2025年の暮れに発表され、ついに日本上陸を果たした新生SIDIのプロダクト。中でもUAEチームエミレーツの若きホープ “イサーク・デル・トロ" との共同開発として注目を集めたSHOT 3は、すでにヨーロッパのワールドツアーレースで数多くのトップライダーに選ばれています。
先代SHOT 2Sからの最大の進化ポイントは、
・約10%の軽量化
・新ラスト“ミレニアムフィット"採用
・フィット感と快適性の大幅向上
にあります。
従来のSIDIらしい高いホールド感やダイレクトなペダリング性能を維持しながら、「SIDIは細い」と感じていたライダーにもよりフィットしやすい一足へ。
先代SHOT 2Sとの違いを交えながら、その進化したディテールを詳しく解説していきます。
■SHOT 3
タン中央に配置された2つのダイヤルが特徴的なSIDIのフラッグシップモデル。デザインを一新したSHOT 3ですが、その本質は先代SHOT 2Sからしっかりと受け継がれています。前作の登場から数年という比較的短いスパンでのモデルチェンジながら、各部を丹念に磨き上げることでフィット感やホールド性、ペダリング効率をさらに高次元へと引き上げました。さらに約10%の軽量化も実現し、フラッグシップにふさわしい完成度へと進化しています。
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新開発R1FCソールがもたらす高剛性とダイレクトなペダリングフィール
先代のSHOT 2向けに開発されたC-Boostソールと、今回新たに開発されたR1FCソールの違いについて詳しく見ていきます。
先代、SHOT 2のアウトソール
今回のSHOT 3における大きな進化ポイントのひとつが、先代SHOT 2Sと比較して約10%の軽量化を実現したことです。そして、その軽量化に大きく貢献しているのが、新開発のR1FCソールとDUO FITカーボンシャーシ構造。ヒールカップとアウトソールを一体化したモノコック構造によって、軽量化だけでなくソールからヒールにかけての剛性やホールド性も向上。さらにスタックハイトを抑えることで足とペダルの距離を最適化し、ダイレクトな踏み心地と高効率なパワー伝達を実現しています。
ヒールカップとアウトソールが一体化したSHOT 3
剛性度合いを測るSTIFFNESS INDEXが最大の12なので、スプリント時などの高負荷でも撓まずにパワー伝達ロスを防ぐこともポイントの一つです。ソール剛性の新旧比較については、先代のC-Boostソールの剛性値が設定されていないですが、同等の剛性を持たせているとSIDIがコメントしています。トッププロであるデル・トロやティベーリの走りをしっかり支えることができる剛性感ということで、必要十分と言えます!
ライダーによって好みが様々なのがクリートの位置ですが、先代は前後に5mmの調整幅を持たせていたのに対して、R1FCソールはその倍の10mmの調整幅を持たせています。ロードレースからトラックレース、トライアスロンに至るまで理想的なポジショニングを可能にします。
先代同様にソールの前後に設けられたエアインテークがインソールとアウトソール間の通気性を高め、高いクーリング効果を発揮します。また、ヒールパーツは従来通り交換可能なので末長く使うことができます。従来の外側からのボルト固定ではなく、インソールを外して内側からボルトで着脱する仕組みに変更されました。
クリート調整幅と、ソールのベンチレーションホールの比較(上:SHOT 2/下:SHOT 3)
NUUN 001cダイヤルが実現する新たなフィットコントロール
先代まではSIDI独自のTECNOシステム"TECNO 3 PUSH FLEX"をタンの中央に2つ搭載し、TECNOダイヤルの中でも小ぶりで軽く、中央のボタンを押すとレバーた立ち上がるという仕組みでした。ダイヤルがタンの中央に位置することで締め付けが左右均等にかかるため、締め付けの偏りを抑えて足全体をしっかりホールド。誕生以降多くのユーザーに評価され続けるSHOTならではの特徴です。
今回SHOT 3もこの機構を踏襲していますが、このダイヤル自体に大きく改良が加えられ"NUUN 001cダイヤル"として生まれ変わりました。ダイヤル本体が更に小さくなり、レバーもアルミ製となって強度を上げながら軽量化も実現しています。一見、レバーが小さいので回しにくい印象を受けますが、レバーを支える面が根本に向かって広がり持ちやすい形状になっているのと、ダイヤルの回転が軽いため難なく調整が可能です。また、レバーを立てていない状態でも回すことができる形状なので、薄手のエアロシューズカバーなら履いたまま微調整をおこなうこともできます。
上:SHOT 2、下:SHOT 3
先代のダイヤルがタンの上で直線的な配置だったのに対して、Noon 001cダイヤルは上下のダイヤルで少し左右にずらしたアシンメトリーパターンを採用しています。これはダイヤル操作の効率性と、走行時の空力性能を向上させるためです。先代はプラスチック製のダイヤルのベース部分がタンに縫い付けられており、構造的にタンが厚く柔軟性が高いとはいえませんでしたが、Noon 001cダイヤルはプラスチック製のベースを設けず直接タンにダイヤルを装着する構造へと進化。タンも薄く柔軟性に優れることでフィット感が向上し、ダイヤルの位置も足の甲の形状に沿ってエルゴノミックにレイアウトされているように感じられ、アシンメトリー効果がここにも現れていると考えられます。
左:SHOT 2、右:SHOT 3
工具不要のヒールアジャスターと新インソールによる快適性向上
SIDIの歴代上位モデルに搭載されるヒールアジャスターがSHOT 3にも受け継がれています。前作までは精密ドライバーでフィット調整する必要がありましたが、今回から"Tool Free Heel Adjuster"という名称通り工具不要で指でダイヤル調整できるように改良されました。前作同様に左右個別に調整ができるので、足の形に沿って細かくセッティングできるのがポイント。
また、ヒールの内側はかかとに沿ってジャストフィットする形状となっており、このヒールアジャスター調整と合わさることでかかとの浮きを極限まで抑えることに成功しています。
上:SHOT 2、下:SHOT 3
左:SHOT 2、右:SHOT 3
インソールは従来の一般的なフォーム仕様から低反発のメモリーソール仕様へと変更となり、足型に沿ってインソールが沈み込むことでシューズ内の足の動きを抑制、快適性と安定性が向上しました。
ミレニアムフィット採用でさらに多くのライダーへ
アッパー素材に使われているモノコックマイクロファイバーは先代よりも柔軟性が高くなっていますが、引張強度はしっかり確保されているのでホールド感を維持したままフィット感が向上しています。また、先代は前方に通気口を設ける一方でアッパー全体のパンチングホールは少なめでしたが、今回は前方の通気口を排除する代わりにアッパー全体のパンチングホールを増やして通気性を確保しています。
ヒールのアッパー構造は先代から柔軟性が高く、ヒールアジャスターで調整した形状により追随するようにフィット感が向上。ヒール内部表面の滑り止めのラバードットと相まって引き足の時に踵がシューズ内で浮くのを防止します。また、素材の改良によって履き口の柔軟性が高くなり、脱ぎ履きのしやすさが向上しているのもポイントです。
SHOT 2
SHOT 3
そして、何といっても今回のモデルチェンジで一番の変更点となったのがラスト(足型)です。
これまで基本のラストであったレギュラーフィットは、平均的な日本人の足型に対して靴幅がやや狭い設計になっていたので、足の全長に対してハーフサイズ大きめを選ばれる方が少なくなかったと思われます。そこでSIDIが新たに生み出したシューズの前半分にゆとりを持たせたラスト"ミレニアムフィット"がSHOT 3にも採用されました。母指球あたりから前方部分が横方向だけでなく縦にも広くなっているので、「SIDIのシューズは足に合わない」と感じていた方も足の実寸に合わせてシューズを選んでいただきやすくなりました。
ミレニアムフィットはアジア向けの仕様ではなく、欧米向けにも同じラストで販売されているグローバルフィットとなります。従来のラストがジャストフィットだった方にも最適なフィッティングを提供できますのでご安心ください。
注意点として、これまでのレギュラーフィットと同じサイズ表記でも適合する足の実寸が変更になっているので、サイズ表の確認は重要です。たとえば41サイズだとレギュラーフィットが25.3cmに対してミレニアムフィットは25.8mmと5mm長くなっているので、SIDIユーザーの方が買い替え時にサイズを選ぶ場合は特に気をつけていただきたいポイントです(筆者の場合、これまでよりハーフサイズ小さくてベストフィットでした)
アッパー素材の柔軟性が高くなり、クッション性の素材を部分的に設けることでシューズ全体の履き心地が格段に良くなっているとはいえ、足のホールド性が損なわれるわけではなくパフォーマンスに加えて快適性も追求した成果であり、履いた瞬間に体感できる特徴だと思われます。
より多くのライダーにベストフィットを提供する一足へ
このようにSHOT 3は、先代SHOT 2Sから正常進化を遂げただけでなく、フィッティングにも大きな改良が加えられたことで、これまで以上に多くのライダーへベストフィットとベストパフォーマンスを提供できる一足となりました。
軽量化に加え、高い剛性とダイレクトなペダリングフィールを高次元で両立し、快適性やホールド性もさらに向上。イタリアの自社工場による製造や交換可能なパーツといったSIDIならではの価値を継承しながら、より洗練されたデザインへと昇華されたことで、性能だけでなく所有する歓びまで満たしてくれるフラッグシップモデルに仕上がっています。
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