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大阪・池田市 サイクリングマップ:市中心部紅葉スポット巡り10kmコース

古くから街道が交わる交通の要衝として栄え、大阪北摂地域の中心地として発展してきた池田市中心部は、古代から呉服(くれは)の里と呼ばれ、現在も呉服神社、呉服橋、呉服町などに名残りが見られます。平安時代後期には荘園が成立し呉庭荘(くれはのしょう)と呼ばれ、その後鎌倉時代末期頃より池田と呼ばれるようになったと言われています。

今回は、五月山の緑や猪名川の清流に囲まれた市南西部の閑静な住宅街を中心に、紅葉の美しいスポットを巡る約10kmのコースをご紹介します。
 


 
ようやく秋らしい町並みになってきた11月下旬。汗をかかずに済むことから、実はサイクリングにちょうど良い季節でもあります。スタート地点の市役所前では、黄色に色づいたイチョウのその鮮やかさに圧倒されました。

その対面、道の向こう側にあるのが「まち角の図書館 第1号館」。皆さんから寄せられた“善意の本”を活用し、無人・無料・無施錠で、読みたい本があれば誰でも取り出して借りることができる、街頭に設置したスチール製の書架です。スタート直後からこんな素敵な取り組みに出会えて、なんだかほっこり。

現在は市内の十数箇所にまで取り組みが広がっている「まち角の図書館」。この第1号館は、市制施行50周年の平成元年(1989年)4月に、市役所前バス停に設置されました。寄贈したい本は本棚の下段に置いておくそうです。

サイクリングは基本的に無計画な自由行動。走っていて目に留まるものがあれば立ち寄り、気になる方向があれば行ってみる。その先に何も無くても、行き止まりでも、自転車ならスイーっと戻られるし、細い道でも大丈夫。程よくカラダを動かしながら、探検気分で町を散策するのに向いています。

くねくねと路地を走っていると、突然美しい紅葉に出会うことも。

地図で住宅街の中に大きな公園を見つけたので、やってきました。駅から南西方向に2kmほどの場所にある水月公園です。噴水のある二尾池、釣り堀のある舟池、円形広場などを緑地や子どもの遊び場が取り囲むアットホームな雰囲気で、ちょうど保育園の子どもたちも元気に遊んでいました。

紅葉した並木が池の周囲に静かに広がり、ゆっくりピクニックやお喋りするのにも良さそう。

水月公園をぐるっと1周して静かな景色を満喫したその次は、西へ2kmほど行った先にある八坂神社を目指します。途中、大きな農地のような場所が航空写真で確認できるところは、フラワーファクトリ科、環境緑化科、バイオサイエンス科と、農業系の3学科を設置する農業高等学校「大阪府立園芸高等学校」です。府立高校として最大の約11haの敷地を誇り、校内には川も流れています。

西側の道路(伊丹池田線)沿いには歩行者と自転車の通行を分けるラインが引かれた歩道があるので、ゆっくりサイクリングができます。

八坂神社に到着すると、2本の立派なイチョウに目を奪われました。もう少し時期が遅ければ、境内一面が黄色い絨毯に覆われます。重厚な本殿は池田光重によって再建されたもので桃山時代の特色があり、国の重要文化財に指定されています。

広い境内は「早苗の森・神田の宮」とも呼ばれ、南側は公園になっています。

本殿の横に突如、蛙の置物を発見しました。説明は特にありませんでしたが、ネットで調べてみると蛙は豊作や雨を降らす神の使いであったり、一度にたくさんの卵を産むため子孫繁栄の象徴にもなっているそうです。

ここのイチョウの木はとても背が高く、全体を1枚の写真に収めるのは大変そうです。

イチョウは成長が早く火災にも強いので、並木や寺社に植えられることが多いそうです。イチョウの木には雄雌があり、実がなるのは雌の木だけです。

池田市の西側を流れるのは猪名川です。関西人の間で有名な猪名川花火大会は、ちょうどこの辺りで打ち上げられます。サイクリングの合間に自転車と風景をパチリ。ここから眺める夕日も綺麗だそうです。

河川敷には運動公園が整備され、野球場などがいくつも見えます。平日の昼間でしたが、ランニングやサイクリングをされている方のほか、ウォーキングをされている方も結構おられました。

次にやってきたのは、呉服神社(くれはじんじゃ)。川沿いに北上し、阪急の線路の手前で住宅街に入ってすぐの場所です。

日本書紀にある「呉服・穴織伝承」を今に受け継ぐ神社で、応神天皇の時代、呉服(クレハトリ)・穴織(アヤハトリ)という姉妹がこの地に住みつき、機織・栽縫の技術を伝えたとされています。絹布類を指す「呉服(ごふく)」はここからできた言葉です。

池田市の市章は、この織姫伝説をもとにしていて、外側の井桁(いげた)は、織り姫たちが糸を染めるために水をくんだ井戸「染殿井」を表し、内側は、織り姫たちが織物に使った糸巻きを表し、機織り技術伝来の地、池田を象徴しています。 

線路の南側、駅から100mほどのところにあるのが、こちらの池田市観光案内所です。見てのとおりカフェのような佇まいで、観光案内はもちろんのこと、ここでしか食べることのできないグルメも盛りだくさん。池田ならではのお土産やグッズも販売していて、小さくとも池田市の魅力がぎゅっと詰まった場所です。

この日は表で、池田産非加熱ハチミツのSAMURAI HONEYさんが出店されていました。養蜂家の岩橋亮平さんは、無加熱、無添加、非加熱、薬剤や抗生物質を使用しない養蜂に取り組まれています。

日清食品創業者の安藤百福氏は1958年、独創的な発想と情熱から世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」をここ池田市で発明しました。そのことから、いまや世界で新しい食文化となったインスタントラーメンの原点を学べる体験型食育ミュージアム「カップヌードルミュージアム 大阪池田」がこのすぐ近くにあります。

写真のぬいぐるみは、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」のキャラクター「ひよこちゃん」。なんと、池田市の観光大使に任命されています。

ボリューム満点のクラフトバーガーは、市内のパン屋さんのバンズと細河地域で作られた野菜を使った「地産地消」バーガー。チキンラーメンにちなんで、チキンをメインに使っているそうです。

店内にも席はしっかりありますが、この日は暖かかったので折りたたんだ自転車とともにウッドデッキでいただきました。

ドリンクは猪名川の上流、能勢町にある能勢酒造のジンジャエール。甘さ控え目、すっきりしょうがの香りがします。大阪の中津付近から能勢妙見山方面に至る「能勢街道」は、この池田市も通っています。

ランチを終えて、サイクリングを再開。駅前から北へ300mほど続くサカエマチ商店街を、ゆっくり散歩します。惣菜などの食料品、衣料品などの個人商店や飲食店が両側に立ち並ぶ昔ながらの商店街で、落ち着いた雰囲気ながらも活気があり、地元の方に愛されているのが伝わってきます。

郵便ポストの上にウォンバットの像を発見。樽を叩いて奏でる可愛らしい様子が、ちょっとした話題になっています。ちなみに池田市のキャラクター「ふくまる」は、この「ウォンバット」と、福から連想された「大黒天さん」をイメージしてデザインされています。

池田市のウォンバットは、池田市がオーストラリアのローンセストン市と姉妹都市であることから1990年に動物親善大使として贈られ、五月山動物園での飼育が始まりました。池田市では五月山動物園のウォンバット「ワイン」が世界最高齢となったことから、ウォンバットを通じて池田のまちをより多くの人に知ってもらうため、「ウォン to いけだ」プロジェクトを進めています。市内4箇所にはウォンバットのデザインマンホールを設置し、マンホールにプリントされているQRコードからはウォンバットたちの特別動画を見ることができるそうです。

サカエマチ商店街のアーケードが終わったところで能勢街道と交差します。この辺りには歴史のある建物が並んで残っていて、建築好きなら一度は行っておきたいエリアです。奥の四角錐の形をした屋根の建物は、旧加島銀行池田支店(現インテリアショップ)。その手前に市立上方落語資料展示館「落語みゅーじあむ」、呉服店と続きます。道の反対側には旅芝居を見せる池田呉服座があり、この日も多くのお客さんが表に並んでいました。

旧加島銀行池田支店の建物はNHK「連続テレビ小説」第93作目「あさが来た」ヒロインのモデルである広岡浅子が設立した旧加島銀行の池田支店の建物で、国登録有形文化財です。東京駅や日本銀行本店、大阪市中央公会堂を手掛けた建築家、辰野金吾も設計に関わっているそうです。また、このすぐ先の呉服橋の南にあった当時の呉服座の建物は、愛知県にある博物館 明治村に復元されています。

突然現れるのは、あの有名な「ビリケンさん」。池田市出身の繊維商社の創業者が商標登録して通天閣でも祭られていましたが、今では「福のまち池田」のシンボルとなっています。

ビリケンさんは足に手が届かないので、足の裏を撫でるとそのお礼に願いを叶えてくれると言われています。

大きな通りから一歩入ると、路地は行き止まりや十字路など迷路のようになっています。思うがままに走ってみるのも自転車の楽しさです(散歩感覚で自転車で走り、その場所、その時間ならではの出会いや発見を楽しむことを「散走(さんそう)」とか「ポタリング」などと言います)。

こちらの建物は、銘酒「緑一」で有名な吉田酒造(国登録有形文化財)、すぐ後ろに見える山は五月山です。

諸街道が集まる池田は江戸時代には物資の中継地として賑わい、特に酒造業においては江戸初期の最盛期には42軒の酒造家が確認されていました。吉田酒造は、1688〜1703年に酒造家として資料に記される「加茂屋平兵衛」につながる造酒屋です。

吉田酒造の近くには、呉春も。酒蔵の町でもあった池田に残る2軒のうちの1軒です。呉春の名は、池田市に滞在した絵師に由来します。この先の屈曲した道は、戦国時代の名残です。

五月山公園にやってきました。途中、結構急な坂がありますが、「ギネス世界記録」に認定されたウォンバットの「ワイン」に会えると思うと、頑張れます。写真の可愛らしいゲートは、市立五月山動物園の入口です。

あいにく太陽が雲に隠れてしまったので少し残念ですが、それでも五月山公園の紅葉には感動します。園内は桜とツツジ、紅葉の名所としてシーズンには多くの人で賑わう、池田市のシンボルとなっています。

ウォンバットの「ワイン」は、とても元気に動きまわっていました。ワインは、飼育されている世界最高齢のウォンバットとして2022年に「ギネス世界記録」に認定されたオスのウォンバットで、毎日多くの人が見に訪れています。

「世界一♡のある動物園」を謳う市立五月山動物園は、日本動物園水族館協会に加盟している動物園としては日本で2番目に小さい動物園だそう。五月山公園の一角に池田市児童・幼児の自然学習や情操教育の一環として、1957年に動物を移入し、飼育したのが始まりで、無料でオーストラリアの珍獣ウォンバットやワラビ-、アルパカなどを見ることができます。

五月山動物園のすぐ下に位置する伊居太神社(いけだじんじゃ)も訪れてみました。池田市に現在する最古の神社だそうです。

夕方の境内は静かで、清々しい空気と厳かな雰囲気に包まれています。

伊居太神社は別名穴織(あやは)社とも呼ばれる「織姫伝説」にまつわる神社で、姫室塚があります。応神天皇の時代に機織の技術を導入するために呉の国から招いた4人の縫工女の1人と応神天皇、仁徳天皇が祀られ、3神が祀られていることから千鳥唐破風寄棟造りの三社造という珍しい様式が採用されています。

参道からは、夕日に照らされた美しい町並みが。紅葉スポットを思いつきで巡ったサイクリングでしたが、充実した1日を過ごすことができました。池田市には多くの観光スポットがありますので、池田市観光協会公式サイトも参考に、ぜひ何度でも訪れてみてください。

 
今回巡ったコースはこちら。

池田市中心部紅葉スポット巡り10kmコース

 



*協力
 池田市シティプロモーション課
 池田市観光協会

*使用車体
 DAHON / Boardwalk D7

*この記事で紹介している情報は、2023年12月時点の取材に基づいています。
*私有地や路地への身勝手な侵入など、地域の方に迷惑のかからないようにサイクリングをお楽しみください。
*株式会社アキボウではCSR活動の一環として、産業(観光業)の活性化を目的に池田市を中心としたサイクリングMAPの制作、情報発信に取り組んでいます。

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