TOP
買う
読む
BRAND
ログイン

遊ぶ

0.3からはじめるウルトラライト輪行ソロキャンプ Vol.07 温かみのあるランタンの光で過ごす夜

※ まず、最初に断っておかなければならないが、今回は「UL(ウルトラライト)」な装備ではない。

日常から解放されて自分だけの時間に浸りたい。自然の中でリフレッシュしたい。ソロキャンパーの多くがこのタイプではないだろうか。そこに「こうすべき」という筋書きは無い。自分が好きなようにすれば良い。

ガソリンやLPガスを燃料とするランタンのゴォーとかコォーという音が好きだ。静かな自然の中でそういった燃焼音を聞くと、キャンプに来ていることを自分的にいちばん実感できる。焚き火で薪が時折パチッと弾ける音に癒されるのと近い感覚だろう。これまでULキャンプでは、灯りはコンパクト&軽量なLEDのヘッドライトで済ませてきたが、「キャンプにはやっぱりランタンが無いと!」と思い立ち、ファミリーキャンプで使用している大きなガスランタンを強引に持ってきた。

ソロキャンプの良さは自由なところ。人に迷惑をかけなければ、全て自分の好きにできるのだ。

今回は河原のキャンプ場へ(装備・設営)

今回は滋賀県の山あいにある、河川敷のキャンプ場にやってきた。ファミキャンで使用している通常サイズのランタンは輪行を伴う自転車キャンプには大きすぎるし、ペグも強硬なものを持ってきたのでとにかく重たかったが、仕方がない。清流と、まだ雪の残る山を遠くに望むこの景色で、久しぶりのソロキャンプに心が躍る。

知ってしまうと心が折れそうだったので、今回はあえてバックパックの重さを計らずにやってきた。

キャンプ場はかなり広く、平日にも関わらずほかに4組のキャンパーがいた。隣の2人組に挨拶をして、いちばん奥、上流側の端を使うことにした。小心者なので自分1人で夜を明かすのは不安だが、かなり離れていてもほかのキャンパーがいると安心できる。(ちなみに今回から、魔除け用に入手していた安倍晴明神社御守を持参)

今回の自転車は、DAHONのK9X。輪行を気軽にするには、折りたたみの簡単さと車体の軽さから、フォールディングバイクが現実的な選択となる。今回は河川敷の路面を想定して、純正オプションの極太タイヤBILLY BONKERS(ビリー・ボンカーズ)を履かせた。

フロントライト:BOOKMAN / Volume1500(Black)、リアライト:BOOKMAN / Curve Rear Light(Black) 

ランタンとペグ以外、キャンプの装備はこれまでとほとんど同じだ。重量など詳しくはVol.05を見てほしい。

ひと通りペグダウンを済ませて、設営完了。

夜は雨の心配が無かったのと真冬でもないので、ポンチョは居住性を優先させて、端を上げて張ってみた。

河川敷の地面には、いつもの軽量ジュラルミンYペグでは全く刺さらず、ファミキャンで使用している鍛造ペグを持ってきて正解だった。自在金具は使わない派。

スノーピークの鍛造ペグ「ソリッドステーク30」を7本使用(1本180g)。ガイロープを通した穴は、本来はペグを抜くときにペグハンマーの先を引っ掛けるためのものだが、風が強くて不安だったからか無意識にここへ通していた(←完全に無意味)。

少し離れて眺めてみる。なかなか格好いい。設営時に降っていた小雨も上がった。

チャイを淹れてひと息つこう。

今回は茶こしも忘れることなく、無事に飲むことができた。(※ Vol.04では茶こしを忘れた)

徐々に空が暗くなってきた。夕陽に照らされる雲が綺麗だ。日が暮れる様子を切なく感じるとともに、楽しい夜がやってくるワクワクするような、この時間が好きだ。

ガスランタンで得られる効果(ランタンの種類・特徴)

というわけで今日の本題、ランタンについて。今回は、コンパクトなタイプのものを持ち合わせていないので強引に、うちのファミキャンで活躍しているコールマンのガスランタン(2500ノーススターLPガスランタン)を持ってきた。写真は白飛びしないように暗めにして撮っているが、キャンプサイト全体を照らすこともできる320キャンドルパワー(200W相当)の大光量がウリのモデルだ。

ランタンは燃料の違いでみると大きくは、ホワイトガソリンを燃料とする「ガソリンランタン」、OD缶を接続して使う「LPガスランタン」、電池や充電した電気を使う「LEDランタン」に分類できる。厳密にいうと他に、パラフィンオイルや灯油を燃料にして、アルコールランプのように芯に伝わせて点火する「オイルランタン」、ロウソクを灯す「キャンドルランタン」などもあり、それぞれ人気がある。

ここで気をつけなければならないのは、Vol.01で触れたが鉄道車内に持ち込める手回り品のルールが2016年に変更され、ガソリン、灯油、軽油といった可燃性液体は量に係わらず列車内に持ち込めなくなったことだ。列車を利用する徒歩キャンパーや輪行キャンパーは、キャンプ場の手前の店舗で購入できる保証がなければ、ガソリンやオイルを燃料とするランタンは自ずと使用できないことになる。

テントや自転車と同様、どのタイプが優れているというものではなく、明るさや大きさ、シーンに応じた使い分けが必要となる。例えば、オイルランタンやキャンドルランタンは雰囲気を楽しむのには良いが、光量が必要な場合は他の光源が必要になる。

個人的には、ファミキャンで使うランタンやシングルバーナーはランタンの名門ブランド「コールマン」で統一していて、燃料でいうと以前はホワイトガソリン、今は手軽なOD缶でLPガス(やイソブタンガス)を利用している。

ガスランタンの特徴は…

●とにかく扱いやすい
 ガス缶を装着して点火するだけの簡単さ。メンテナンスもほとんど不要。自動点火装置付きのモデルも。
●かなり明るい
 LEDランタンよりは圧倒的に明るく、サイト全体を照らすメインランタンとして使える。
 火力調節のツマミをひねるだけで、明るさを自在に変えられる。
●雰囲気がいい
 温かみのある光で心地よく、器具自体もクラシカルなデザインで飽きがこない。

暗闇の中でもサイトがここまで明るいと不安感が無くなるので、人間にとって灯りの存在は重要だと思う。温かみのある光は、(LEDの光ではないので当然だが)手を近づけると実際に熱を持っていた。例えば、幼児が近くにいる場合は触れて火傷をしないように注意が必要だが、火と同じでどこか神聖なエネルギーを感じる。

夕食は手抜きしてレトルトカレーを温めるだけにしたが、事前の買い物で選ぶのも楽しかった。ランタンはすぐ近くの地面も照らしてくれるので、手元が明るい。

このランタンはボタンひとつの自動着火で、点火の際に中に火を入れる必要が無いのも便利だ。

食後、カメラで星空の撮影を楽しんでいたのだが、後日PCで確認すると上手く撮れていなかった。下は、家族に送る用に撮ったスマホ写真。山に囲まれているので街の明かりに邪魔されず、肉眼では多数の綺麗な星を望むことができた。普段見られない多くの星を見上げるだけでも、キャンプに来る意味がある。

この時間でもそこまで気温が下がらず、今回は過ごしやすい。

今日の寝床。かなり開放的だが、何も無い完全な吹きさらしと比べるとしっかり風を遮り、中は暖かく感じる。ランタンは明るさを最小にしても十分明るい。就寝時のBGMは川の音。

星空があまりにも綺麗なので見上げながら寝たいところだが、夜露で濡れるので、開放感のあるポンチョタープくらいが最適解だろう。夜明けの空も寝ながらに見える。

自分のスタイルで許されるのがソロキャンプ

朝日は山に阻まれて見えないので、ゆっくり6時ごろまで眠ることができた。東の空が淡く赤紫に染まり、グラデーションが美しい。

自分的には清々しい朝だが、景色はまだ冬のようだ。川の水も冷たい。

ランタンが夜露に濡れている。昨夜は暗がりの中でとても頼もしく、また温かみのある光でいい時間を過ごせたので、朝から「昨日はありがとう」という気持ちになった。やっぱりランタンって好きだな。ソロ用に小さいガスランタンを買おうかな。

自転車も夜露で濡れていた。問題はないが気にはなる。

このタイヤで来て本当に良かった。何度も河川敷を移動したが、この極太ブロックタイヤ(ビリーボンカーズ)でなければ走れなかっただろう。グラベル向きだがオンロードでの高速走行にも支障がないので、優れていると思う。

実際に乗ってみてないと分からなかったが、ノブが砂利にしっかり食い込んでグリップすることで、安心して走ることができた。

シュラフとシュラフカバーを広げて一応干すが、自宅でしっかり干し直す必要がある。

朝食もシンプルに、ドリップコーヒーとパンで。ランチパックは数年ぶりに食べた。賞味期限内なら常温保存ができるので、クーラーボックスなどは省きたいULキャンプにはとても向いている。

装備がシンプルなので、撤収は異様に早い。まだ起きていないキャンパーも多いが、せっかくなので早めに出て、サイクリングを楽しみながら帰りたい。今回利用したキャンプ場は、人工物が少なくて自分好みで良かった。

ゴミは分別して捨てられるのだが、ゴミ自体があまり出ていないので荷物は大きく重いままだ。無理せず楽しめる範囲で、ゆっくり走って帰ろう。

ファミキャン用の鍛造ペグやランタンなど、バックパック1つのソロキャンプに相応しいとはいえない装備で臨んだが、往復の大変さを差し引いても結果的には自分にとって有意義な選択だった。自分のスタイルで許されるのがソロキャンプ。これからも自分が楽しいと思えるようなソロキャンプに出掛けたいと思う。

 

*当連載に関するご意見はXのこちらのアカウントまで。記事に先行して小ネタも投稿中!

この記事を書いた人

チャイ職人△Te28ok

  • X

>書いた記事の一覧

ITEM

10

#キャンプの最新記事

  • TOP
  • コラム一覧
  • 0.3からはじめるウルトラライト輪行ソロキャンプ Vol.07 温かみのあるランタンの光で過ごす夜

ページトップ