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大阪・池田市 サイクリングマップ:市中心部レトロ建築巡り7kmコース

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古くから街道が交わる交通の要衝として栄え、大阪北摂地域の中心地として発展してきた池田市には、江戸時代まで貴重なの歴史遺産が現存しています。また明治維新後は、警察署をはじめ郵便局、裁判所、郡役所、師範学校等の公共機関の設置、さらに、銀行、娯楽施設、箕面有馬電気軌道〔現・阪急電鉄〕の敷設と室町住宅の開発などにより、能勢・豊能郡の行政・経済の中心地としての役割を担ってきたことから、数多くの近代建築も残されています。

今回は、池田市南西部の市街地に点在するレトロ建築を巡る約7kmのコースをご紹介します。

旧池田銀行本店

最初に訪れたスポットはこちら、現在は池田泉州銀行 池田営業部として使用されている、旧池田銀行本店です。この様な重厚な建築物がいくつも存在し、日常生活に溶け込んでいるのが池田市の凄いところ。荘厳さや崇高美を備えた新古典主義の様式建築ですが、竣工は1952年(昭和27年)の戦後建築です。

石に見える壁面やボーダー、柱頭の見事な装飾は、実は左官仕上げです。

今回の自転車は、FUJIのBALLAD。古き良き時代のロードバイクを想わせるノスタルジックな佇まいが、重厚感のある近代建築にもぴったりですね。

人の出入りが多いので、人を入れずに撮影できるタイミングは一瞬です。

小林一三記念館/池田文庫

池田市にゆかりのある偉人といえば、阪急阪神東宝グループの創始者で「天才起業家」とも言われる小林一三が有名です。旧池田銀行本店から北上した山の手の住宅街の中には、小林一三の旧邸である洋館「雅俗山荘」を中心とした小林一三記念館、小林一三の雅号を冠する逸翁美術館やマグノリアホール、宝塚歌劇・阪急電鉄のポスター類や芝居錦絵などの歌舞伎関係の貴重な資料が豊富に所蔵される池田文庫など、公益財団法人 阪急文化財団の施設が集まっています。

敷地の外から見えるこちらの「雅俗山荘」は1937年(昭和12年)に完成した小林一三の旧邸です。屋根を銀の瓦で葺いた、和洋折衷の鉄筋コンクリート造2階建ての洋館です。

スペイン瓦を載せた厚さ20cmの鉄筋コンクリート塀は、雅俗山荘の外壁と同一仕上げとするなど、デザインの統一が図られています。

雅俗山荘の正門「長屋門」は、能勢町にあった庄屋から移築したと伝えられています。門柱・門扉・潜戸の飾り金物(乳金具、花菱の釘隠し、八双金具等)に至るまで当時のままの重厚さに、歴史の流れが感じられます。長屋門の前では、開花したばかりの桜が美しく咲いていました。

「雅俗山荘」と茶室「即庵」「費隠」、そして正門「長屋門」「塀」の5つは、国の登録有形文化財に指定されています。

小林一三記念館のすぐ近く、土壁の内側は池田文庫です。上空から見たら四葉のクローバーのような形です。

下の方から池田文庫を見上げると、茶室の建物が見えました。咲きはじめの桜の木の下で近所の方が世間話をされていて、うららかな春らしい匂いも感じました。

昼近くになったので、公園でランチタイムとしましょう。マップには落とし込んでいませんが、思い思いに小さな路地を探検していたら築80年の長屋をリノベーションしたカフェも発見しました。

池田駅前公園でランチ休憩。公園に隣接したサンドイッチ専門店を覗くと、ショーウインドウに美味しそうなサンドイッチがずらりと並んでいました。種類が豊富で迷いますが、公園の桜のように華やかな見た目のフルーツサンドを買ってきました。

旧室町倶楽部(室町会館)

ランチのあとは阪急池田駅の西側、呉服神社を中心に広がる住宅街へ。この辺り(室町)は、1910年(明治43年)に小林一三の発案により開発された「池田室町住宅地」で、日本で初めての電鉄会社による郊外型分譲住宅です。市街地でも農村でもない「郊外」は当時未経験な存在であったことから、「模範的郊外生活」という新しい生活スタイルが唱えられ、会社直営の購買部、住民の交流を目的とした玉突き台のある倶楽部、公園・果樹園、床屋・クリーニング店などの日常生活に必要な店舗が計画的に設置されました。室町倶楽部はその中心的存在です。

1911年(明治44年)築、1936年(昭和11年)改修の建物は、池田市の中でも最古級の近代建築。元々は和風の建築でしたが改修時に外観を洋風に大きく変え、現在に至っています。写真では分かりにくいですが玄関の両側には丸みを帯びたデザインも。

周囲の個人邸も雰囲気のある建物が多く、見ていて飽きません。一区画100坪を目安として1910年(明治43年)の有馬箕面電気軌道の開通にあわせて販売が開始された室町の分譲地では、主にサラリーマンを対象に10年間の月賦という、当時としては画期的な販売方法が導入されました。

大きな敷地と区画整理された町割り、石垣や生垣を持つ屋敷が立ち並ぶ、当時としては先進的でモダンな街並みが広がった室町。木造住宅から個性的な注文住宅まで立ち並び、通りごとに異なる表情となるように計画されました。

旧池田電報電話局

駅前からサカエマチ商店街に入って暫く進むと、Rの壁面とスクラッチタイルが美しい近代建築(旧池田電報電話局)が。商店街のアーケード側からは見つけにくいですが、ウォンバットの像が上に載る郵便ポストのすぐ先右手です。

竣工は1925年(大正14年)頃と言われています。素材感のある背景だと、自転車も映えますね〜。

商店街から両側には雰囲気のいい路地が広がっているので、思いのままに散策してみるのも楽しいですよ。

呉春

諸街道が集まる池田は江戸時代には物資の中継地として賑わい、特に酒造業においては江戸初期の最盛期には42軒の酒造家が確認されていました。酒蔵の町でもあった池田に今も残る2軒のうちの1軒が、こちらの呉春です。呉春の名は、池田市に滞在した絵師に由来します。

戦国時代の名残の屈曲した道や、昔ながらの建築物など、この辺りにも風情のある路地が多数残っています。探索気分で走ってみるのも自転車ならではの楽しさです。

旧加島銀行池田支店

呉春のすぐ手前、サカエマチ商店街のアーケードが終わったところでは能勢街道と交差しています。この辺りには歴史のある建物が並んで残っていて、建築好きなら一度は行っておきたいエリアです。

旧加島銀行池田支店(現インテリアショップ)の建物はNHK「連続テレビ小説」第93作目「あさがきた」ヒロインのモデルである広岡浅子が設立した旧加島銀行の池田支店の建物で、国登録有形文化財です。東京駅や日本銀行本店、大阪市中央公会堂を手掛けた建築家、辰野金吾も設計に関わっているそうです。

同じ並びの旧呉服店の建具も趣があります。ガラスに外の風景が反射していたので、自転車をパチリ。昔の建築物のこういった素材感、いいですよね〜。

旧池田実業銀行本店

旧池田実業銀行本店(現いけだピアまるセンター)は、1925年(大正14年)11月、豊能郡池田町(現池田市)新町の旧能勢街道に面して建てられた鉄筋コンクリート造2階建の建物で、池田で最古の鉄筋コンクリート建造物です。建物内部は銀行当時の面影がなくなっていますが、外観は水平な底部と頂部を石貼り、壁面は褐色タイルを柱になぞらえ、垂直性を強調して貼るなどして、重厚さを残しつつ装飾を抑えた、大正末期の銀行の面影を今日に伝えています。

旧豊能郡の経済の中心であった近代池田を象徴する旧池田実業銀行本店は、国の登録有形文化財に指定され、現在は中小企業や起業家を目指す人を支援する目的で設立された池田市のインキュベーションオフィス(企業育成室)として使われています。

稻東家住宅

江戸時代の屋敷のような趣のあるこちらの建物は、国の登録有形文化財にも指定されている、江戸時代 1700年代中頃の建築です。稻東家は屋号を「甲子(題)屋」といい、1688年から1703年は問屋を、その後は酒造業などを営んだ池田有数の商家です。文化サロンとしての役割も担っていたそうで、当時の様子に想像が膨らみますね。

軒高を低く抑えた厨子(つし)二階(屋根裏部屋)のある構造で、虫籠窓を設ける近世商家の原形をよく留めています。

もとは伊居太神社の神官の住居であった小坂前町(現 綾羽)へと続く筋には、各種の問屋があったことが記録されています。五月山公園へ至る坂にも、美しい桜が咲き始めていました。池田市内には五月山公園をはじめとして、有名な桜のスポットもありますので、花見目的で訪れるのもおすすめです。

ここは8月下旬に行われている府の無形民俗文化財、がんがら火祭りのルート。夏の終わりを伝統行事で締めくくるのもいいですよ。

K家住宅/中橋/上山商店

五月山を右手に見ながら稲川沿いに旧能勢街道、国道173号を少し北上したところに、突然美しい洋館が現れます。北側が木造の和風建築、南側が鉄筋コンクリート造の洋館で、1930年(昭和5年)竣工だそうです。

飾りアーチから下は煉瓦風にタイルで装われていて、よく見るとスクラッチタイルが使われていました。スクラッチタイルは多数の細い溝の模様が特徴で、煉瓦からタイルに変わる際の過渡期の建材です。旧帝国ホテル旧本館(ライト館)は世界で初めて外壁にスクラッチタイルを用いた作品とされています。

K家住宅から少し南に戻って、猪名川に架かる「中橋」にやってきました。空が広くて気持ち良い景色です。この辺りは昔は池田の玄関口で、2軒の貸しボート屋には50隻のボートがあり、夏の夜は涼を求める若者で賑わったそうです。後ろの道路は阪神高速11号池田線で、写真の右方向(北側方面)には、国内最大規模の美しいコンクリート製斜張橋、新猪名川大橋(愛称:ビッグハープ)を直近に一望できます。桜が満開の頃には、ここから見る五月山も美しいですよ。

この中橋を中心に上流側の絹延橋、下流側の呉服橋の3つの橋は昔は木製で、洪水で流されるたびに補修を繰り返していたそうです。

中橋から南にすぐの上山商店にも、厨子二階に虫籠窓が。旧能勢街道沿いにはこのような建築が多かったのでしょうね。

 
今回は、池田市南西部の市街地に点在するレトロ建築を巡る約7kmのコースをご紹介しました。池田市にはそのほかにも多数の観光スポットがありますので、池田市観光協会公式サイトも参考に、ぜひ何度でも訪れてみてください。

また、点在するスポット巡りには、今回のように自転車での移動が便利です。複数の場所を効率よくまわれるだけでなく、目に留まったところや景色があればすぐに停まることもできます。レンタサイクルやシェアサイクルも便利ですが、いつもと違う場所を自分の自転車で走ればリフレッシュできますよ。

レトロな前カゴを付けたり、雰囲気のあるボトルを使ったり…。自転車を自分好みにカスタムしていくことで、近代建築と同じようにオリジナリティが出て愛着が湧きます。

 
今回巡ったコースはこちら。

池田市中心部レトロ建築巡り7kmコース

 


*協力
 池田市シティプロモーション課

*使用車体
 FUJI / BALLAD

*この記事で紹介している情報は、2024年4月時点の取材に基づいています。
*私有地や路地への身勝手な侵入など、地域の方に迷惑のかからないようにサイクリングをお楽しみください。
*株式会社アキボウではCSR活動の一環として、産業(観光業)の活性化を目的に池田市を中心としたサイクリングMAPの制作、情報発信に取り組んでいます。

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