世界にたった一台のペイントプロジェクト、ついに完成。
もしも、120年前にFeatherが存在していて、そのフレームが発掘されたら…? そんな着想から始まったプロジェクト「120YEARS TIME TRAVEL -時代を超えて-」。
今からちょうど1年ほど前、FUJIブランド120周年を記念して発売された限定モデル、Feather 120th anniversary。NITTO/Sugino/Panaracer など、日本ブランドパーツをアッセンブルし、ラグ加工のフレームなど、通常ラインにはないディテールが光る記念すべきこのモデルをベースに、贅沢にも世界に一台のFeatherを作り上げるプロジェクトが、ついに完成した。
クロモリ製の細身のフレームには、おそらく土深く埋もれていたであろう際の泥がこびりつき、経年の変化によるサビや塗装には徐々に剥がれや浮きが見られ、外見は著しい劣化が…。
そしてダウンチューブの中心部分からはその朽ちた塗装が剥がれかけている。しかし、その中から見えてきたのは、なんと一切の時間による劣化が見られない、ピカピカのFUJI Feather…!
今回、そんなコンセプチュアルなカスタムをペイントで表現したのは、自身も生粋の自転車フリークで知られるNOZLE GRAPHICSのTSUNE氏。
トラックバイク黎明期には自転車愛好家集団 PEDALMAFIA の中心人物として知られてもいた彼だが、現在はソロプロジェクトであるNOZLE GRAPHICSとして、ヒップホップ〜ダンスミュージック関連のアートワークやプロップ(撮影小物)など、ビジュアル面をトータルでプロデュースしている。
「120年もの歴史は、やっぱり芯がしっかりしていないと積み上げて来れないことだと思うんです。”ぼろは着てても心は錦(にしき)”じゃないですけど、外観は顕著に時間の経過が表れているのに反して、本質である”中身”は朽ちることなく輝き続けていることを表現したくて。」
青年期には世代のど真ん中であるグラフィティカルチャーや、複雑な塗装が求められるカスタムカーカルチャーを通過しており、生まれ持ったその手先の器用さもあいまって、現在はメインであるグラフィック製作にとどまらず、幅広いクリエイティブを手掛けている。
「ペイントという概念である以上、本来は時間が経過すればイコールどんどん上に塗り重ねられていくということが普通だと思うんですけど、今回はその逆(下層の方が新しい)をやってみたら面白いんじゃないかなと。」
本作品にも表れている、緻密でいながら、時に大胆なクリエイティブこそが彼の真骨頂。
「フォークの三色のマークは、FUJIの年代物に刻まれていたマーク。実は細かい理由やソースはわからないんですけど、ちょうど自分が生まれた当時の車体には刻まれていたっていうのもあって、入れました。」
自転車愛にあふれるアーティストならではの表現によって、間違いなく世界に一台のFeatherが、今ここに誕生した。
FEATHER 120THのローンチを記念したプロジェクトの一環として制作されたこちらは、この日の数日後には当選者の手元へ向かう。
最後に、当選者の方にはどういう風に楽しんでもらえたら嬉しいかと聞いた。
「もちろん、ちゃんと実際に乗ってももらえる様に、簡単には剥がれない様にしっかりと塗装してますよ。当然ながら、実際に錆びてるわけでもないですし 笑。でも、せっかくだから、飾ってもらうだけでも成立する様なものを作ろうっていうことは少し意識したかな…。
パーツにはほとんど手を加えていないので、新品のピッカピカのパーツで組んでもらってもRAT RODみたいでかっこいいし、もちろんオールドパーツなんかで組んでも抜群にかっこいいと思います。まあそこは、自由に楽しんでもらえたらと…。」
*ベースとなった製品、ブランドの創立120年を記念した FEATHER 120TH ANNIVERSARY の製品ページはこちら。(現在メーカー在庫は完売となっており、在庫のお問い合わせにはご対応しかねます。)
*開催されていたプレゼントキャンペーンの詳細はこちら。(現在はキャンペーン終了し、当選者の方にお届けしております。)
TSUNE (NOZLE GRAPHICS/PEDAL MAFIA)
カスタムカーなどの特殊塗装やペイント技法、ピンストライピング、手描きによるフライヤー制作などからはじまり、電子工作やプログラミングなどアナログ/デジタルにとらわれないグラフィックデザイナーとして活動を開始。自転車愛好集団「PEDALMAFIA」では主にビジュアルデザインを担当し、グッズや映像作品、当時まだ普及していなかった電子書籍等、様々なメディアや手法で展開。ストリートバイクブームの先駆者となりシーンより絶大な支持を得る。個人名義のNOZLE GRAPHICSでは、さまざなアーティスト/レーベル/アパレルなどへジャンルレスにグラフィックを提供したりする傍、立体物の製作、モーショングラフィック製作など活動もさらに多角的に。表現活動の領域はA・B面問わない“Straight up 別次元”なVISUAL HACKTIVIST。
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