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0.3からはじめるウルトラライト輪行ソロキャンプ Vol.08 秋の気軽なミニマムデイキャンプ
2025.09.04

ランタン、クーラーボックス、焚き火セット……アイテムが多いほどキャンプは快適になるが、快適性を求めればキャンプ道具は際限なく増える。また理想のキャンプスタイルを妄想すると、実際には設営やメンテナンスでビギナーにとってはハードルが高くなってしまう。「キャンプを始めてみたいけど、何から取りかかれば良いのだろうか?」
そんな人は、まずは日帰りで楽しむキャンプスタイル「デイキャンプ」から経験してみては如何だろうか。「デイキャンプもキャンプだから難しいのでは?」と思う人もいるかもしれないが、ピクニックに近い超簡単なスタイルから始めてみれば大丈夫だ。
今回はミニマムなデイキャンプスタイルの例を挙げることで、キャンプ道具をそれほど揃えなくても楽しめる方法や、未経験者でも気軽に実現できそうなスタイルを探ってみる。これからキャンプを始める人、まだキャンプ道具をほとんど持たない人にはぜひ参考にしてほしい。
デイキャンプに便利な移動手段
デイキャンプは徒歩でも電車でも車でも行けるが、今回紹介するのはもちろん自転車のパターン。自転車はDAHONの16インチモデル「K9X」で、フロントに純正のバスケット「Front Cargo Basket」を装着し、トートバッグに必要最低限のものを入れて載せるだけとした。K9Xは誰でも簡単に折りたためるフォールディングバイクで、専用の袋状のバッグに入れれば電車に持ち込むこともできる(輪行という)。

事前に準備するものや当日の荷物の量で難易度が決まるので、今回はトートバッグに入る量を一つの目安にした。

超お気軽なシンプルピクニック型
デイキャンプといっても、必ずしもテントを張る必要はなく、料理を作らなければならないわけでもない。キャンプの目的によっては、極寒の環境でもテントを張らず、高性能なシュラフだけで野営することもあるし、食事も高カロリーの行動食やフリーズドライ、レトルト食品で簡潔に済ませる場合もある。暖を取る必要がなければ、エネルギー補給さえできれば十分だ。そう考えると、デイキャンプとピクニックの間に明確な境界を引くのは難しく、ピクニックもまたキャンプの一種、あるいはその第一歩として楽しめばよいだろう。
この1つ目のスタイルを一言で説明するとすれば、「秒で設営、自然の中で食事や景色を楽しむスタイル」。近所でも構わないが、せっかくなので自転車で少し遠い大規模公園や河川敷まで走って木陰に落ち着く。火もテントも使わないので、キャンプ場である必要はない。
用意した持ち物は、レジャーシート、簡易保冷バッグ(底に保冷剤)、途中のコンビニで購入した昼食とドリンクのみ。途中に道の駅でもあればキャンプ色が増すだろう。季節によっては虫除けスプレーが必須となるので要注意だ。

この1つ目のスタイル(超お気軽なシンプルピクニック型)は見た目が少々寂しい気もするが、実はデイキャンプの楽しみの半分以上が達成されている。

静かな森まで走って来て、木陰でレジャーシートの上に寝転がって木々を見上げれば、もうそれだけで風や鳥の鳴き声に癒されるだろう。そよ風が心地いい。さらさらさら〜と聞こえる葉音、最近はいつ聞いただろう。デイキャンプには様々なスタイルがあるが、この癒しの時間こそが基本にあるのだと思う。

誰も来ない静かな公園。このまま寝たら最高……。

タープの下で読書や昼寝ゴロゴロ満喫型
レジャーシートに寝転がるだけでも十分楽しいが、キャンプの練習として位置付けるのであれば快適な空間づくりに挑戦したい。とはいえデイキャンプにテント(=朝まで眠る寝室)はさすがにオーバースペックなので、タープを張ってみてはどうだろうか。タープにも大小さまざまなものがあるが今回は超ミニマムに、この連載でいつも使用しているタープポンチョを持参した。
準備物は、上のピクニック型で使用したものにポンチョタープで必要なものを追加した程度。具体的にはタープポンチョ、トレッキングポール、ペグ、ペグハンマーを追加した。
※どうでもいい話だが、このコラムでは、ポンチョを使って張るタープのことを言いたい時は「ポンチョタープ」、その時に使うポンチョのことを指す時は「タープポンチョ」と記載している。

タープポンチョというのは、バックパックを背負ったまま被ることのできる雨具のポンチョに、タープやシェルターとしての使用も想定して端にハトメが設けられ、ペグで地面に固定したり、ガイロープ(テント用ロープ)を使って支柱や樹木で高さを確保することもできる仕様になっているものだ。今回はトレッキングポールを用いてテント風に張ってみた。
※樹木を利用した張り方のバリエーションはこちら

タープが一つあるだけで、日差しや雨を防げるのはもちろん、張り方次第で風や周囲の視線を遮り、プライベート感を高めてよりリラックスした時間を過ごせる。思わず「このままここで夜を明かしたい」と感じるほどで、タープの存在は想像以上に大きい。何より、その場の雰囲気を一気に“キャンプらしく”してくれる。

気分は屋外のリビング。ソファーもテレビもないが、贅沢な空間、贅沢な時間だ。寝転がってタープ越しに空を見上げると、ほとんどキャンプ。

自転車とテントの風景って、何だか格好いい。

キャンプの雰囲気を味わうプラスα型
タープを張るだけでは物足りない人は、お湯を沸かしてコーヒーを淹れたり、肌寒い季節になればカップラーメンを作ってみるのもおすすめだ。また、小さいテーブルや折りたたみチェもあれば便利になり、雰囲気もかなりキャンプに近くなる。3つ目のスタイルでは、2つ目のスタイルの準備物に湯を沸かす道具や、折りたたみテーブル、折りたたみチェアなどを追加した。荷物が増えたので、トートバッグに収めるためにシングルバーナーやガス缶をクッカーの中に入れるなど、いろいろ工夫を要した。

これまでこの連載では軽量化を優先してイスは使ってこなかったが、マットの上にずっと座っていると腰が丸まってしまい苦痛に感じる時が正直あり、今回は折りたたみチェアを持ってきてみた。これがもう、想像はしていたがあると無いとでは大違い。座った瞬間すっぽり包み込まれる感覚で、なおかつ作業がしやすい、今後のULキャンプでもぜひ持っていきたいと思わされる、天国のような楽さだ。

アウトドア用の折りたたみチェアと言っても多岐にわたるが、自転車(デイ)キャンプである以上荷物は最小限にして軽量化も図りたいところ。チェアゼロはヘリノックスの有名折りたたみチェア「チェアワン」の快適な座り心地を継承しながら、さらに軽量コンパクト性を追求したデキる奴だ。少なくともソロキャンプではテーブルや焚き火台などが小さく低いので、椅子もチェアワンやチェアゼロなどロースタイルのものが必須だろう。


今回は番外編的に、これからキャンプを始める人向けの気軽なデイキャンプを提案してみた。紹介した内容に加えて移動手段に輪行を追加すれば、鉄道の駅やバス停を起点に走って山奥の河川敷でだってデイキャンプはできる。
あとは、細かいところで言えば、ゴミの持ち帰りと、あらかじめ天候は要チェック。山奥ならファーストエイドキットなどは持っておきたい。ぜひトライしてみよう。

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