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ツール・ド・フランス2026 レポート / UAEチーム・エミレーツXRGが駆け抜けた3週間

2026.07.31 JOURNAL

ツール・ド・フランス2026 レポート / UAEチーム・エミレーツXRGが駆け抜けた3週間

7月4日にバルセロナで開幕したツール・ド・フランス2026は、7月26日にパリでフィナーレを迎えました。UAEチーム・エミレーツXRGはタデイ・ポガチャルの個人総合優勝、そしてイサーク・デル・トロが初出場で総合3位の表彰台獲得に加えヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)獲得という輝かしい成果を収め、3週間にわたってレースを支配しました。

今年のツールでは、空力性能を追求したY1Rs、軽量オールラウンダーV5Rs、そしてTT専用機TT2が、それぞれのステージ特性に応じて投入されました。UAEチーム・エミレーツXRGとCOLNAGOが築き上げた勝利への軌跡を、ステージごとに振り返ります。

第1ステージ チームタイムトライアル

開幕ステージはバルセロナ市街地を舞台としたチームタイムトライアル。コース終盤には歴史的な要塞や美しい美術館、1992年バルセロナ五輪の施設が集まり、バルセロナの街や地中海の絶景を一望できる観光地として知られるモンジュイックの丘が組み込まれ、単なる平坦TTではなく、登坂力と高速巡航性能の両方が問われるレイアウトとなりました。

このステージでは、UAEチーム・エミレーツXRGが新型タイムトライアルバイク「TT2」を実戦に初投入。空力性能を極限まで追求しながら、テクニカルなコーナーやアップダウンが続くコースにも対応する高い走行性能を武器に、チームはハイペースでレースを進めました。

結果は3位。勝利には届かなかったものの、ポガチャルは終盤の登坂区間で最速級のタイムを記録し、早くも山岳賞争いで主導権を握ります。個人総合争いでは先行を許したものの、新型TT2の実戦デビューとともに、UAEチーム・エミレーツXRGの高い戦闘力を印象づける開幕ステージとなりました。

第2ステージ タラゴナ~バルセロナ

大会最初のロードステージは、2,500mの獲得標高とモンジュイックの丘を3度越える爆発力勝負。最後の1.6km・平均9.3%の登坂が繰り返される、市街地レースらしいテクニカルなステージでした。

レース終盤、UAEチーム・エミレーツXRGが完全に主導権を掌握しました。ブランドン・マクナルティの強力な牽引によって集団は大きく絞り込まれ、勝負はモンジュイック最終周回へ。チームは本来、デル・トロの加速を発射台としてポガチャルがフィニッシュで勝負を決める展開を描いていたとみられます。

しかし、残り約1kmで飛び出したデル・トロの加速は想像以上に強烈でした。後続の総合勢は誰ひとり反応できず、ライバルたちとの間には決定的なギャップが生まれます。その瞬間、ポガチャルは状況を冷静に見極めました。ライバルを警戒しながら後方をコントロールし、自ら勝利を狙うのではなく、逃げ切りが確実となったデル・トロを送り出したのです。

オリンピックスタジアムへと続く上りで、デル・トロはそのまま独走。ツール・ド・フランス初出場にしてロードステージ初優勝という快挙を成し遂げました。そしてフィニッシュすると、勝利を誇示するのではなく、後方からやって来るポガチャルを指差して感謝を表します。直後にゴールしたポガチャルも満面の笑みでチームメイトを祝福。UAEチーム・エミレーツXRGの結束力と、若き才能への信頼を象徴する場面となりました。

振り返れば、この日のワン・ツーフィニッシュは単なるステージ優勝以上の意味を持っていました。総合優勝を目指すエースと、その背中を追う22歳の新星。チームとして最高の結果を優先したポガチャルの判断と、それに応えたデル・トロの走りは、2026年ツール・ド・フランス全21ステージを通じても特に印象深い名シーンのひとつとして記憶されることでしょう。

デル・トロはゴール後、両手を上げる代わりにポガチャルを指差し、チームメイトへ敬意を表しました。直後に追いついたポガチャルがデル・トロを抱きしめたシーンは、今大会を象徴する名場面のひとつとなりました。

この日の勝利は、UAEチーム・エミレーツXRGにおける初のツール・ド・フランス・ステージワンツーフィニッシュであり、デル・トロはラウル・アルカラ以来、ツール史上2人目のメキシコ人ステージ優勝者となりました。

また印象的だったのは、フィニッシュラインの先に並んだ2台のCOLNAGO。ポガチャルのV5Rsとデル・トロのY1Rsです。軽量性を武器とするV5Rsと、卓越したエアロ性能を誇るY1Rs。それぞれ異なるコンセプトを持ちながら、同じゴールへと導いたことは、COLNAGOが提供する選択肢の広さを示していました。

第3ステージ レ・ザングル

ピレネー前哨戦ともいえる丘陵フィニッシュステージ。レース終盤は総合勢による激しい位置取り争いが繰り広げられました。

最後はデル・トロの力強い牽引によってライバルたちが振り落とされると、残り500mでポガチャルがスプリントを開始。ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク)やレムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を寄せ付けず、今大会初勝利を飾りました。

この勝利によりポガチャルはマイヨ・ジョーヌを獲得。ツールでの通算ステージ優勝数も22勝へと到達しました。

第6ステージ ポー〜ガヴァルニー=ジェードル

獲得標高4,100m、トゥールマレー峠を越える最初の本格山岳ステージ。

UAEチーム・エミレーツXRGは序盤から強烈なペースを刻み、ライバルチームを消耗させます。そしてトゥールマレー残り約43km地点、デル・トロの動きをきっかけにポガチャルがアタック。ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク)を完全に引き離し、そのまま独走で勝利を収めました。

ポガチャルは2分38秒差をつけてマイヨ・ジョーヌを奪還。さらにデル・トロも3位に入り、UAEチーム・エミレーツXRGはアシスト陣による完璧なレースコントロールからエースの決定的なアタックまで、描いたシナリオをそのまま実現。チームの総合力の高さを強烈に印象付ける圧巻のステージとなりました。

第10ステージ

獲得標高3,800mを誇る過酷な山岳ステージ。

レース前から強い意欲を見せていたポガチャルは、1級山岳コル・デュ・ペルテュで鮮烈なアタックを敢行。総合ライバルたちとの差を広げ、そのまま独走でフィニッシュしました。

今大会3勝目を挙げた王者は、この時点で総合優勝争いの主導権を完全に掌握します。

第14ステージ

ボージュ山地を舞台とした第14ステージは、総合優勝争いにおける重要な山岳決戦となりました。

UAEチーム・エミレーツXRGは終盤まで集団のペースをコントロール。チームメイトたちの献身的なアシストを受けたポガチャルは、最終盤の上りで鋭いアタックを繰り出し、ライバルたちにプレッシャーを与え続けました。ステージ優勝には届かなかったものの、総合争いの有力選手たちとの差をさらに広げることに成功。山岳ステージでの圧倒的な強さを改めて印象付ける一日となりました。

また、若手賞争いを続けるデル・トロも力強い走りで上位グループに食らいつき、マイヨ・ブラン争いでの優位を維持。総合優勝とヤングライダー賞という2つの目標に向け、UAEチーム・エミレーツXRGは理想的な形で翌日の難関ステージへと駒を進めました。

第15ステージ

ツール・ド・フランス終盤戦の流れを決定づけたのが、アルプスへと突入した第15ステージでした。

総合首位のポガチャルを擁するUAEチーム・エミレーツXRGは、この日もチーム一丸となってレースをコントロール。前日の第14ステージで築いたアドバンテージを背景に、総合争いとマイヨ・ブラン争いの両面で盤石の体制を築いていきます。

しかし、このステージで大会は大きな転機を迎えます。ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク)が落車によりリタイアし、総合優勝争いの構図が一変。総合2位以下の争いは一気に激化し、レムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)やイサーク・デル・トロを中心とした表彰台争いが新たな焦点となりました。

総合2位争いではレムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が第15ステージを制して存在感を発揮。イサーク・デル・トロを含む表彰台争いは、翌日の個人タイムトライアルを前にますます緊迫した様相を呈していきます。

一方のUAEチーム・エミレーツXRGにとっては、総合首位を守るポガチャルだけでなく、総合表彰台とマイヨ・ブランを争うデル・トロの存在も重要なテーマとなります。チームは複数の目標を見据えながら、最終週の戦いへと臨みました。

第16ステージ

第16ステージはエヴィアン=レ=バンからトノン=レ=バンまでの26.1km個人タイムトライアル。中盤に登坂区間を擁する丘陵コースは、平坦での高速巡航能力だけでなく登坂能力も求められるため、TTスペシャリストと総合勢の差が縮まりやすいレイアウトです。総合争いのライバル同士が直接タイムを削り合う舞台となり、今後の順位を占ううえでも極めて重要なステージとなりました。

この日、UAEチーム・エミレーツXRGの選手たちはタイムトライアル専用バイク「TT2」を投入。空力性能を極限まで追求したマシンで、一秒を削る戦いに挑みました。

注目されたのはデル・トロの走りです。ヤングライダー争いのライバルであるポール・セシャス(デカトロンAG2Rラモンディアル)とのタイム差を意識しながら安定した走りを披露し、マイヨ・ブラン防衛へ向けて大きな一歩を刻みました。

総合争いで優位に立つポガチャル、そして若手賞を狙うデル・トロ。UAEチーム・エミレーツXRGは2つの分類賞を同時に見据えながら、パリへの道を着実に進んでいきます。


Tour de France 2026 – Stage 16 Last KM(YouTube)

第19〜21ステージ 歴史的なフィナーレ

大会終盤のアルプス決戦でもポガチャルの勢いは止まりませんでした。

第19ステージは、自転車ロードレース界で最も有名な山岳フィニッシュのひとつであるアルプ・デュエズが舞台。麓から頂上まで続く21のヘアピンカーブには毎年数十万人のファンが集まり、歴代の名チャンピオンたちが数々の伝説を刻んできた”ツール・ド・フランスの聖地”です。

そんな特別な山で行われた決戦で、ポガチャルは残り13kmから力強くアタックし、先行する選手たちを次々と吸収しながら独走。沿道を埋め尽くした大観衆の歓声を受けてフィニッシュラインを通過し、今大会5勝目を達成しました。

さらに、この日の走りは単なるステージ優勝に留まりません。ポガチャルはアルプ・デュエズを35分27秒で登坂し、30年以上にわたって破られなかったマルコ・パンターニの記録を更新。ロードレース史に残る伝説の山で、新たな最速記録を打ち立てました。

その歴史的なアタックを支えたのがCOLNAGO Y1Rsです。平坦や高速区間での卓越したエアロ性能が注目されるY1Rsですが、アルプ・デュエズのような超級山岳ステージにおいてもポガチャルは圧倒的なパフォーマンスを披露。伝説の記録更新という偉業は、ライダーの脚力はもちろん、世界最高峰のレースで磨かれたCOLNAGOの総合性能の高さを改めて示すものとなりました。

第20ステージは獲得標高5,450mに達するクイーンステージ。ポガチャルとデル・トロは息の合った走りでレースをコントロールし、デル・トロはマイヨ・ブランを死守します。この日、デル・トロは大会を通じて多用したY1Rsではなく、軽量性を重視したV5Rsを選択。極限の山岳ステージにおいて、COLNAGOのラインアップが状況に応じた最適解を提供していることを改めて示しました。

そして迎えた最終週。第20ステージ終了時点でポガチャルは総合首位を堅持し、イサーク・デル・トロもマイヨ・ブラン獲得をほぼ手中に収めていました。その後、アルプス地域で発生した大規模な山火事の影響により最終ステージは短縮され、パリ市街地でのシャンゼリゼ周回コースのみで実施。実質的には第20ステージ終了時点で総合成績が確定する形となり、UAEチーム・エミレーツXRGは歴史的な成果を目前にしてパリへと向かいました。

そしてシャンゼリゼに到着したポガチャルは、自身5度目となるツール・ド・フランス総合優勝を成し遂げました。これは単なる優勝回数の積み重ねではありません。1903年に始まったツール・ド・フランスの長い歴史の中で、総合優勝5回という大台に到達した選手はジャック・アンクティル、エディ・メルクス、ベルナール・イノー、ミゲル・インデュラインに続くわずか5人のみ。ポガチャルはついに、自転車競技史に名を刻む伝説的チャンピオンたちと肩を並べる存在となりました。

さらに特筆すべきは、その年齢です。これまで5勝クラブ入りを果たした偉大な王者たちよりも若い年齢で偉業を達成したポガチャルは、史上最年少のツール5勝ライダーとして新たな歴史を打ち立てました。2020年代のロードレース界を牽引してきた絶対王者は、この2026年大会によって名実ともに史上最高のツール王者の系譜へと加わったのです。

一方、デル・トロもツール初出場ながら総合3位とマイヨ・ブランを獲得。総合優勝のポガチャル、総合3位のデル・トロ。UAEチーム・エミレーツXRGはパリで最高の形のフィナーレを迎えました。

UAEチーム・エミレーツXRG、そしてCOLNAGOの勝利

最終ステージでUAEチーム・エミレーツXRGの全選手が駆った特別なイエローのY1Rsは、この総合優勝が決して一人の力だけで成し遂げられたものではないことを象徴していました。

ポガチャルの個人総合優勝(マイヨ・ジョーヌ)、デル・トロの初出場での総合3位の表彰台獲得およびヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)獲得。こうした成果の裏には、献身的なチームワークと、それを支えた機材の存在があります。

空力性能を武器に平坦やテクニカルコースを攻略したY1Rs。そして軽量性と万能性で山岳ステージを支えたV5Rs。COLNAGOは3週間を通じて、あらゆるレースシチュエーションでUAEチーム・エミレーツXRGの挑戦を支え続けました。

2026年のツール・ド・フランスは、ポガチャルの偉業だけでなく、チームとバイクが一体となって勝ち取った勝利として語り継がれることでしょう。

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