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SIDI サポートライダー 鈴木来人選手インタビュー

鈴木来人選手はオフロード2種目で国内トップレベルで戦う数少ない選手で、活動の幅は国内に留まらず、積極的に海外のレースへも参加しています。

SIDIでは去年から鈴木選手の活動をサポートしています。今回は、昨シーズンの振り返りやこれからの目標、トップクラスのレースで活躍するプロの目から見たSIDIサイクリンシューズの使用感を鈴木選手に伺った特別インタビューをお送りします。

国内と海外のレースシーンの違い

――JCX4位の沢田時選手とは僅差でしたね。シクロクロスシーズン(2023-24シーズンを振り返ってみて、ご自身の感想としてはいかがですか?

昨シーズンは、完全に世界選手権にフォーカスしていました。JCX5位というのも理解していましたが、目標は世界選手権に選出されることに特化していて、そのために10月にアメリカ遠征をしてUCIポイントを獲得したり、国内レースもUCIポイントを重視した活動を行いました。その結果、世界選手権には選出されたので自分なりに納得のいく成績が出たかなと思います。

――世界選手権に参戦してみて、どうでしたか?

世界選手権には4年ぶりの参戦でした。ジュニア時代に2年間行ってからは、COVID19の影響もあり派遣がなかったので、4年ぶりに帰れた、戻ってこれたと思いました。2年前までフランスのUCIチームに所属していたので、その時に戦っていた選手と同じ舞台に上がれたのが嬉しかったです。

ただ、国内で走っていた自分とヨーロッパで戦っていた彼らとでは、この2年でレベル差が開いてしまっていて、10番くらい前を走っていた選手がトップ10争いをしているという事実はすごくショックでした。

――国内との環境の違いは感じますか?

そうですね。国内のレースでも成績を求めて走るのですが、ある程度は順位が見えてしまう部分があります。でも海外のレースでは、自分より明らかに強い選手がたくさんいて、加えて競い合える選手も本当に多くいるので、そういうところがなくなります。選手のレベルのグラデーションがものすごく細かいイメージですかね。今日はあいつに勝ってやるとか、こいつに勝ってやるとかっていう競争が起きると、選手としてはすごく成長できるんじゃないかなと強く感じました。

――現在でも国内ランキングは5本の指に入るくらいですが、世界で渡り合うためにさらに高みを目指していくんですね。

そのためには、他の選手と一緒に練習する時間が足りていないのかなと思います。トレーニング内容は海外の選手とそれほど変わらないと思いますが、競い合って練習する時間であったり、メンタルの持ち方は違うと思うので、そこを改善していきたいと思います。

SIDIサイクリングシューズのメリット・デメリット

――SIDIサイクリングシューズを使い始めて2シーズン目になるかと思いますが、その前にはどのようなシューズを使っていましたか?

以前はずっとシマノを使用していました。足のサイズが中途半端でシマノだと39か39.5の間くらいなのですが、そのサイズがあまり売っていなくて。その中で、シマノはハーフサイズもしっかりと揃っていて、サイズが合ったので使用していました。

――鈴木選手は現在、ロードでは「Shot 2」を、MTBやCXでは「Tiger 2」を使用されています。SIDIに変えてみて感じたことを、ポジティブな面、ネガティブな面、どちらでも良いので教えてください。

まず、一番ポジティブなのは、ロードシューズとMTBシューズがほとんど履き心地が変わらないことです。以前に使っていたシューズはアッパーから完全に形が違っていたので、履き替えた時に違和感というか、履き心地が全く違ったので、それがなくなったのは大きいです。すごくシームレスに、どちらを履いても同じような感覚で走れるところが気に入っています。

あとは、ヒールカップが深いので、ランの時に絶対脱げないのがすごく良いです。

<SHOT2 と TIGER2 の比較>

SHOT 2S
TIGER 2S 両モデルを比較してアッパー部分の形が同じことがわかる

――ソールが硬いシューズは、走る時に浮いてしまうこともありますよね。

カパカパすると走りにくいですし靴擦れもしますが、SIDIは踵のホールドがしっかりしており、それが絶対にないのは大きいですね。ただ、ソールが硬い分、足の裏が痛くなってしまうので、インソールを入れてサポートはしています。そこは少し物足りない点ですね。ロードは入れていないですが、ランのあるMTBとCXは土踏まずのところをインソールで少し上げてサポートするイメージです。

他には、ダイヤルが真ん中に付いているので、転倒した時に壊れにくいのは良い点ですね。実際に4年前のジュニア最後の世界選手権の時は、ダイヤルが横についているメーカーのシューズを使っていて、他の選手と接触した時にディスクローターでダイヤルとコードをパンって一発で切られちゃって。それで1周目にシューズ交換したことがあったので、ダイヤルが真ん中についているのはすごく気に入っています。

――操作性についてはどう思われますか?

正直にいうと1クリックごとに細かく緩められればベストですけど、基本的にはそこまで余裕があるレースも少ないので、そこまで問題ではないです。

――他に気になることはありますか?

ソールのゴムが若干、すり減っていることですかね。今使っているものは、完全にすり減ってしまっているんです。1シーズンでこうなってしまって。でも、交換すれば問題ないのですし、それができるのはSIDIの大きなメリットでもあるかなと思います。

ただ一般の人とは使い方がちょっと違って年間200〜250日くらい履いているので、1年でここまでなることはあまりないと思います。

鈴木選手が1年間使ったシューズのソール写真。高いグリップ性能を確保するため、柔らかいゴムを採用している。すり減ってきた際にはスペアパーツによって交換が可能。

――履き潰す一歩手前くらいですね。アフターパーツが充実しているのはSIDIの特徴です。

あとはダイヤルが若干、渋くなりがちっていうのはありますね。土埃が多かったり、マッドなレースを走るとダイヤルの中に、土や泥が入ってしまって締まらないし緩まないっていう状況が起きる時があります。パーツクリーナーを吹き込んだりすると中の石がちょっと動いたりするので、その隙にぐっと動かしたりして対処しています。

――SIDIのサイクリングシューズを使ってみて、誰かに薦めたいと思いましたか?

実際に何人かとはSIDIのシューズについて話をしていて、レースをやる人にはお勧めしています。シューズは自転車と身体が接地する3点のうちの1つで結構重要なポイントです。ただ、ファンライド的に乗るのであれば、もう1グレード下げてもいいんじゃないかなっていう話もよくしています。

――それはなぜですか?

ソールの柔らかさの違いですね。ソールが硬ければ足の裏は疲れるので。速さを求めるのであれば、絶対に硬い方がいいですし、僕が今までに何社か履いた中では確実に一番硬いです。でも、そこまで速さを求めないのであれば、少し柔らかいソールのモデルがいいと思います。

基本的にアッパーもすぐ柔らかくなって、慣れて馴染んでくれるので、履きならしの期間はあまり必要ない印象です。試着して違和感がなければ、問題ないと思いますよ。

――鈴木選手に供給しているロードモデル「Shot 2」とMTBモデル「Tiger 2」はフラグシップモデルで、甲の部分に2つのダイアルが搭載されていて、踵にも狭さを調整できる機能があるモデルです。細かく微調整ができるのが特徴のモデルですが、シューズのフィッティングに関してこだわりはありますか?

ロードの時は動かないようにガチガチに固めて、オフロードに関しては、ランだったり、身体を捻る動作があるので、全体的に緩めにセッティングしています。踵も少し遊びがあるくらい、締めすぎないようにしています。

MTBやCXは身体を捻った時にペダルが外れてしまうことがあるので、ちょっと動くようにしておいて、シューズまで捻らないくらいのイメージですね。木の根を越えたり、下りの途中で身体を捻ることがあるので、その時にペダルが外れて自転車が制御できなくなることを防ぐために調整しています。

――フラグシップモデルのダイヤルがシューズの中央についているのは、左右の締め具合を均等にできることもメーカーとしては謳っているのですが、その点についてはどう思われますか?

ダイヤルの意図とは違うんですけど、ベロが左右に結構自由に動かせるので、締め付けたい方向にずらすと締め込みが強くなる感じがあります。自分の足が若干、幅広気味なので内側に傾けて締め込むほうが感覚が良くなります。外側を締め付けて内側を少し緩めるような感覚で締め込むと左右に違和感がなくなる感じがします。

――SIDIに限らず、サイクリングシューズで使ってみたいものはありますか?

レースじゃなくて、例えばグラベルライドに行くとか、MTBのトレイルライドに行く時にナイロンソールのシューズを使ってみたいですね。

――SIDIであれば、Eagle 10や Genius 10あたりはナイロンソールですね。

はい。あとはグラベルシューズもナイロンソールだったと思うので履いてみたいです。

GENIUS 10
MTB EAGLE 10
MTB GRAVEL

――グラベルライドに行くこともありますか?

自転車は楽しい。というのが自分のベースにあるので、レース以外にも隙があればグラベルライドや山の中にトレイルに行っています。トレイルでは倒木で道が通れない時に自転車を担いて山を登ることもあるので、ナイロンソールのシューズがあればもっといいかなと思います。

アドベンチャーライド用のシューズとしては、ウォーターブロック的なシューズがあっても面白いと思います。最近はゴアテックス素材を使っていたりして生地自体は防水・透湿性があるけど、水が侵入しちゃうと履きにくくなってしまって、個人的にはあと一歩みたいな製品が多いです。水が入ってもいいんですけど、パッと抜けてくれると違和感がなくていいですね。

――サイクリングシューズを選ぶときのポイントを教えてください。

競技をやっている以上はレースでゴールすることが必須なので、まずは壊れないというのが第一です。そして試着してみて、自分の足に合うかどうか、違和感がないかどうかという、2つですかね。

――自分の足に合うかどうかの判断はどうされていますか?

これは履いた時にわかります。自分の足の形状にフィットしているかどうかは試着したらわかるので、そこで判断して決めています。

――それは生地の感じとか、シューズの形状といった部分ですか?

例えば形が細いとか、幅が広いとか、いろんなシューズの形状があるんですけど、そもそも履いた時にちょっとキツいなと思ったら、それは多分馴染むのも難しいだろうなと思います。

鈴木選手は、SHIFTAで取り扱い中の自転車用タイヤ「challenge」でもサポートをしています。レース中のタイヤ選びのポイントやこだわり、さらに今シーズンに向けた目標などを伺った記事はこちらで公開中です。ぜひご覧ください。

「challenge サポートライダー 鈴木来人選手インタビュー」
 

鈴木来人選手の主な実績

  • 2020全日本選手権シクロクロス大会 U23 優勝
  • 2021全日本選手権シクロクロス大会 U23 3位
  • 2021-22 Coupe du France Espoir 50位
  • 2021-22 UCI CX World Cup Flamannville U23 29位
  • 2022全日本選手権シクロクロス大会 U23 2位
  • 2023-2024シクロクロス全日本選手権U23 3位
  • 2023-2024シクロクロスミーティング南信州 / 清里 優勝
  • 2023-24シクロクロスミーティングシリーズチャンピオン
  • 2023-24 UCI C2 Kings CX Cup(US) 9位
  • 2023-24JCXランキングエリート5位

<取材協力>

the SOUP green&cafe

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