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SIDI GENIUS 10 KNIT 500kmインプレッション -酷暑と戦うライダー達の救世主-

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60年以上にわたって、技術革新でサイクリングシューズの進化に貢献してきたイタリアの名門ブランド”SIDI”。競技に必要な素材の強度や運動効率を追求しながら、フィッティングという靴本来の性能を重視してきたことで高い評価を得てきました。
そして、新しいマテリアルを取り入れたサイクリングシューズがトレンドとなっている昨今、長年の研究開発をもとにSIDIも初めて”ニット素材”を採用しました。それも、SIDIのロード用シューズで不動の人気を誇る定番モデル”GENIUS 10”の別バージョンとして、2025年にリリースされました。
SIDIが満を持して発売となるこの”GENIUS 10 KNIT”の性能はどれほどのものか、500kmの実走インプレッションをもとに解説します!

■SIDIの看板モデル”GENIUS”を知る

GENIUS 10 KNITに触れる前に、そのベースモデルとなるGENIUS(ジーニアス)とはどんなシューズなのか、詳しく見ていきます。
ロードバイクを長く嗜んでおられる方であれば一度は足を通したことがあるかもしれない、イタリア製シューズの代名詞的な1足。現在でも欧米を中心にプロ・アマ問わずヨーロッパのSIDIの出荷数量で1,2を争う定番モデルです。
初代GENIUSは今から30年ほど前にリリースされ、8代目となるGENIUS 10はカーボンコンポジットソールを採用したミドルグレードロード用シューズ。しなやかでいて芯がある、絶妙な剛性を持つこの”CARBON COMPOSITE 20ソール”は、ロードレースからロングライドまで幅広くカバーするのが特徴です。

先代のGENIUS 7まではラチェット式のクロージャーシステムでしたが、現行モデルのGENIUS 10で初めてダイヤルクロージャーシステムが採用されました。SIDI独自のダイヤル機構”TECNOシリーズ”と言えば、その堅牢性や操作性が認められてNASAと共に宇宙へと飛び、クルーの健康維持に貢献したシステムとしても有名です。
他にもSIDIの代名詞と言えるロゴ入りストラップ”SOFT INSTEP”も5代目となり、スタイリッシュかつしなやかに進化。もちろん各消耗パーツがリプレース可能なので、頑丈なボディと相まって長く愛用いただける逸品と言えます。

GENIUS 10に搭載されているダイヤルは、これまで歴代のトップモデルにも採用されたTECNO 3。シンプルな内部構造と高い素材強度、そして外的ダメージを受けにくい形状と過酷なレースを走り抜くためのSIDIのこだわりが詰まっている。

■GENIUS 10 KNITの性能やいかに!?

フィッティング

そのGENIUS 10の派生モデルとして2025年にリリースされたのが”GENIUS 10 KNIT(ジーニアス10ニット)”
通常のGENIUS 10とソールやラストが共通なので、レギュラーフィットに順応する足型であれば着用いただけます。極端な幅広・甲高の足型の方はMEGAタイプを選ばれると思われますが、GENIUS 10 KNITはレギュラーフィットのみの展開となります。

CARBON COMPOSITE 20ソールとインソールは共通スペックなので、足を通した際の差異はあまり感じられない。筆者の足型は日本人によくあるパターンで、やや甲高のEワイズ、全長が実測25.4cmに対してシューズサイズ41.5(25.7cm)を着用。

ニット素材の特徴と機能

一見して目に飛び込んでくるのがアッパーボディの違いです。前半分の両サイドがニット素材に変更になっており、従来のGENIUSのパターンと比較しても外気の侵入面積が非常に多いことが見て取れます。強度の高い特殊なナイロン糸を使用したメッシュ部分の織り方は単一ではなく、柔軟性や強度を必要とする箇所に応じて複合的にパターンを変えて織り上げられています。
初めて筆者が足を通した時の印象は、通常のGENIUSと比較してつま先の両サイド部分の接触が気になりましたが、新しいシューズにはよくある初期の感覚で履き慣れてくるとその違和感もなくなりました。

このニット素材による恩恵は、やはり直接外気(風)が足に当たる面積が広いことによる高いクーリング効果です。従来のマイクロファイバー素材で覆われているシューズと比較しても、明らかにその違いは体感できるレベルで、特に気温が高く熱がこもりがちな猛暑下の不快を和らげてくれます。また、これら素材の変更に伴って軽くなっているのも重要なポイントで、トップモデルのSHOT 2Sとほぼ同じ重量と非常に軽量に仕上がっています。
ちなみに、SHOT 2Sにはソール内のエアーフローを目的としたベンチレーションを搭載しているので(C-BOOST SRS SOLE))、ワールドツアークラスの性能と夏場の快適性を重視される方はこちらもオススメです。

通常のGENIUS 10との違い

GENIUS 10 KNITは通常モデルのGENIUS 10と比較して、ソールやクロージャーシステムは共通ですが、GENIUS 10 KNITだけの専用スペックも搭載されています。その多くが通常モデルのGENIUS 10からグレードアップしており、質感・履き心地共に向上する変更となっています。

ニット部分以外のアッパー素材はしなやかで表面が滑らかなマイクロファイバー素材に変更。また、ワイヤーのレールをSHOT2と同じタイプに変更することでデザインの向上だけでなく軽量化も実現。
シューズの履き口部分のファブリックをより上質なものに変更し、クッション性を高めることで履き心地が向上。更に、ヒール内側には滑り止めのドットラバーが施されているので、踵がずれにくくペダリングロスを防ぐ役割を果たします。

これらの変更点がある一方で、ヒールやクロージャーシステム、ソフトインステップ(ストラップ)などは通常モデルと共通のパーツを採用しているので、壊れたり消耗した場合も交換することで長くお使いいただけるのがSIDIが選ばれる特徴の一つです。

■500km実走インプレッション

テストライダーの筆者は普段SHOT 2S、GENIUS 10を使用。シューズ以外の機材は全く同じで、走行ルートも全く同じテスト環境でじっくりと比較をおこないました。

およそ1ヶ月間、500kmの実走で体感した特徴を以下にまとめました。

・マイクロファイバー生地のアッパーを使ったシューズと比較して、足先に直に風を受けている感覚があり、快適さが実感できる。

・ダイヤルを締め込んだ時のフィッティングの感覚は通常のGENIUS 10のアッパー素材と同様で、特に違和感はない。筆者の足型の場合、他ブランドで稀に見かけるニット部分のヨレやシワは確認できなかった。

・ダンシングなど高強度でペダルを踏み込み際に、通常のGENIUS 10のアッパー素材と比較しても剛性が劣るような感覚はなく、シューズの中でのホールド感が長時間持続(最長ライドで約4時間)

・キツめにダイヤルを締め込んだ際、履き口周りのクッション性の高さによって部分的な痛みや圧迫感が低減される。

通常のGENIUS 10との性能比較ということで、KNITが剛性感やフィッティング感で劣ることはなく、クーリング効果で高いアドバンテージがあることが確認できました。また、ニット部分からソックスの色がけっこう出てしまうのではと心配していましたが、あまり表に響かないので一般的には気にならない程度ではないでしょうか。
今回はホワイトカラーを使用しましたが、これほど涼しく感じるのであれば夏場は敬遠しがちなブラックカラーでも快適さは維持できるとイメージできます。

■酷暑を乗り切るためのキーアイテムとして

夏場の容赦ない暑さが長期化する中、どのようにパフォーマンスを維持して走るかはサイクリストの喫緊の課題かと思われます。ヘルメットやウェアなどクーリング効果を高めるアイテムもたくさん出ていますが、足元の快適化を狙うには冷却効果の高いシューズを履くことがベストです。逆に気温が20度を下回る日に履くと足先が寒く感じることもあるので、トゥカバー等で調節が必要です。

SIDIのGENIUS 10 KNITでより快適にライドをアップデートして、夏場でも充実したサイクリングライフを送りましょう!

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