは完全な好みになります。
K3の14インチホイール(左)とK9Xの16インチホイール
ちなみにDAHONでは純正アクセサリーとしてK9Xのワイドタイヤを2種ご用意していますので、好みに応じて気軽にカスタムしていただけます。
#2 ブレーキシステムの大きな違い
超軽量モデルのK3のブレーキは多くの小径車で採用されているVブレーキ(リムブレーキ)ですが、より走りを重視したK9Xには機械式ディスクブレーキが採用されています。
走行面での影響は
街なかをのんびり走るのにはK3で十分ですが、使うシーンによってはK9Xが良いかもしれません。例えばロングライドやヒルクライムをされる方。山に上って下ってくる時など、一般的なリムブレーキを長時間使い続けるとブレーキパットが過熱されて効きにくくなり危険なことがあります。小径車はホイールが小さい分タイヤの回転が速いので、その傾向が顕著になります。
対してディクスブレーキは長時間使い続けても常に安定した制動力を発揮し、安全に走行することができます。
K3のVブレーキ(左)とK9Xのディスクブレーキ
ルックスやメンテナンス性
ディクスブレーキは、何よりその見た目が格好いい!と思う方が多いのでは?自転車はルックスも大切だと思いますが、メカニカルでキラッと光るディスクブレーキは案外目立つので重要な選択肢になるかもしれません。
良い事ずくめに思えるディスクブレーキですが、メンテナンス性に関していえばVブレーキの方に軍配があがります。K9Xのディスクブレーキはワイヤー駆動の機械式なので油圧式よりも難易度は低いとされていますが、メカニカルなメンテナンスが好きな方でないと難しい領域といえます。
#3 アイデンティティの違いがもたらす「行ける場所」の差
K3のアイデンティティとは
K3は3段変速とはいえ、14インチサイズのバイクとしては驚異的な高ギア比が設定されています。これは、一般的な14インチバイクに比べると、行ける距離が大きいことを意味します。さらに漕ぎ出しが軽いという小径車本来のメリットも加わることで、結果としては、ストップ&ゴーの多い街乗りや中距離(〜25km程度)までのサイクリング、さらにそこに輪行も組み合わせた使い方に圧倒的に適しています。K3は「軽くて小さくてどこでも連れて行けるのに、よく進む自転車」といえます。
K9Xのアイデンティティとは
16インチ、太めのタイヤ、多段であるK9XはK3より走行性能が向上し、25km以上のロングライドも守備範囲となります。ストップ&ゴーにも強いし、加えて坂も上りやすい、要はバランス型のモデルです。小刻みな変速でストップ&ゴーが多い街乗りはもちろん、アップダウンの組み合わさった道や長距離走行も16インチサイズとは思えない安定感で走行することができるK9Xは、「折りたたみもできる、いろんな道を走れるちゃんとした自転車」といえます。
スポーティさと快適性、その意外な関係
K3は超軽量で街乗りに適したモデル、K9Xはアップダウンや長距離走行にも対応できるモデルといえますが、2台を並べるとK3のほうがよりスポーティなキャラクターを備えていることが見えてきます。
その違いの大きな要因が、ハンドルポストの角度によるポジション設定です。サドルからハンドルまでの距離が異なることで、走行性能や乗り味、乗車姿勢にも明確な差が生まれます。
K3(手前)とK9X
K9Xはハンドル位置が近く、ハンドルバーも高いため、自然とアップライトな乗車姿勢になります。一方のK3はやや前方に手を伸ばすポジションとなり、より前傾の効いたスポーティな姿勢を取りやすい設計です。
興味深いのは、9速を備え走行性能やスポーティさを追求しているK9Xのほうが、ポジションとしてはむしろリラックス志向である点です。これは「タイヤの違いによる乗り心地」で触れた、K9Xの方がエアボリュームのあるタイヤでマイルドな乗り心地であることと共通しますが、疲労を溜めずに長距離も走れるようにするという考えに基づいています。
K9Xは、扱いやすいポジショニングに加え、9速と16インチホイールの効果によって、無理なくスポーティな走行性能を引き出せる点が魅力です。安定感や安心感も高く、特に小柄な方にとってはハンドルまでの距離が近いぶん、K3よりも扱いやすく感じられるでしょう(ただし、身長175cm程度までの方であれば、過度に窮屈に感じることは少ないはずです)。
対してK3はシンプルな構成ながら、乗車姿勢はよりアグレッシブです。街乗り志向だからといってスポーティーさは切り捨てない。そういう点が、乗っていてとても楽しい1台なのです。
#4 折りたたんだ際のコンパクトさ
K9Xの「走り」に対して「軽さ」がウリのK3ですが、実はサイズも重要なポイントです。折りたたんだ時のサイズは、K9XのW72×H62×D39㎜に対してK3はW65×H59×D28㎜。横幅、高さ、奥行きとも少しずつですが確実にK3は小さく、K9Xの入らないところにもK3なら入るということが。
写真は大阪メトロの中サイズコインロッカー。入口幅が330㎜のためK9Xは入らないが、K3はシートポストを抜けば入る
自宅での収納(特に玄関先など)や、車に複数台載せる時にも影響しますし、輪行で狭い自動改札機を抜けたり人通りの多い通路を歩く際にも、このちょっとした違いが効いてきます。
並べて比較すると、K3(左)の薄さに対してK9Xは厚みがあるのがわかる
横幅や高さはそれほど違いのないようにみえる
#5 アクセサリーの使い勝手は…
DAHONブランドでは様々なアクセサリーをラインナップしています。K3やK9Xにオススメの定番アイテムをご紹介します。
輪行袋
DAHONでは、JRグループをはじめ多くの大手鉄道会社対応した輪行袋「Slip Bag」を、車体サイズに応じて4種類ご用意しています。車体全体を覆いファスナーで閉じる形状のため、袋からタイヤやシートポストが飛び出す事がありません。未使用時にはコンパクトに畳んでシートポストやハンドルバーに取り付けられます。輪行しない時でも、屋内での保管や車載時にほかのものを汚さなくて済むので、1枚あれば便利です。
→ Slip Bag製品ページ
Slip Bagはショルダーベルトで車体を吊る構造のため生地を薄くすることができ、軽量化が図られている
不使用時の輪行袋は車体の好きな場所に固定しておくことができる
リアラック
車体の後ろにラックがあれば、会社帰りに思いつきで買い物をした時にも便利。それぞれの車体サイズに馴染むスマートなデザインを採用しています。
→ K3用リアラック:Rear Rack 14″ 製品ページ
→ K9X用リアラック:Multi Rear Rack 16-20″ 製品ページ
フェンダー
急な降雨や雨上がりの濡れた路面を走る時には、フェンダー(泥除け)があると安心です。特に通勤通学や日々の買い物など、普段からDAHONに乗ることの多い方は、装着しておくと安心感が増します。
→ K3用フェンダー:Fender 14"
→ K9X用フェンダー:Fender for Disc Brake
タイヤ
自転車の中で、フレームの次に目を引くパーツがタイヤです。そして同時に、走行性能にもっとも大きく影響するのもタイヤ。使い方に合わせてカスタムできるのが自転車の楽しさですが、タイヤを標準装備のものから替えるだけで、見た目も走りも驚くほど変わります。DAHONではK9X用公式オプションタイヤとしてシュワルベのビリーボンカーズとスマートサムの2種類をご用意しています。比較記事もご用意していますので、ぜひ製品ページでご覧ください。
→ SCHWALBE / Billy Bonkers 16×2.00 製品ページ
→ SCHWALBE / Smart Sam 16×1.85製品ページ
スマートサム(手前)とビリーボンカーズを装着したK9X
#6 まとめ
「軽さという正義」か、「走りという余裕」か。K3とK9Xは、似ているようで全く異なるキャラクターを持っています。
● 1gでも軽く、どこへでも連れ出したいなら「K3」。
● アップダウンのあるロングライドを楽しみ、数十キロ先の景色まで見に行きたいなら「K9X」。
どちらを選んでも、折りたたみ自転車の世界がぐっと広がることは間違いありません。あなたのライフスタイルが「街中」にあるのか、それとも「旅先」にあるのか。その答えが、そのままあなたに最適な一台になるはずです。