遊ぶ
0.3からはじめるウルトラライト輪行ソロキャンプ Vol.11 軽さはそのまま。超軽量ソロテントという選択
2026.07.24
前回のVol.10で紹介したが、NEMOの超軽量テント「Dragonfly™ Bikepack OSMO™ 1P」を導入した。UL(ウルトラライト)スタイルとして軽量さを最優先にしてきた本連載が、より多くの人にとって現実的な選択肢を提示するフェーズに入った。
今回は実際に屋外でテント泊をし、自転車キャンプにおけるテント選びの視点や、実際に使って感じたメリット、そしてポンチョタープと比較して見えてきた違いを整理していく。
※今回のキャンプの様子はいちばん下に掲載しています!
目次
これまでのおさらい:0.3装備とポンチョタープという選択
ポンチョを用いたビバークの成功体験と、いくらバイクパッキングをしても輪行する際には荷物は車体から外して担ぐ必要があるという矛盾から、キャンプ道具はバックパック一つに収めておけばいいのでは?という思いつきでスタートしたのが、本連載だ。
回数を重ねてきた中で、テントを持たず、ポンチョタープで寝床を確保してきたこれまでのスタイルは、一つの成功事例だと感じている。軽さ・汎用性・輪行との相性は抜群だった。事前の用意、移動、設営、撤収、帰ってからのメンテナンスなど、全てにおいて手軽で自分に合っていた。

ただし、天候の不安(横殴りの雨が降ったらどうしよう)、設営場所の不安(手持ちのペグは刺さるかな)、防犯面の不安(オープンすぎてプライバシーがない、トイレに行くにも貴重品を残せない)、疲労に繋がる苦労(吹き曝しの風、寒さ、蚊の侵入)などがあったことは確かだ。

ストイックに見えて格好良くはあるが、そろそろ快適さとのバランスを考えていこう。そういう時期にきたのだ。
テントにすると、こんなにラクになる
ポンチョタープは軽くて張り方にも自由度が高く、UL装備としては理にかなった選択だと思っている。実際、ここまでの連載でも大きな不満はなかった。ただ、テントを使ってみて最初に感じたのは、「キャンプがこんなに気楽なものだったのか」ということだった。
まず大きいのは、天候や地面条件に対する許容範囲の広さだ。ポンチョタープはトレッキングポールなどを支柱にテンションをかけながらペグダウンし立てていく。一度張ると移動や向きを変えることはできないので、事前に慎重に風向きを読み、地面の傾斜や寝心地も確認する必要がある。一方、今回選んだテントは自立式なので、そういった “考える工程" がほぼ不要になり、おおまかな場所を決めたら立てるだけ。日が暮れかけていたり、走行距離が伸びて疲れている状況では、この差は想像以上に大きい。
虫や突然の雨に対する安心感も段違いだ。ポンチョタープでは「問題が起きたら対処する」前提だったのに対し、テントでは「基本的に何も起きない」。この精神的な余裕が、ソロキャンプではそのまま快適さにつながる。
結果として、設営や就寝前に使うエネルギーが減り、その分を食事や景色、何もしない時間に回せるようになった。ただ、UL=我慢、というイメージがあるとしたら、それは少し違う。テントを使うことで、むしろ “無駄な消耗" が減ったというのが正直な感想だ。

設営の話を抜きにしても、ポンチョタープには「使い続けるほど気になる点」があった。象徴的なのが、タープの入口中央に鎮座する支柱だ。強い日差しや雨を避けてタープの下に座った状態から外を向いて調理など作業をする際は、支柱の左右どちらかですることになり、また出入りをする際も支柱から伸びるガイロープに身体が接触することが(夜間は特によく)あり、軽量化のためとはいえ、正直ストレスだった。どこか落ち着かない。ULだから当たり前、と自分に言い聞かせていたが、快適とは言い難い。
プライバシーに関しても同様だ。ポンチョタープは基本的に「外から丸見え」で、キャンプ場では常に人の気配を意識することになる(前に人がいる場所は避けていた)。シュラフで寝ながらも星を見られるポンチョタープでの経験は他では味わえないかもしれないが、ソロキャンプで癒されたいはずが、どこか気を張ったまま眠り朝を迎えることになるのは、本末転倒と言っていい。まぁ、そういうのもひっくるめて面白いのだけど、一般人向きではないだろう。

さらに致命的だったのが、サイトを離れづらい点だ。トイレに行くにも、貴重品、とりわけ撮影用のカメラなども置いていく気にはなれず、結局すべて持って移動することになる。数分の用事のたびに貴重品フル装備で歩く姿は、ULというより不審者に近い。テントを使ってみて分かったのは、これらの問題が「慣れ」では解決しないということだ。
閉じられた空間があるだけで、視線も、荷物も、気持ちも守られる。軽さだけを理由に目をつぶっていた不便さは、テントという選択肢の前では案外あっさり解消されてしまった(テントから離れる際は、南京錠を使って施錠すればより安心)。
なぜNEMOのDragonfly Bikepack OSMO 1Pを選んだのか
テントを導入すると決めた時点で、「どんなテントでもいい」というわけではなかった。
重要視したのは圧倒的な軽さとタフさの両立
Bikepack OSMOには1P、2Pがあるが、狭くともここは軽さ優先で1Pとした。軽量テントは繊細になりがちだが、Bikepack OSMO 1Pの最小重量(テント+ポール)は1.05kg、収納袋、ペグ等を含む総重量で約1.4kgと圧倒的な軽さでありながら、NEMOが独自に開発したこのテント専用ファブリック「オズモ™︎ファブリック」を使用することで強度、濡れた時の生地の伸縮性、撥水性、撥水の耐久性に優れたテントになった。またオズモ™︎は100%リサイクル素材を使って作られているのも、自然を愛するキャンパーとしては嬉しい点だ。
これまで使用していたタープポンチョ(SEA TO SUMMIT / Ultra-Sil Nano Tarp Poncho)の重量が230g、支柱代わりのトレッキングポール(EVERNEW / Johnnie hiker)が145g。防寒と、不意の雨や夜露/朝露でシュラフが濡れるのを防ぐ目的で使っていた146gのシュラフカバー(SOLのEscape Lite Bivvy)も、風、雨、露を防ぐテントがあれば、真冬以外は不要になるだろう。付属しているペグとガイロープの180g程度も相殺されるので、これまでのポンチョタープスタイルからテントに変えて増える重量は計算上699g。コンビニで売っている600mlのペットボトル入りドリンク1本分(約630g)で、修行的なポンチョタープから精神的にかなり楽なテントへの変更は、多くの人にとって現実的な選択肢となるだろう。
形状とカラー
Bikepack OSMOにはさまざまな優れた点があるのだが、個人的に惹かれたのはそのルックスだ。写真好きな自分にとって、テントの形状と色は無視できない要素なのだ。台形をベースにした独特のデザインは、広くて快適な空間を作り出すフレームワークに寄るものだ。一体型のメインポールと天頂部に追加したリッジポールを組みわせることで、居住空間を大きく広げるだけでなく、全体の剛性も飛躍的に高められている(2026年モデルからメインポールとリッジポールが一体化され、さらに設営がスピーディーになった)。無駄を削ぎ落としつつ、居住空間を確保するための合理的な形状は、機能美そのものなのだ。

色については、周囲の環境に溶け込むカラーリングが採用されている。これは長い旅の途中で目立たないようにテントを設営しなければならないシーンがあることを想定したもので、ガイアウトループ等にも光を反射するリフレクティブ素材はあえて使用されていない。アウトドア製品ではよく聞くことだが、深い森の中や雪山では上空の救助ヘリから見つけてもらいやすいようにビビッドな蛍光色が都合がよく、逆に野鳥や動物の観察などでは自然環境に馴染む色のテントや服装が必要となる。何より落ち着きつつもアウトドア感のあるカラーリングは、サイトに張ったときの満足感が高い。正直に言えば、かっこいいかどうかは使い続ける上で意外と重要だ。

自立式であること
ペグが打ちにくい場所や、地面が硬いキャンプ場でも設営できるのは大きな安心材料だ。ポンチョタープのように事前に張る場所や方向を考え込む必要がなく、とりあえず立ててから傾斜や風向き、景色を考慮して調整できる。冒頭でも触れたが、疲れているときほどこの差は効いてくる。

また、これも上で触れたが、真ん中に支柱が無い分、空間を広く使える。見た目の圧迫感もなく、作業や出入りの邪魔にならない。また考えたくはないことだが、自然災害などで避難所に身を寄せる際にも、自立式であれば屋内で使用できるので、プライバシーが保たれるだろう(サイズ的に家族では使えないが)。
無視できないBikepack仕様
Bikepack OSMOはその名のとおり、自転車キャンプ(バイクパッキング)に親切な設計がなされている。テントポールの収納サイズが短く設計されていて、専用のスタッフサックには固定用ストラップが付属する。これにより、バイクのハンドルバー、ラック、フレーム、フォークなどあらゆる場所に簡単かつ確実に取り付けることができようになっている。ドロップハンドルに装着できるテントなど、なかなか無いだろう。


輪行時の面倒さを避けて全ての荷物をバックパック1つにまとめる自分のスタイルではあるが、最寄駅からキャンプ地までロングライドになる場合や、途中で重い食料を購入した場合など、テントを車体に気軽に固定できれば背中がだいぶ楽になる。
快適さを担保する様々な機能性の高さ
圧倒的な軽量さを誇るBikepack OSMOだが、考えうる機能や工夫が十分に装備されていて、妥協が見られない。ただの寝床ではなく、快適に使えるツールと思えた点が、今回NEMOのBikepack OSMOを選ぶ最後の一押しとなった。
NEMOが独自に開発した「オズモ™︎ファブリック」の高い撥水性や透湿性、濡れた時の伸縮性、耐加水分解性、引き裂き強度、サステナビリティについては、こちらに詳細がある。軽量テントでありがちな蒸れや不快感を抑えつつ、悪天候でも安心して使える設計になっているだけでなく、雨でもテント内を濡らさずに換気することができるベントストラットや、前室部に防水かつ汚れを防ぐストレージスペースを作り出すことができるランディングゾーンなども用意されている。海外ブランドながらも高温多湿な日本の気候でも使いやすい設計がされている点は大きい。
ちなみにユーザーの視点から見た、よく比較されるブランドとの立ち位置の違いとして、「質実剛健・高コスパ」がウリのブランドに対して、NEMOは「先進的・高付加価値」。価格は上がる場合もあるが、所有感やデザイン性が高い。また「ストイック・過酷な環境への信頼」がウリのブランドに対して、NEMOは「快適性・ユーザーフレンドリー」。同じ本格派でも、より室内の広さや使い勝手を重視している点が特徴といえる。軽量化のカテゴリーでもNEMOは「耐久性と居住バランス」に秀でている。
「ちょっとした余裕」が、UL装備では効いてくる。
テントを持つ = ULを捨てる、ではない。Bikepack OSMOは自転車前提の快適なULスタイルを突き詰めた結果の選択だった。
実際に使ってわかった嬉しい点
事前に十分比較検討して選んだテントだが、実際に使用して嬉しい発見があったので添えておきたいと思う。
自転車を夜露に濡らさずに収納できる
Dragonfly Bikepack OSMOには、前室部に防水かつ汚れを防ぐストレージスペース「ランディングゾーン」が備わっているのだが、試しにそこに車体を入れてみたところ、うまい具合にすっぽり収まった。ポンチョタープで寝ていた時はシュラフとバックパックだけで一杯で朝起きたら車体は濡れていたのだが、その問題が解消された喜びはかなり大きい。前回のVol.10ではDAHONの16インチモデル K9Xを入れていたが、今回は14インチモデルのK3なのでさらに余裕をもって収納できている。

想像を超えた早さ&簡単さで設営できる
地面に広げたインナーテントの四隅にテントポールを嵌め込み、そのインナーテントをフックでポールに引っ掛けるだけでテントが立ち上がるのだが、全てが一体型のポールは気持ちよくサクサクと連結され、四隅に嵌める際も色分けされているので間違いようがなく、初めて立てた時でもインナーテントまでは3分もかからなかったのではないだろうか。フライシートを被せる際もシステマチックに作業が進むので、ペグダウンの時間を省けばポンチョタープよりも確実に早い。

ポンチョタープと比べてみた(正直レビュー)
ポンチョタープとテントを比べるとき、どうしても「どちらが優れているか」という話になりがちだが、実際には得意分野がまったく違う装備だと感じた。まず軽さという一点においては、今でもポンチョタープに軍配が上がる。装備重量を削りたい、移動距離を最優先したい、そんなUL的快感は確かにある。
一方で、快適さや安心感という面では、テントは別次元だった。風や雨への耐性、虫との距離感、夜の落ち着き方。これらは単なる「慣れ」の問題ではなく、構造そのものの違いだといえる。ポンチョタープでは常に外との境界が曖昧であり、テントでは明確に区切られる。その差は思った以上に大きい。

設営・撤収の負担についても、意外な結果になった。タープは慣れれば自由度が高い反面、その都度判断が必要になる。テントは手順が決まっているぶん、考えることが少なく、疲れているときほど楽だ。どちらの設営も簡単なので体力的には大差がないが、テントのほうが特に精神面では消耗しないという逆転現象が起きた。
防犯やプライバシーの面でも差は歴然だ。ポンチョタープでは貴重品管理に常に神経を使うが、テントなら最低限「中に入れて閉める」ことができる。完全な防犯ではないが、心理的なハードルは大きく下がる。
ポンチョタープ vs 超軽量ソロテント 簡易比較
| 項目 | ポンチョタープ | 超軽量ソロテント |
|---|---|---|
| 重量 | ◎ 圧倒的に軽い | ◯ テントとしては軽量 |
| 快適性 | △ 割り切りが必要 | ◎ 安心感が段違い |
| 自由度 | ◎ 張り方・使い方は無限 | ◯ 手順は決まっている |
| 設営時の負担 | △ 判断が多い | ◎ 考えなくていい |
| 天候対応 | △ 状況次第 | ◎ 多少の悪天候でも安定 |
| プライバシー | × ほぼなし | ◯ 最低限確保できる |
| 防犯・貴重品管理 | △ 常に気を使う | ◯ 中にまとめられる |
| 続けやすさ | △ 慣れと覚悟が必要 | ◎ 気楽に続けられる |
結論として、ポンチョタープは「割り切って楽しめる人向け」の装備だと思う。軽さを最優先し、多少の不便も含めて遊びにできる人には向いている。一方で、テントは「続けるための装備」だ。無理をしなくてもキャンプが成立することで、次もまた行こうと思えるアイテムなのだ。
自分はどっち派なのか迷ったら、以下の項目で直感的にABどちらに当てはまるか選んでみよう。
Q1. キャンプで一番優先したいのは?
A→ とにかく軽く、荷物を減らしたい
B→ ちゃんと休めて、翌日も元気に走りたい
Q2. 設営についてどう思う?
A→ 工夫するのも含めて楽しみたい
B→ 考えずにサッと終わらせたい
Q3. 夜の過ごし方は?
A→ 外との一体感があったほうが好き
B→ 落ち着いた自分だけの空間が欲しい
Q4. 雨予報が出たら?
A→ 状況を見て張り方で対応する
B→ あまり悩まずそのまま泊まりたい
Q5. トイレや水場に行くときは?
A→ 貴重品は全部持って行く派
B→ テントに置いて身軽に行きたい
Q6. 輪行キャンプで気になるのは?
A→ とにかく軽くコンパクトであること
B→ 移動から設営までのストレスの少なさ
比較表を見るだけでもおおよそ自分はどっち派なのか見当のついていた方が多いと思うが、具体的なシーンで考えるとハッキリしたのではないだろうか。UL装備に「正解」はない。あるのは、自分に合うかどうかだけだ。
A)が多かった人 → ポンチョタープ派
軽さと自由度を楽しめるUL上級者タイプ。多少の不便も「味」として楽しめる人向け。
B)が多かった人 → 軽量ソロテント派
無理なく続けたい現実派。輪行(や徒歩移動)+キャンプの相棒としてテントがしっくりくるタイプ。
半々だった人 → 成長途中のUL派
まずはテントで快適さを確保し、慣れてきたらタープに戻るのもアリ。

ULだからテントはNG、という時代はもう終わっているのかもしれない。少なくとも自分にとっては、テントを使うことでウルトラライト輪行ソロキャンプが、より現実的で長く楽しめるものになった。
0.3装備にテントはアリか?―― 超軽量テントという現実解
結論から言えば、0.3装備にテントは十分アリだ。それは「軽量化を諦めた」という意味ではなく、「無駄な消耗を減らした」という意味に近い。
ポンチョタープは、軽さと開放感という点では今でも魅力的な装備だ。ただその一方で、設営や天候への対応、プライバシーや防犯といった部分では、使うたびに気力を削られていたのも事実だった。ソロ用超軽量テントを使ってみて感じたのは、重量以上に“余裕"が増えたということだ。考えなくていい、悩まなくていい、というだけで、輪行ソロキャンプは驚くほど気楽になる。
UL=我慢、というイメージは根強い。
しかし、0.3装備の本質は「持たないこと」ではなく、「自分にとって不要なものを削ること」だと思う。輪行を前提とするなら、テントはむしろ合理的な選択肢だった。
特にソロ用超軽量テントは、こんな人に向いている。
輪行と自転車移動をセットで楽しみたい人。ULに興味はあるが、まずは快適さも大事にしたい人。設営や天候対応で消耗したくない人。貴重品やプライバシーを最低限確保したい人。そして、「軽さ」と「続けやすさ」のバランスを取りたい人。
ポンチョタープを否定するつもりはない。
ただ、長く続ける相棒として考えたとき、ソロ用超軽量テントという選択はかなり現実的だった。
0.3装備はゴールではなく、その時の自分に合った装備を選び続けるプロセスそのものだ。今回は、その答えがテントだった、というだけの話である。
おまけ|ULテントデビューの一日を写真で振り返る
テントの使い勝手を確かめることが今回の目的だったが、せっかくなので、その日のキャンプの様子も少しだけご紹介。川の流れを眺め、チャイを淹れ、夜空を見上げ、鳥の声で目を覚ます。そんな何気ない時間こそ、この連載で伝えたい輪行ソロキャンプの醍醐味なのだ。


















快適になった分だけ、これからは景色や時間を楽しむ余裕も増えそうだ。
ITEM コラムで紹介した商品
#キャンプの最新記事



